福岡は居酒屋好きにとって特別な場所です。なんといっても店の数やバリエーションが豊富。しかも首都圏よりリーズナブルな印象を受けます。福岡空港は搭乗口直前に立ち飲みがありますし、JR博多駅も改札徒歩30秒の場所に飲み屋横丁がある。大阪のように酒場が密着している街なのです。
今回は福岡の中心街、JR博多駅・中洲・天神エリアにある数多の飲食店の中から、オススメのお昼酒スポットを10軒ご紹介いたします。定番の居酒屋から千ベロ店、角打ち、町中華と様々なジャンルから選びました。
目次
1,【定番】博多『よかたい』
総本店
JR博多駅からはじめましょう。1店舗目は『よかたい』。1971年に養老乃瀧チェーン九州本部として創業。2010年に養老乃瀧から離れ、新たに『よかたい』という名で大衆酒場を展開することになりました。JR博多駅構内(改札外)に2店舗を構えるほか、筑紫口には巨大な総本店もあります。
よかたいの特長は、安くて、早く、福岡の味が楽しめること。博多駅で軽く飲みたくなったら、とりあえずお昼から通しで営業している『よかたい』へ行っておけば大丈夫。
看板料理は一口餃子(6個275円)やぐるぐるとり皮(165円)、博多明太子(374円)など。
軽くお酒1~2杯と料理1品で昼飲みランチなんていう使い方もオススメ。
住所 | 福岡県福岡市博多区博多駅中央街6-11 |
営業時間 | 立ち飲み:11:30〜23:30 着席居酒屋:17:00〜23:30(基本無休) |
開業年 | 2010年(前身の「養老乃瀧博多駅前店」は1978年) |
駅構内のマイング店
総本店はとにかく大箱で、空間が広い分ゆったりと過ごせます。対する駅ナカにある「マイング店」は、JR博多駅のホーム下なので店のサイズはコンパクトですが、その分、改札からの距離が非常に近い。
電車で「喉が渇いた」と思ったら、JR改札から30秒でお店に入り、すぐに樽生の黒ラベル(539円)を飲むことができます。こちらの瓶ビールはサッポロラガー(赤星)ですが、なんと大瓶で税込517円。おそらく博多駅構内で最安です。
品揃えは本店よりやや少なめですが、カウンター越しの目の前で調理するライブ感や、駅構内ならではの活気なども楽しく、あえてこちらを選ぶという常連さんもいるそうです。
営業時間は朝10時から夜23時まで。ファーストフード店感覚で利用できるクイックな酒場(一部立ち飲み)です。
住所 | 福岡県福岡市博多区博多駅中央街1-1 博多駅 マイング横丁 |
営業時間 | 営業時間 〔月~日、祝日、祝前日〕 10:00 – 23:00(L.O 22:30) 日曜営業 定休日 無休 |
開業年 | 2009年(よかたいとして営業を開始した年) |
2,【ビヤホール】博多『銀座ライオン KITTE博多店』
次にご紹介するのは、旧博多郵便局を再開発してつくられたJR博多駅直結の商業施設「KITTE博多」内に入るビヤホールです。
東京や札幌でおなじみ、サッポログループの直営ビヤホール『銀座ライオンKITTE博多店』。2016年4月開業と、銀座ライオンとしては非常に新しい店舗ですが、博多でのサッポロビール(日本麦酒)系ビヤホールの歴史は長く、1953年(昭和28年)には「博多ライオン」という店舗があり、同店はその系譜にあたります。
九州最初の近代的大規模ビール工場となった帝国麦酒門司工場は、大日本麦酒に統合されのちにサッポロビールとなりました。サッポロビールは遠く北海道のブランドではあるものの、九州でもしっかり根付いているのはそうした背景があったからでしょう。
博多のライオンでは、門司工場が移転して誕生したサッポロビール九州日田工場で製造されている、日田の湧水で仕込んだこの土地ならではのサッポロ生ビール黒ラベルを味わうことができます。
博多店にしかないご当地料理もありますから、全国チェーンではあるものの個性があって楽しいお店です。
開店は11時です。基本的に無休で営業中。
住所 | 福岡県福岡市博多区博多駅中央街9-1 KITTE博多9F |
営業時間 | 月~木・日 11:00~22:00(ラストオーダー 21:15) 金土祝前日 11:00~23:00(ラストオーダー 22:15) |
開業 | 2016年 |
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3,【餃子】『旭軒 駅前本店』
一口餃子は福岡の郷土料理です。中華料理店ではなく、餃子を専門にしている老舗飲食店が多数あります。駅近くで代表的な存在は、ここ『旭軒 駅前本店』。一日5千個を仕込むという驚きの繁盛店ですが、昼食時は営業しておらず、開店は15時と昼飲みとしてはちょっと遅め。
