福岡天神『角屋』焼酎240円!老若男女に優しい70年続くセンベロ昼酒処

福岡天神『角屋』焼酎240円!老若男女に優しい70年続くセンベロ昼酒処

2022年4月25日

西鉄福岡(天神)駅の目の前でお昼から営業する立ち飲み『角屋』。食券式ですが、料理は品数豊富で本格的です。ごま鯖などの郷土料理もお手頃価格。世代を超えて使いやすいフードコートのような空間で、お昼からセンベロを楽しみませんか。

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お昼から飲む人に優しいまち「天神」

福岡の賑わいの中心、天神。西鉄電車の始発・西鉄福岡(天神)駅が鎮座し、駅周辺には老舗百貨店や大小様々な商店街が広がります。昼夜を問わず人通りが絶えないこの街は、お昼から飲ませてくれる居酒屋や専門店も多数。老舗の食堂や中華だけでなく、最近は若い人向けの昼飲み可能な立ち飲み店も増加傾向です。

そんな天神のまん真ん中にある立ち飲み(一部着席)の店『角屋』をご紹介します。地元の老舗百貨店よりもさらに西鉄の駅に近く、雨天でも天神地下街やソラリアステージから傘を開かずに行けるような距離にあります。

年中無休で、毎日11時オープン。会社員や買い物客で賑わう天神の中心で、お昼から飲み始めるのはちょっぴり背徳感がありますが、店をみてみるとすでに常連さんで賑わっています。中にはショッピングバッグを持った買い物帰りの人の姿も。

角屋 外観

天神の『角屋』はこの界隈立ち飲み居酒屋としては最も歴史があり、店員さん曰く1950年代から続いているそう。運営母体の変更や、約23年前に店名変更などがあったものの、何十年と変わらず、この場所でお昼から営業してきました。リニューアル以前は、硬貨を投入すると焼酎や自動的に抽出される「酒の自販機」が設置されていたと聞きます。かなり硬派な酒場だったようです。現在の角屋はちょっぴりレトロながら、若い人でもひとりで入りやすい雰囲気。

ちなみにこのビルそのものが角屋食館ビルという建物。らーめん屋、串揚げ屋、焼肉屋もみな角屋グループです。まさに、地域密着の店。

ショーケースが設置されているものの、おでんと唐揚げ、肉じゃが以外はほとんどキリンビール関係の見本です。素晴らしい。

内観

「いらっしゃい!」ベテランの店員さんが温かい雰囲気で迎えてくれます。

一階はテーブルが並ぶ広めの立ち飲み空間。テレビを見ながら一人飲みをする人や、仕事明けで飲みに来たエッセンシャルワーカー風のお父さんたちが楽しそうに過ごしています。

地階へ続く階段。地下にも同じような空間が広がっていますが、下のフロアは椅子を完備しています。なお、立ち飲みと着席、値段は変わりません。

いたるところにキリンのPOPがあり、まるでキリンのショールームみたい。店員さんも熱心なキリン推しだそう。

注文はカフェテリア方式

もともと角打ちのような営業スタイルだったからか、いまも料理やお酒は自分で取りに行く「カフェテリア」方式になっています。先払いですが、金銭の受け渡しはなく、まずはじめに食券機でチケットを購入する必要があります。

食券機でお酒とおつまみのチケットを購入したら、カウンター越しに店員さんに手渡します。ここにも小皿が多数並んでいますが、これは券売機に記載はなく、値札に書かれた値段と同額の共通券で交換してもらえます。文章では複雑ですが、一度覚えれば簡単!明朗会計!

品書き

飲み物

これだけキリン推しですから、もちろんキリン系が充実しています。

大樽はキリン一番搾り中:450円・1L(ちかっぱ)ジョッキ:980円。中ジョッキはプラス20円で、キリン一番搾りプレミアム:470円も選択可能。立ち飲みで一番搾りプレミアムを扱うお店はとってもレア!タップマルシェクラフトビール:各500円もあります。

瓶ビールはキリン一番搾りキリンラガー大瓶:各550円、一番搾り<黒生>:440円。希少な瓶入り淡麗極上〈生〉大瓶:480円もあります。

ハイボールオーシャンラッキー):280円、スコッチハイボールホワイトホース):400円、富士御殿場蒸留所のジャパニーズウィスキー陸ハイボール:400円など。

食券機にあるお酒と料理

手元の品書きはキリン商品のみ書かれており、日本酒などは食券機でチェック。日本酒1本:290円、焼酎いもむぎ:各240円、焼酎こめそば:250円、酎ハイサワー:300円など。焼酎文化圏、さすがの安さにびっくり。

料理は、刺身:350円、しめさば:350円、ごま鯖:350円、まる天揚げ:200円、豚足唐揚:300円、豚足トロトロ煮込み:350円、博多がめ煮:250円、若鶏唐揚:300円、串カツ盛:350円、酢どり:300円、角屋の塩肉:490円など。

冷蔵ケース

こういう酒場で一番ワクワクする場所は、冷蔵ケースでしょう。共通券等で交換可能。刺身はブリなど。

あさりのしぐれ煮:200円、鶏肝のしぐれ煮:300円、ふぐ皮ポン酢:300円、おばいけ:250円など。しっかり福岡らしい料理が揃っています。

常温コーナーにもずらり。小鉢類は150円、ホルモン煮込み:300円、手羽煮:300円、松浦のアジフライ:400円など。おでん:120円~は通年あり、糸島あつあげやごぼう天が美味しそう。おでんは系列のラーメン屋で使用する鶏がら出汁を使用しているのだとか。

店員さんも常連さんもフレンドリー、郷土色の強さが心地良い

淡麗大瓶(480円)

淡麗の大瓶を飲んだのは何年ぶりでしょう。ワンコイン未満で飲める一番搾りプレミアムにも惹かれましたが、思わず淡麗を購入。では乾杯!爽やかでキレある発泡酒です。

ごま鯖(350円)

福岡名物、ごま鯖。立ち飲みということもありますが、天神の真ん中で350円は本当に安い!

東京でももっと気軽に食べられればいいのに。そう思いながら、ちびちびと。甘いごまタレに淡麗が進みます。

時刻は午後1時頃。昼食利用のお客さんも減って、店内はのんびりとした時間が流れています。店員さんが話しかけてくれたのをきっかけに、常連さんとの昼酒トークがはじまりました。

麦焼酎水割り(240円)

皆さん焼酎を飲んでいらっしゃったので、私も麦焼酎を。結構濃い目で、顔が火照ってきます。開け広げた扉から吹き込む天神の潮風が心地いい。

煮物小鉢(150円)

九州風の出汁で炊いた煮物もまた、福岡で楽しみにしている酒の肴のひとつです。甘くて優しい味わいに、焼酎の水割りは空になります。食券機が近いので、すぐにお代わり出来てしまう――。これは困りました。

対応してくれた長年同店で働くベテラン店員さんのおすすめは、チーズ揚げ。プロセスチーズを大葉と春巻きの皮で包んであげたもの。

ごちそうさま

最近は近隣で働く若い人が飲みに来ることも増えているそうです。若い人の好みをイメージした料理も多数。地元に根づいた酒場は、いまも成長中です。手頃な価格だから日常的に使える『角屋』。待ち合わせ前の一杯や、帰宅(帰宿)前の〆にもぴったりです。

飲んだあとは食器を片付けて、テーブルを自分で拭いて、ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名角屋
住所福岡県福岡市中央区天神2-10-12 角屋食館ビル B1F・1F
営業時間11:00~23:00(土日祝は22:30まで・基本無休)
開業年1950年代