川崎『丸大ホール本店』創業80余年。朝からやってる街一番の大衆酒場

川崎『丸大ホール本店』創業80余年。朝からやってる街一番の大衆酒場

2022年8月25日

川崎で朝から飲める老舗酒場といえばここ『丸大ホール本店』です。早くて安くてボリューム満点の献立が、なんと100品以上。もちろん味もイイということで、川崎で働く人々から80年以上にわたって親しまれてきました。ランチタイム以外は基本的に飲み客しかいません。

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一軒しかないけど本店です

京浜工業地帯を抱える川崎の玄関口、川崎駅。臨海部を結ぶ京急大師線や臨港バスが集まるターミナルです。工業地帯は昼夜を問わず稼働する職場も多く、昔は夜勤明けの人が日中から飲める酒場がたくさんありました。

いまも日中から営業する酒場がいくつかありますが、午前中から暖簾が掲げられる代表的な酒場といえば『丸大ホール本店』でしょう。創業は1936年(昭和11年)。代々親族で受け継ぎ経営されてきました。屋号には「本店」とありますが、支店はありません。

数年前まで朝8時30分から営業していましたが、昨今の状況で10時開店に変更されました。暖簾にあるとおり、「酒場」であり「食堂」でもあります。飲酒ニーズが変化した現在でも午前中からお酒を飲む人は多く、正午の昼食時以外は平日でも飲み客で賑わっています。

定休日は土曜日で、日曜日は営業するという、一般的な店と定休日が逆になっているのも特徴です。日曜日は沿線の昼飲み好きが集まり、昼過ぎから相席当たり前の満員状態となります。

「いらっしゃい!相席になっちゃうけど、こちらへ」

三代目の女将さんがフロアを仕切っていた頃から今に至るまで、同店の接客は明るくキビキビしていて清々しいです。

2007年頃に改装したため、80年を超えるような歴史を店舗からは感じられませんが、集まる常連さんや店員さんたちの醸し出す雰囲気は、老舗ならではムードがあります。

品書き

店の壁面を埋め尽くすような100品以上の膨大な品書きに囲まれるこの感覚も「丸大ホール本店」の醍醐味です。カテゴリー順に並んでいるのは麺類・ご飯類の一部だけで、お酒とおつまみは散らばっているため見渡さないと見逃してしまいます。

お酒

大樽(樽生)はキリンラガービール中:550円、大:750円。瓶ビール(大瓶)はアサヒスーパードライキリンラガーです。

酎ハイ類は、レモンライム青りんごシークワーサーお茶ハイ酎ハイなど350円均一。

ハイボールは、スコッチのホワイトホースか、サントリーの角ハイボール:各450円。

清酒は、大関とアサヒビールの合成酒利久生酒:650円、八海山720ml:2,400円もあります。

料理

黒板メニューは、シマアジ刺身:550円、カツオ刺身:550円、アジの天ぷら:450円、キンメアラ汁:450円など。

定番メニューは、〆鯖(手作り):450円、マグロ納豆:450円、馬刺:600円、もつ煮込み:350円、ポテトサラダ:350円、焼き鮭:450円、焼豚:450円、肉豆腐:450円、ちくわ磯辺揚げ:300円、自家製たこ天:350円、キス天ぷら:500円、コロッケ:350円、アジフライ:450円、とんかつ:600円、鶏唐揚:450円、ニラ玉:350円、麻婆豆腐:450円、カレー具:350円、たらちり鍋※冬季(700円)など。

刺身も中華も間違いない酒場

キリンラガー生ビール大ジョッキ(750円)

お隣、横浜市鶴見区生麦にあるビール工場でつくられた、キリンラガー生ビールで乾杯!

時刻は14時過ぎ。飲食店が一番空く時間にもかかわらず、丸大ホール本店は今日も大人気。声の大きなグループ客はおらず、老若男女、飲み慣れた黒帯飲兵衛さんばかり。世代や仕事、立場が異なる人も、丸大ホール本店ではみんなフラットな「酒場好き」です。

丸大ホール本店の生ビールは「一番搾り」ではなく「ラガー」。お店の歴史や雰囲気にピッタリとはまる銘柄です。しかも大ジョッキがあります。一杯目はラガーの大生で決まりでしょう。気分はビアホール。

シマアジ刺身(550円)

丸大ホールの看板料理はなにか。酒場を訪ねるときはいつも店の名物料理を探すのですが、ここはなんでしょう。昔から人気の「もつ煮込み」か、自家製の「〆鯖」か。調理人はベテランぞろいで、刺身から揚げ物、中華までなんでもござれ。〆にはキンメのアラ汁まで用意しているお店ですから、ひとつに絞り込めません。

ただ、必ず食べたい料理はあります。それは黒板に書かれた鮮魚刺身。今日はシマアジとカツオです。

シマアジは脂がのっているのに引き締まっていてコリコリ。約12時間営業する人気店なので食材の回転もよいのでしょう。

カツオ刺身(550円)

カツオ刺身はこの厚さ。角がピンとした身に、脂ののった腹身。生姜、にんにくおろしもたっぷり載せてくれる気前の良さが嬉しいです。

大関お燗酒

こうなると、欲しくなるのが日本酒です。八海山の4合瓶も用意されていますが、今日はなにかの記念日というわではないので、いつものお酒で充分満足です。

玉子焼(350円)

食堂のサイドメニュー的な料理が多いのも、『丸大ホール本店』らしさです。もちろん酒の肴にぴったり。まるく盛られたポテトサラダにはソースをかけて頂きます。

レモンサワー(350円)

甘めのレモンサワーで小休憩。揚げ物、炒めものにもあいます。

酢鶏(550円)

本日主役は、酢豚ならぬ酢鶏です。カリカリに揚げた同店人気のジャンボ唐揚げと、ピーマン、玉ねぎ、人参を甘酢餡と和えたもの。餡が絡んでいてもクリスピーな食感も残っています。あふれる肉汁と甘酢餡が合わさり、酢豚とは違った美味しさに。酎ハイやビールがぐんぐんと進みます。※お酒は適量で。

しょうが焼き(500円)

炒め物の王様、しょうが焼きも頼んでしまいました。

細切れではなく、厚みのあるロース肉のような豚肉が素晴らしいです。玉ねぎもたっぷり山盛りです。汁に浸ってシナシナになったキャベツだって立派なビールのお供。

食堂飲みのメニューの多さ、お昼酒の開放感、老舗酒場ならではの温かい雰囲気も楽しめる、大定番の店『丸大ホール本店』。夜勤明けの方も、休日はお昼から飲みたい人も、夕食ついでに軽く飲みたい方にもオススメしたい名店です。

ごちそうさま。

近くのお店

川崎『元祖立ち飲み屋』昭和45年創業。元祖の由来は?肉豆腐が絶品!

(取材・文・撮影/塩見 なゆ Special Thanks/Syupo酒場部の皆さん)

店名丸大ホール 本店
住所神奈川県川崎市川崎区駅前本町14-5
営業時間10:00~22:00(土定休)
開業年1936年