三島「むさし」 駿河湾の幸を板前さんの熟練した技で!駅近、酒飲みの穴場です

三島「むさし」 駿河湾の幸を板前さんの熟練した技で!駅近、酒飲みの穴場です

東京から新幹線や東海道線で簡単アクセス。駿河の街・三島。東西の移動で通過することは多いけれど、降りたことがないという人も多いのでは。

今でこそ通過点のひとつですが、江戸時代は幕府直轄の天領であり、天下の険・箱根山を越えるための休息地として栄えた、東海道五十三次11番目の宿場町でした。伊豆国一宮・三嶋大社の門前町でもあり、繁栄の名残は今も東海道沿いに感じられます。

今日はこの街で長く親しまれている和食屋「むさし」で乾杯したいと思います。

 

東京から三島までは東海道新幹線ならば、こだま号で50分ほど。でも、新幹線だとなんだか味気ない。せっかく駿河湾の魚を求めて飲みに行くのですから、昔懐かしい特急踊り子号で向かうことにしました。

 

小田原を過ぎると、車窓は相模湾の絶景が広がります。缶ビールを片手にのんびりいい気分。

 

三島駅に到着しました。人口10万人の玄関口としてはややおとなしめ。

 

それとは対称的に、駅前から旧東海道が通る本町、広小路周辺まで広大な歓楽街が広がります。とにかく飲食店の数は多く、雰囲気のよい割烹や歴史ある寿司店、名門バーまで揃い、梯子酒には困りません。最近は若い人が立ち飲み店も始められ、駅前の賑わいに貢献されています。

 

向かうお店は駅から徒歩3分の和食処むさし。駿河でもむさし。

三島といえば鰻が郷土の味として知られ、一世紀をこえる老舗もあります。むさしも活鰻の蒲焼を食べさせてくれるお店ですが、鰻専門ではなく魚料理を全般に得意とされています。

 

昔ながらのつくり。硬派な板前さんと温厚なお姉さんたちで切り盛りする老舗です。駅前にあることから観光客向けと思われがちですが、客層は地元のご隠居さんや家族連れがほとんど。土日はきっと観光客も多いのでしょう。

 

ビール(650円)はサッポロ黒ラベル!ではなくて、静岡麦酒(ばくしゅ)の樽生です。静岡は焼津にサッポロビールの工場があり、県内限定ビールとして静岡麦酒がつくられています。静岡の食材とのマッチングを第一に考えた味設計とのこと。魚料理にあうこと間違いなしのビールです。昔ながらの大きい中ジョッキで乾杯!

 

地魚の盛り合わせ(1,500円ほど)。ここにきたら、絶対に頼むべき一皿です。

 

毎朝、駿河湾の幸を仕入れ、鮮度と季節感のある魚種にこだわられているそうです。もうひとつ上の1,950円の刺盛りも品書きにありますが、1人では食べきれないほど来るのでご用心。とにかく良心的です。

 

伊豆を代表する高級魚、キンメを筆頭に、近海マグロ、ぷりっぷりもち肌な鯵、柔らかくジューシーな地蛸など、どれも来てよかったと感じさせる魚介だらけ。

 

松皮造りが美しい天然の真鯛。皮の食感と、皮と身の間にある脂の旨味がほっぺを刺激します。

 

おつまみは600円前後。しらすおろし、桜えびのかきあげ、地魚の天ぷらなど。おすすめは、鰻の看板にしているからこその焼鳥です。鰻の白焼きや蒲焼は3,200円とやはり高級ですが、焼鳥ならば650円と追加に一品頼める値段です。

昔から、鰻屋の焼鳥は美味しいといいまして…、鰻用のボッカ串に刺し、鰻と同様に焼き場でじっくり焼き上げ、甘たれも蒲焼の味を知るのに向いています。鰻サイズのボッカ串なので、鶏も大きく食べごたえ十分です。

 

地酒の三島ばやし、若竹鬼ころし、誉富士と土地の味が揃います。お調子1本(450円)をぬる燗でつけてもらって、お猪口にトトト。きゅっと口に含めば、地産地飲の幸せです。

土地の幸を満喫できる、駅近くの食堂兼居酒屋の「むさし」。取材時は昼どきの利用ですが、夜ならば帰りの新幹線・東海道線の時間までゆっくりするのも良いですね。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

むさし
055-971-2909
静岡県三島市一番町12-19
全席禁煙
11:00~14:30・16:30~21:00(月定休)
予算3,000円