戦後の混乱が残る昭和29年に屋台としてはじまり、2代目がその味を受け継ぎ守っています。町中華や老舗の餃子店というと女性ひとりでは入りにくいムードがあるかもしれませんが、ここは広くて接客もスマート。買い物帰りのお一人様から、居酒屋的に使う会社員グループなど、老若男女が思い思いに餃子の味を楽しんでいます。
看板料理の餃子は本当に一口サイズ。しかも皮は1mm以下と非常に薄く、汁を含んだ具が透けてみえるほど。
餃子が焼き上がるまでの時間、お酒好きの常連さんはカウンターに置かれている手羽先をもらって、これをつまみにビールを飲んでいます。作り置きなので冷えているのですが、むしろ味が染みていて美味しいです。
住所 | 福岡県福岡市博多区博多駅前2丁目15−22 |
営業時間 | 15:00~24:00(日定休) |
開業年 | 1954年 |
4,【居酒屋】『居酒屋 まる家 西中洲』
西中洲・春吉橋、国体通りに面した好立地にありながら手頃な価格で玄界灘等の鮮魚を食べさせてくれる超人気店『居酒屋 まる家 西中洲』。19時頃は予約が必要なほど混み合いますが、開店は15時と早く、昼飲みとしても利用できます。こんな歓楽街にあるのに、戸建て(二階建て)で広い座敷を持つ不思議な居酒屋。
名物は呼子直送イカの姿造り(3,400円)ですが、そのほかにも刺身は豊富ですし、福岡名物の「ごまさば」(730円)も楽しめます。
はまち刺し:600円、あじ姿造り:980円、鯛姿づくり:4,600円など。
大きな店なので、人数が多くても入りやすいのがポイント。一階は板前さんの調理風景を眺めながら飲める長いカウンターがあり、一人できても馴染める雰囲気だと思います。
住所 | 福岡県福岡市中央区西中洲1-18 |
営業時間 | 営業時間 月~木:15:00~翌2:00(L.O.翌1:30) 金・土・祝前:15:00~翌3:00(L.O.翌2:30) 定休日 日、祝日 |
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5,【うどん】『ウエスト春吉店』ほか各店
『ウエスト』といえば、福岡・福間発の九州ではメジャーな博多うどんチェーン(一部焼肉・中華あり)です。創業は1966年で、なんと150店舗もあります。東京で例えるならば、はなまるうどんのような店。
ワンコイン以下でうどんが食べられる店ですが、いわゆる低価格うどんチェーンと異なり、多くの店でおつまみや品数豊富なアルコールドリンクを揃えています。
おろし丸天:200円、もやし炒め:200円、もちもち水ギョーザ:300円、アジフライ:350円、よだれ鶏:400円、山芋ふわとろ焼き:450円など。※おつまみは店舗によって提供開始時間が異なります。アルコールは終日提供。
おつまみの筆頭とも言えるのが「もつ鍋」で、一人前なんと税込み290円。丼ぶりに盛られてくるのではなく、ちゃんと鍋で提供してくれる本格派ながら、びっくりするほど安いです。
筆者の場合、『ウエスト』に来たらうどんよりも注文することが多い「もつ鍋」。福岡うまれの方にはウエストのファンは多く、『ウエスト』のモツ鍋はむしろ観光客より地元の人のほうがやオーダー率が高いように思えます。
関西や首都圏にも少しずつ広まっている福岡発のうどん居酒屋。〆はやっぱりコシのない福岡のうどんでしょう。
店名 | ウエスト 春吉店 |
住所 | 福岡県福岡市中央区春吉3-21-24 |
営業時間 | 営業時間 11:00~23:30 日曜営業 定休日 無休 |
創業 | ウエストの創業は1966年 |
6,【立ち飲み】天神『角屋』
西鉄福岡(天神)駅に構える巨大な居酒屋ビル『角屋』。1950年頃から続く、天神駅前で定番の居酒屋のひとつ。一階はお昼から営業している立ち飲みで、千円札一枚でも十分楽しめます。
まずは食券機でチケットを購入し、それを店員さんに手渡し、お酒や料理を受け取ったら適当なテーブルへ。カフェテリア方式です。料理はまるで学食や職域食堂のような安さ。しかも、この値段で福岡の郷土料理まで食べられるのですから素晴らしい!
刺身:350円、しめさば:350円、ごま鯖:350円、まる天揚げ:200円、豚足唐揚:300円など。※2022年取材時
夜は混み合いますが、お昼は店員さんと常連さんが世間話をしているような、のんびりとした時間が流れています。若い人のお一人様も増えているそうですし、勇気をもってぜひ訪ねてほしいお店です。天神で千ベロならば、まずはココ!
