2021年6月29日、渋谷に誕生した「手ごね屋」が楽しい!時節柄の外食萎縮を吹き飛ばすくらいのいい店。つくねとレモンサワーの店といえば、いまはどこにでもあると思いますが、さすが大庄と唸らせる老舗のパワフルなジャンプ力を感じさせる酒場が誕生しました。
こんなご時世でも途切れることなく若者が行き交う渋谷センター街。老舗の大箱居酒屋は苦戦しながらも、次々と魅力的な新業態を立ち上げ、いまや外食企業の新業態見本市の様相を呈しています。
長年渋谷センター街で、庄やとして営業していたお店も、2021年6月29日、新業態を立ち上げました。大庄といえば、庄やをはじめ、やるき茶屋などを展開する、上場居酒屋チェーンの重鎮。近年はジンギスカンや餃子などの新業態を立ち上げています。これまで同社の新業態を取材してきましたが、これほどいい意味で「大庄」離れしたお店はありませんでした。
規格外のお店が「手ごね屋」。それでも業態開発から運営まで大庄スタッフで完結していて、王道の居酒屋企業の底力を見せつけられる素晴らしい業態です。
内装は今風の大衆酒場のつくり。直線を多様しぱりっとしたデザインです。渋谷センター街にあっても、決して「かわいい」系に媚びず、プロの酒場の雰囲気を維持しています。
実はこのお店。かなりDXが進んでいます。働く人もその道に明るい人が多く、渋谷らしい応対で可能な限りオペレーションコストを下げています。スミマセン!と呼ばれないかわりに、おしぼりの追加注文までお客さんのスマホからできるようになっています。
レモンサワーや唐揚げ、つくねなどの今のブームを取り込みつつ、筆者の視点としては実にいいバランスで落とし込まれているように感じます。テーマパークではなく、日常的に通いたい空気感の作り方は、さすが全国400店舗を展開する大規模かつ老舗の大庄です。
看板料理は「手ごね屋」だけにつくねです。つくねは鶏ミンチをつかったスタンダードなプレーンのほか、なんこつをまぜた串も用意とされています。味付けのパリエーションも豊富で、あわせれば44種類も準備されています。
ふと天井を見上げれば、ちゃぶ台が逆さまに吊るされていました。大庄の気合がはいった新業態一軒目、造作がすごくこだわっていて、たぶん飲食系の同業者もこだわりに笑ってしまうことでしょう。
目次
改めて、お店へ一緒に。
さて、概要の説明はこれくらいにして、読者の皆さんには、記事で追体験いただきましょう。
2021年6月29日のオープンから、利益度外視でしくねは10,000本を無料でキャンペーンを開催中。お店の予想では、1週間くらいは続けられるとよんでいるようですが、早いものがちなので、行ける方はお早めに。
何十年も庄やとして営業していた店舗。お店は地階にあり、スケルトンから新たに造作されています。
席数は約100。客単価は予想では2~3,000円ほどと、センベロ帯より1ランク上ですが、これだけしっかりした内装ならばむしろコストパフォーマンスは高いといえるでしょう。ベンチシートや、一部ではソファーシートも。
まだ1店舗しかないにも関わらず、つくねの形をしたオリジナルクッションど、だいぶ気合が入っています。
ビールはサッポロです。大庄は各社まんべんなく取引がありますが、本業態はサッポロとのこと。
つくねと並びレモンサワーが看板ドリンクです。サッポロはポッカレモンでおなじみのポッカサッポロがグループにありますから、レモンサワー業態にも強みがあるのでしょう。
そうしたことは置いておき、とにも角にもサッポロ生ビール黒ラベル(500円)で、まずは乾杯です。
品書き
こちらがドリンクの品書き。ビールは生が500円で瓶は赤星で650円。酎ハイ類は350円から。こだわりレモンサワーの種類が非常に充実しており、選ぶのも楽しい。
食べ物メニューがこちら。看板料理のつくねを中心に、揚げ物、映える系おつまみという構成。大庄は自社の食材仕入れネットワークが強く、食材に間違いはないと思います。(食べてみても同感)
注文はお客さんのスマホから
注文はすべてスマホで行います。お客さんから店員さんを呼び出すことがないように徹底的にシステム化がされています。
