東京の麦酒は、渋谷区と目黒区の際で1887年に創立され、1890年に発売された「恵比寿麦酒」が原点。
恵比寿麦酒は、ドイツ人醸造技師・カール・カイザーによる本格的なドイツビールを基本としており、現在発売されているヱビスビールも、「ビールは、麦芽・ホップ・水・酵母のみを原料とする」というドイツの法律、ビール純粋令の沿った製法でつくられています。
恵比寿麦酒の製造や、これを提供する恵比寿ビヤホール(現在の銀座ライオン)を開業させ、東京の麦酒文化の発展を推し進めた日本麦酒は、その後札幌麦酒と統合し、現在のサッポロビールとなります。
恵比寿という地名も実はビールから来ています。恵比寿麦酒を出荷するするための貨物駅が1901年に現在の山手線の渋谷・目黒間に設置され、5年後には国有化され鉄道院、鉄道省、国鉄を経てJR東日本の恵比寿駅となりました。その歴史の中で、地名もまたここを「恵比寿」と呼ぶようになり、古くからあったこの地の神社も1954年には「恵比寿神社」と改名しました。
麦酒の商品名が、国鉄の駅、地元の町名、さらに神社の名前まで影響することとなった、日本一のビールの街ともいえる恵比寿。そんな恵比寿では、毎年9月に恵比寿麦酒のお祭りを開催。
2019年は宵祭り 9月13日(金)〜 19日(木)、本祭り 9月20日(金)〜 23日(月・祝)。今年も初日にお邪魔して、その様子を取材してきました。
開場は、かつてサッポロビール恵比寿工場があった、恵比寿ガーデンプレイス。誕生から25年だそうですが、完成直後に訪ねたころは筆者は麦酒が飲めなかったのが今でも残念です。
話がそれましたが、恵比寿ガーデンプレイスのプロムナードを下っていくとメイン開場の入り口がみえてきます。
受付で最初のお酒と料理を注文し、チケットと交換する方式。受付では交通系電子マネーSuicaなども使用可能です。追加のオーダーは客席をめぐっているスタッフの方から購入できます。追加のオーダーは現金のみとなります。
ビール祭りのメイン開場となるビヤガーデンの運営は、サッポロホールディングス傘下のサッポロライオンです。普段、銀座ライオン・ヱビスバー各店や本社で働く皆さんが切り盛りされています。毎年思うのですが、100人以上のお客さんが集まるビールの大イベントをストレスなくまわせる恵比寿麦酒祭りのテクニックは、さすがライオンさんだと思います。
どんなに混んでいてもスムーズに、そしてビール会社として間違いのないドラフトビールで楽しませてくれます。
普段は本社勤務の方も、このときは現場復帰。抜群に美味しい樽生ヱビスを受け取ります。
それでは乾杯!
おつまみは、ガーデンプレート(1,400円・税込)。銀座ライオンのロングセラーでファンの多い塩えんどう豆、復興応援食材の金華さば〆鯖、国産黒毛和牛のビーフジャーキー、スモークサーモンの4点セット。世紀をこえてビールを売り続けてきた会社のおつまみは、さすがノンベエ心をくすぐる内容です。
例年、同イベントにあわせて限定樽詰ビールが加わりますが、今年はヱビス with ジョエル・ロブションのフレンチピルスと、上面発酵のビール、ヱビスプレミアムエールの2種類。
フレンチピルスは白ぶどうの香りをほんのり感じる特別な味わい。名前の通り、フランス料理との相性は間違いなさそうですが、魚料理全般にも合いそうなおしとやかな印象のビールです。
こちらは定番の黒ヱビス、ヱビス プレミアム ブラック。何杯か定番ピルスナーを飲んだあとには、ちびちび飲める黒ビールがちょうどいいですね。
18時頃がピーク。席はかなり用意がありますが、満席近い賑わいになるのは毎年のこと。空席のアテンドなど、スタッフの方がスムーズに案内してくれますので、会場に入れればあとはただ楽しく飲んで笑って過ごすだけ。
街とビールに歴史あり。でも、一番の魅力はこの時間を共有する皆さんの熱気。
暑さ落ち着いたこの季節にこそ、屋外でのんびり過ごすビヤガーデンが最高です。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
恵比寿麦酒祭り2019
https://www.sapporoholdings.jp/yebisubeerfes/