歴史ある町の駅前には一軒や二軒、地元で長く愛されている酒場があるものです。東海道五十三次の5番目の宿場として栄え、近代も日本の大動脈、東海道線が通る街「戸塚」。ここにもまた街の大定番が存在します。
串焼きの「鳥久」(とりきゅう)は戸塚駅すぐの駅前に構える店で、50年目を迎えた老舗です。駅前ロータリーや飲食店街を含む大規模な再開発により、現在は新しいターミナルビルに移転して営業をしていますが、それでも風格を感じます。
新しい建物でも、カウンターは昔ながらの焼鳥酒場の雰囲気そのまま。黒短冊に白文字の品書きと、ホワイトボードの日替わりが「食べて・飲んで」と訴求してきます。
カウンターでは開店と同時頃からベテランのご隠居さんたちがいつもの料理とボトル焼酎で楽しまれていますが、その後ろには今風の掘りごたつ型の小上がりもうります。小上がりの方は若い女性グループが飲んでいたりと、個人店ながら幅広い人に使いやすい雰囲気です。
今日も老舗のカウンターに星が輝きます。乾杯はサーバー・樽共に状態抜群、サッポロ黒ラベルの生ビールで。お通しは鳥軟骨の唐揚げ(300円)です。
昔ながらのたっぷり入る大生ジョッキ。これで670円はいまの時代、お財布に優しく感じます。瓶ビールも取り扱いがあります。
そんな生ビール大や大びん、生貯蔵酒などをセットにお得にお店を楽しめるサービスセットがはじめての方にはおすすめです。手羽先、つくね、ぼんぼち、ねぎま、お通しもついて1,880円。お酒を酎ハイにすれば1,610円からとさらに嬉しい値段。串の内容が違うBセットもあります。
焼鳥が大ぶりなので、お一人ならばだいぶ満足するはずです。
串のイチオシはつくね。丁寧に下ごしらえしたみっちり、そしてコリコリとした食感が楽しい一本です。肉の旨味と濃いめの甘たれとの相性も抜群です。
練り込みでニラとなんこつがポイントです。
鮮度のよい鶏を大衆価格で楽しませてくる鳥久。ここで「ハラミ」といえば、もちろん牛ではなく鶏肉です。ぼんぼちピリ辛揚げなど鶏づくしの中でも、これは珍しい一品です。
噛みごたえがほどほどあり、旨味がぎゅっと詰まっている”ハラミ”。値段も450円とお手頃です。
そんなハラミ焼きにおすすめは、鳥久オリジナルラベルのにごり酒。製造は信州の酒蔵・横笛です。ほのかにシュワシュワしています。混ぜる前に、まずは上澄みだけ飲むと、これがまた美味しい。味を変えて二度楽しめます。
冷やしトマトを食べつつ、アットホームな雰囲気に浸ります。親子でつなぐ老舗ののれん、阿吽の呼吸はカウンターでみていてよいものです。
戸塚の老舗焼鳥で、ちょいと一献いかがでしょう。きっとサービスセットだけでは収まらず、長居したくなるはずです。
結構な人気店、カウンターも満席で入れ代わり立ち代わりで鳥久ファンが飲みに来ています。念の為予約されることをおすすめします。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
鳥久
045-864-9488
神奈川県横浜市戸塚区戸塚町16-1 トツカーナモール 1F
17:00~23:00(日祝定休)
予算2,600円