上野『鳥清』創業64年。毎朝仕入れる丸鶏、家族で仕込み備長炭で焼く

上野『鳥清』創業64年。毎朝仕入れる丸鶏、家族で仕込み備長炭で焼く

2022年4月26日

上野駅から徒歩2分。細い路地に掛かる暖簾『鳥』。毎朝、その日に提供する分の鶏肉をまるで仕入れ、店内で捌くのがこだわり。紀州備長炭で焼き上げた香ばしい焼鳥に、創業時から受け継いできたタレがよく合います。新鮮さを感じる「とりわさ」も絶品です。

スポンサーリンク

湯島・アメ横界隈だけが上野の飲み屋街ではない

上野でお酒を飲むといえば、花街から続く歴史ある歓楽街、湯島・池之端がまずは思いつきます。次いで、最近は低価格居酒屋の出店が相次ぐアメ横周辺を挙げる人が多いのではないでしょうか。湯島はネオン輝く深い夜の街、アメ横周辺はお昼酒を楽しむ若者の飲み屋街として、個性は異なるものの賑わいが戻っきました。

そして、上野にはもうひとつの飲み屋街があります。それは、上野駅浅草口から下谷神社にかけての「東上野」エリア。こちらは商人宿とともに栄えてきた、東北の玄関・上野駅の歴史を感じる街です。いまもビジネスホテルが多く、その隙間を埋めるように居酒屋が提灯をかがけています。

東上野は老舗の飲食店が多く残り、区役所裏で60年親しまれてきた大衆中華や、120年以上の歴史を持つ蕎麦店が元気に営業中です。

そして、今回こ紹介する焼鳥の『鳥清』も、この街を代表する老舗居酒屋のひとつです。

外観

東京メトロの本社ビルのすぐ裏にある細い路地に『鳥清』はあります。東京メトロ日比谷線の2番出口からは100mも離れていないのですが、まるで昭和にタイムスリップしたような飲み屋通りが残っています。

静かにたなびく藍色の暖簾に、昔ながらの木枠と昭和の曇ガラスでできた引き戸が、実に味わい深いです。創業は1958年(昭和33年)。現在は3代目が店の暖簾を守っています。

内観

木造二階建て。この場所で、いまも一軒家の酒場があることに驚きます。一階は焼台を置いた調理場と、カウンター、テーブル席という典型的な焼鳥酒場のつくり。二階には座敷があります。

店を切り盛りする3代目のご主人はとてもキリっとした方です。そんなご主人を支える大女将と女将さん。温かい雰囲気の家族経営です。

品書き

お酒

樽生ビールはアサヒスーパードライ:550円、瓶ビールは珍しいアサヒプレミアム生ビール 熟撰:650円。

定番酒は白鶴上撰(大):600円。地酒はほかにいろいろ。

酎ハイ類はレモンサワー:400円、ウーロンハイ:380円、緑茶ハイ:380円。焼酎はいいちこ(450円)、くろうま:480円、黒霧島:480円。

やきとり

やきとりセット4本:800円、正肉:240円、レバー:200円、ひなかわ:200円、ねぎま:220円、つくね:240円、砂ぎも:220円、はつ:220円、さび焼き(ささみ):240円。

一品料理・野菜焼き

手羽先:300円、チーズ焼き(チーズをささみで巻いた一品):480円、とりわさ:580円、ねぎ焼き:200円など。

おつまみ・揚げ物

厚揚げ:380円、生野菜:480円、焼鳥と並ぶ名物のからあげ:480円など。

常連さんに人気の鳥なべ:1,400円、水たき:1,700円、鳥スープ:350円など。

美しい無垢の一枚板に、歴史を感じる焼鳥が映える

乾杯はアサヒプレミアム熟撰(650円)

樽生ビールはアサヒスーパードライ。せっかくなので、瓶ビールはアサヒのプレミアムビール「熟撰」をチョイス。珍しいゴールドラベルのビールにテンションが上がります。

白木のカウンターに、しゅっと立つ瓶ビール。それでは乾杯。

お通し

お通しは焼鳥店の王道、鶉生卵と大根おろし。これだけで「いいねっ」ってなります。七味と醤油でそのまま食べてよし、焼鳥をくぐらせてもよし。

とりわさ(580円)と白鶴上撰 大徳利(600円)

丁寧に燗をつけた白鶴は、特定名称酒に負けないくらい美味しい。改めてそう感じながら飲んでいますと、まずはとりわさが大女将によって届けられました。

もっちりとして歯ごたえがあり、しっとりとした舌触りが秀逸。噛むほど鶏の甘い脂とほのかな酸味が口いっぱいに広がります。脂ののり具合がちょうどよく、特製の酢醤油との相性がとてもよいです。毎朝一羽単位で仕入れ店で捌いているので、とりわさ向きの部位を選定されているのだと思います。

やきとりセット4本(800円)

お楽しみのやきとりセットは、タレ2本、塩2本で、時間をずらして提供してくれます。

まずは、タレでつくねとレバー。つくねのゴワコワとした形状から滲み出る肉汁は、それだけで美味しいとわかります。粗めのミンチが口の中でほぐれると、予想以上にジューシーなことに驚きます。

鶏レバーはぷりっぷり。鶏の旨味が凝縮されています。”ぱさつき”はもちろんありません。

なにより、創業時から家族3代で継ぎ足して守ってきたというタレが、コクが深く厚みのある美味しさです。

ねぎまと正肉は塩で。練り辛子を添えて供されます。

炭火の香りと鶏の脂を吸ったねぎまのネギは、その一口でお猪口の白鶴を飲み干したくなる美味しさ。

正肉は弾力があり、火の通り具合が秀逸。老舗の鶏料理専門店の実力を感じます。

駅前立地で家族経営、ごまかしのない商売

いま、こういう居酒屋は数を減らし続けています。外食の多様化、再開発、跡取り問題、仕入れ高騰…。様々な状況を乗り越え、いまここに60年以上続く焼鳥屋があるというのはとても素晴らしいことです。お店を続けたいという3代目の熱意が、カウンターで飲んでいる私にも強く伝わってきました。

常連さん中心のお店ですが、はじめての人にも丁寧に接してくれます。美味しい焼鳥、食べに行きませんか。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名鳥清
住所東京都台東区東上野3-17-3
営業時間17:00~21:00(土日祝定休)
開業年1958年