お客さんは伝票に記載のQRコードを読み込み、そこから注文する流れ。複数人で同時にログインできるので、勢いで頼みすぎてしまいそうです。
お通しは肉味噌キャベツ。おかわり自由。この肉味噌が甘辛くて結構いい味しています。このあと色々注文するので影が薄くなりながちですが、酒場のフリーお通しとしてはかなりクオリティが高い。
映え系ながら、どれもちゃんと美味しい
王道つくね秘伝のたれ(5本680円)
メニューの筆頭にある王道つくねの5種類盛り合わせ。ザクザクスパイスベジペッパーやカラシマヨ、月見など。鉄板に盛られて運ばれ、目の前でタレが注がれじゅーっと跳ね上がります。
つくねは一口サイズ。そのまま外さずに食べられます。
そんな派手なつくねですが、チェーンと侮るなかれの職人技のオペレーション。同社は焼鳥業態もあり、ベテランが集まりました。
鶏むねとブロッコリーのパワーサラダ(530円)
ラーメン用の丼ぶりいっぱいにはいったサラダ。肉系が多い同店で、ヘルシーな料理がありがたい。
シラチャータイ風(150円)とチーズフォンドュ(250円)
変わり串の種類もおそらく類似業態で一番多いでしょう。ソースは小皿とはいえつくね1本に使うにはもったいないくらい用意され、これをサラダなど別の料理にかけても楽しめます。
あまったカレーやチーズはサラダに乗せるなど、使いみちはお客さん次第。
でかい唐揚げ(110円~)
いま、外食は空前の唐揚げブーム。大手飲食店が次々と唐揚げ業態を立ち上げています。老舗の大庄は追従していませんが、飲食店のメニューのひとつとして用意している唐揚げはかなりレベルが高いです。筆者も企業・個人店ともあちこちで食べていますが、ここの唐揚げはなかなかに魅力度が高い。
とくにスパイスをふりかけたものは、酒場としてはかなり個性的。1個140円と手頃ですが、ボリュームもあるので頼み過ぎにご注意ください。
60分500円のレモンサワー飲み放題は素晴らしい
一部のテーブル席は酎ハイサーバーがセットされており、飲み放題は”ゼロ秒”でおかわりが可能。
60分500円と飲み放題としては破格なのも魅力的。プレーンのサワーに注ぐシロップは2種類選べ、スタンダードなど真ん中レモンをはじめ5種類。なお、シロップの中身についてはここでは割愛。答えはお店でご体験ください。
使われているチューハイのベース。サッポロ系だと99.99(フォーナイン)が増加中ですが、こちらではサッポロの伝統的な樽詰めサワー「氷彩サワー」(ホワイトブランデーベース)が繋がれています。これは運営の大庄もサッポロの営業さんも意見の一致で決まったものだそう。(筆者も氷彩推しです!)
シロップは先に注いで、あとは自分でテーブルのタップから注ぐというもの。
キセキのレモンは、メロンシロップとレモンのミックス。見た目は昔懐かしの喫茶店のメロンサワーです。風味はかすかにメロン風味。今年こそはメロンサワーブーム、来るかしら?
継ぎ放題のレモンサワーのほか、漬け込みレモンもあります。甲類にレモンを漬け込んだ本格派。
これがなかなかの美味しさ。甘さ控えめ、バーの果実系カクテルのよう。
つくねがメインのお店で1万本無料はしばらく続きそうです。このタイミングで大庄の新業態を体験してみは?
とくに酒場に最近興味を持ち始めた方には、大庄の新提案はきっととても魅力だと思います。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/株式会社大庄)
店名 | つくね・唐揚げ・レモンサワー 手ごね屋 渋谷店 |
住所 | 東京都渋谷区宇田川町25-2 でんえんビル B1F・B2F |
営業時間 | 営業時間 平日17時~26時 土曜12時~26時(ランチメニュー無し,昼飲み) 日曜、祝日12時~23時(ランチメニュー無し、昼飲み) 日曜営業 定休日 年中無休 |
開業年 | 2021年6月29日 |
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