なかなか昔のように旅に出かけることが難しい今、せめてネットの記事の中で酒場旅をしませんか?東京から京都まで、東海道にある主要駅や宿場町にあるSyupoがオススメする名酒場をご紹介します。
目次
東京都
東京駅(日本橋)・長寿庵
明治40年創業の老舗蕎麦店。江戸の頃から「蕎麦前」といって蕎麦屋で飲む文化があった東京。温かい蕎麦をおつまみにするために蕎麦を入れない「抜き」は東京を代表するおつまみのひとつです。天抜きと菊正宗で乾杯。
有楽町(銀座)・ライオンビヤホール
銀座7丁目のビヤホールは現存する最古のビヤホール。ハイカラの銀座を象徴する飲食店のひとつです。昭和9年に竣工した同建物は戦災を乗り越え、いまも変わらずそこにあります。サッポロビール恵比寿工場を引き継いだ千葉工場からできたてのサッポロ生ビール黒ラベルが、専用の巨大タンクで運ばれてきます。
新橋・まこちゃん
昭和43年創業、新橋で一番席数があるまこちゃん。伝統の濃い味のタレが最高。最盛期の新橋は山手線のドアが開くと車内にまでやきとり(ひらがなで書くと豚モツ)の香りが漂ってくると言われたくらい。サラリーマンの聖地がまた昔の賑わいを取り戻しますように。
品川・タミルズ
新幹線、羽田空港方面など遠距離旅行にとってもターミナルとなった品川駅。ここには全国でも珍しい改札内のビヤスタンドがあります。提供品質にこだわりがあり、状態のいい生ビールを乗り継ぎの合間に楽しめます。
神奈川県
川崎・丸大ホール
朝からやっている大衆酒場。夜勤明けの人々で早い時間から賑わいます。インパクトある大暖簾から感じられる通り、1936年創業とかなりの歴史がある酒場です。
鶴見・岩亀
生麦魚河岸近く、昭和28年からやっている正統派の大衆割烹。刺身がどれも美味しいですが、とくに自家製しめ鯖は絶品!近くにあるキリン生麦工場(正確には横浜工場)で製造された昔ながらの加熱処理ラガービールで乾杯!
横浜(神奈川)・豚の味珍
横浜駅前に残るレトロな小路に残る、豚モツの酒場。横浜らしい中華テイストのある味付けは独特で、他の豚モツ・ホルモン店とは一線を画す店。
戸塚・鳥久
戸塚駅前で半世紀以上続く焼鳥店。再開発で移転するも地元に愛されており2020年初頭までは予約必須の人気店でした。焼鳥の店ですが、おすすめは鶏のハラミ。程よく噛みごたえがあり、鶏の旨味は非常に濃厚です。
大船・鳥恵
鶏肉専門店ですが三浦半島の魚が美味しいと評判の店。真鯛にシマアジ、地ダコなどありますが、姿造りのマアジは絶品。奥に長く伸びるカウンター席で、老舗酒場特有の喧騒にひたりながら、キリン生ビールで乾杯。
茅ヶ崎・升源
昭和40年創業、大箱の酒場です。とれたての生しらすが人気。自家製のシュウマイも美味しく、これに黒ホッピーをあわせれば格別です。
小田原・大学酒蔵
小田原松原神社周辺「宮小路」にある老舗のコの字の店。早川漁港で水揚げされた小田原らしい魚介類を豊富に揃え、そして手頃な価格で提供してくれます。地元の人たちの一体感の中に混ぜてもらうのも楽しみのひとつ。
真鶴・富士食堂
食堂とついていますが、完全に居酒屋です。じんだやめかぶといった地元の素朴な海産物をつまみながら、漁師町のおおらかな雰囲気に浸れます。
静岡県
三島・むさし
三島の昼食はうなぎが人気ですが、お昼から飲むならば「むさし」がおすすめ。もちろん夜もやっています。駅前にあるレトロな商店街の二階にある店で、決して派手ではありません。ですが、ここで食べられる地魚刺身は間違いありません。
沼津・酒蔵かわむら
近海から遠洋まで様々な漁船の基地となっている沼津港。この街は漁師が朝から飲める酒場は昔はかなり多かったと聞きます。いまも朝からやっている店が「かわむら」。なんと創業は昭和7年です。
新蒲原・酒場岩科
写真の魚は駿河湾でとれたハダカイワシ。ほかにもイルカのスマシなど、この地ならではの料理が豊富に揃います。もともと酒販店を営んでおり、広い意味ではここも角打ちでしょうか。
由比・さかえ食堂
桜えび漁が盛んな由比は、街の居酒屋や食堂の多くで桜えびを楽しむことができます。定番の生やかき揚げだけでなく、沖上がり(桜えびのすき焼き風)というソウルフードもおつまみとして用意されています。
清水・金の字本店
清水を府中宿代表するご当地料理である「もつカレー」。3代目が創業時から変わらない製法で味を守っています。無垢の一枚板をつかった立派な変形コの字カウンターは名店の風格たっぷり。
静岡(府中)・多可能
100年続く名酒場。うみつぼなど静岡の貝類が大皿に盛られており、これをまずはつまみに、焼き魚や揚げ物を待ちます。地酒萩錦の1合瓶を傾けながら、名店の風情を楽しみませんか。
掛川・酒楽
昭和27年創業の酒場。元市場関係者の三代目が、非常にレベルの高いお刺身を500円程度の手頃な値段で提供してくれます。いまは貴重になった掛川の地酒「粋君」(復刻版)もここで飲めます。
袋井・しみきん
豚足を煮た「おもろ」は袋井のご当地料理。スーパーのお惣菜としても売られるほど袋井ではメジャーな食べ物ですが、その発祥はここ「しみきん」です。
浜松・稲作
昭和12年創業。続いてきた酒場は良い酒場。大将が立つ板場に向いたカウンター席で御前崎のカツオ刺しを食べれば、きっと浜松の街がもっと好きになります。日本酒は定番に「若鶴」を置いています。
愛知県
豊橋(吉角屋屋酒店
昭和2年から続く老舗酒販店の角打ち。路面電車が行き交う音をBGMに、蓬莱泉などの地酒を手頃な値段で楽しめます。愛知らしい八丁味噌味の冷奴など、おつまみもご当地色たっぷり。
名古屋・角屋
大須交差点で70年続く老舗串焼き店。とん、キモなどの豚モツと、砂肝、とり玉といった鳥串をあわせ、串は10種類。サイドメニューに煮込みなどもなく、この串焼きだけで70年続いてきました。
三重県
四日市・あさひ食堂
60年以上続く四日市の大衆食堂です。お昼から飲んでいるお客さん多数。三重の近海マグロなどのお刺身がずらりと並ぶ冷蔵ショーケースはどれも手に取りたくなります。お昼から通しで営業しています。
京都府
京都(三条大橋)・赤垣屋 ※店は川端二条
昭和9年に創業し、戦後すぐに二条大橋のたもとに移転、その当時の店舗がいまも使われています。レトロな店内に、落ち着いたカウンター席。いまはなき名誉冠の復刻版樽酒が鎮座します。経木に書かれた品書きが素敵です。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)