住所 | 福岡県福岡市中央区天神2-10-12 角屋食館ビル B1F・1F |
営業時間 | 11:00~23:00(土日祝は22:30まで・基本無休) |
開業年 | 1950年代 |
7,【海鮮・寿司】天神『鮨金』
『鮨金』は、天神駅前のアーケード「新天神」で半世紀以上愛されてきた地元のローカル回転寿司店。駅前の一等地で、なおかつ岩田屋などの百貨店、複合商業施設などが立ち並ぶ場所にあるので、買い物帰りの方でお昼から賑わうお店です。
もともとは回転寿司ではなかったのですが、10年以上前に現在の姿へ。それでも職人さんたちの気質は変わらずで、大将自ら長浜鮮魚市場へ出向き仕入れています。
一回の回転寿司コーナーも中休みなくお酒も良心価格なので十分昼飲みで利用できますが、おすすめは二階席。ふつうの寿司店の二階にあるようなゆったりとしたテーブル席が並び、お刺身、寿司に限らず、魚介系の一品料理をいろいろ楽しむことができます。予算は3,000円くらい。
落ち着きのある空間で、お昼から美味しい福岡の魚で一杯楽しみたいときはぜひ!
びっくり刺盛り:1,320円、ごまさば:770円、このしろ刺:550円、たい刺:770円、みる貝刺:1,320円など。※2022年の取材時
店名 | 鮨金 |
住所 | 福岡県福岡市中央区天神2-8-222 |
営業時間 | 11:00~22:00(不定休) |
8,【食堂】天神『一善めし青木堂』
ここまで大衆酒場、立ち飲み、うどん飲み、寿司店と紹介してきましたが、昼飲みの王道といえば、やっはり”大衆食堂”でしょう。天神には全国の食堂飲み愛好家が集まる店があります。その名も『一善めし青木堂』。創業60年(1957年開業)を超える天神エリアでもとくに長く続く店です。
ランチのピークを外せばのんびりテレビを眺めつつおかずをつまみに飲める空間です。料理はショーケースにずらりと並んでいます。どれも100~200円台と大変リーズナブル。
店を守るのは若き三代目。いまも変わらない良心価格で続けています。
平日は朝から飲める8時30分開店。素朴な料理をつまみに、九州の焼酎でほろ酔いの食堂飲みを楽しんでみませんか。
住所 | 福岡県福岡市中央区大名1-11-28 |
営業時間 | 営業時間 [月~土] 8:30~21:00(L.O.20:30) [祝] 11:00~17:00 定休日 日曜日 |
創業 | 1957年 |
9,【町中華】『金龍』
ベテランご夫婦が長年切り盛りしてきた老舗の大衆中華(町中華)。かなり年季のはいった建物に、老舗中華で飲むのが好きな筆者は毎回ワクワクします。店に入ると外観から想像する以上に奥へ長く、L字カウンターが伸びています。
町中華といえば、ここは福岡。やはり餃子は一口サイズ。薄い皮に包まれた餃子は旨味が強くビールを誘う味です。
店先のテントにうっすら消えかかって「お酒とお食事」とあるように、こちらはお酒を落ちついて飲める雰囲気の店。といっても瓶ビール(キリン):600円、焼酎(黒霧島・いいちこ):各400円、日本酒:600円の計4種類しかありません。
ですが、ここのダルメンは、お酒好きなら飲まなきゃもったいなく感じる味なんです!
※ダルメンは独特な皿うどんのこと。『金龍』では、豚、さつま揚げ、蒲鉾、チキワ、キャベツなどが入っています。
住所 | 福岡県福岡市中央区舞鶴1-9-6 |
営業時間 | 営業時間 〔平日〕 11:00~21:00(L.O.20:30) 〔土〕 11:00~14:00 定休日 土曜日の夜と日曜祝日 |
創業 | 60年以上前 |
10,【角打ち】『小谷酒舗』
食事がメインになりがちの9軒を紹介してきましたが、昼食とは別に軽くお酒が飲みたいこともあるはず。そんなときは、酒屋さんで飲むのはいかがでしょう。九州北部はお酒屋さんで飲む、いわゆる角打ちが盛んなエリア。
“角打ち”という言葉自体も吸収北部の方言と言われています。
天神で角打ちといえば、有名なのはここ『小谷酒舗』。午前11時(土曜祝日は正午から)から店内飲酒が可能。平日も角打ち営業していますので、ふらっと訪ねて喫茶店感覚で過ごせます。といっても立ち飲みですが…。
酒屋さんですからお酒の品揃えは非常に豊富。天神の給水所的存在です。
乾きものをつまむもよし、豚足や豚角煮、手羽元でがっつりいくもよし。中心街である大名エリアに『小谷酒舗』がある安心感は大きいです。お昼はもちろん、お酒好きが集う夜もオススメ!
角打ちはハードルが高いと感じられる方はいらっしゃると思いますが、『小谷酒舗』はとっても親切ですからご安心ください。
住所 | 福岡県福岡市中央区大名1-11-13 |
営業時間 | 営業時間 [月~金] 11:00~22:00 [土] 11:00~21:00 [祝] 12:00~19:00 定休日 日曜日 |
創業 | 1950年 |
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)