南九州最大の都市・鹿児島は、福岡や熊本とはまた違った文化圏を持つ巨大な商都です。歴史あり、賑わいありの街には、当然「酒」と「酒場」あり。散策の合間にふらっと寄れるような昼飲み処も多数ありますので、お酒好きにはたまらない街です。今回は、ジャンルごとに鹿児島昼飲みスポットガイドを合計8軒ご紹介します。
目次
朝から市場で飲む
鹿児島港『市場食堂』
朝から飲みたいときは、全国の主要都市なら公設の卸売市場が頼れる存在です。
鹿児島の水産市場は港直結の場所にあり、水揚げしたての新鮮な魚介類が並びます。仲卸が並ぶ本館には入れませんが、飲食店や売店がある関連棟へは一般の人も立ち入り可能。市場で働く人のための”職域食堂”が数軒あり、手頃な定食から新鮮な地魚まで揃っています。
『市場食堂』は70年続いてきた食堂で、市場関係者にはおなじみの店。飾り気のない「社食」のような雰囲気ですが、朝から大賑わい。
市場酒の醍醐味といえば、リーズナブルな価格でとれたての地魚をつまみにビールを飲むこと。定番のアジのハリがあってプリップリです。
海鮮丼には、名産のキビナゴをはじめ、ブリやカツオ、エビ、蟹などが載っていて色々食べられます。
ランチのピークは混み合いますので、早めに訪ねることをおすすめします。
住所 | 鹿児島県鹿児島市城南町37 鹿児島市魚類市場内 |
営業時間 | 営業時間 5:00~15:00 定休日 日曜・祝日鹿児島市中央卸売市場魚類市場の休市日は休み 市場カレンダー(鹿児島市WEBサイト ) |
開業時期 | 1950年頃 |
郷土料理で飲む
鹿児島中央駅前『川久』
鹿児島といえば、名産の黒豚で一杯飲みたくなりますよね。そんなときは、商店街にある家族経営のとんかつ店へ!
鹿児島中央駅から徒歩5分ほどの『川久』は60年続く老舗で、現在は精肉問屋の直営店です。
昔ながらの一軒家の店なので、旅情たっぷりでお酒が進む雰囲気。さあ、黒豚とんかつをもらって、一番搾りと芋焼酎をいただきましょう。
昼食に軽くお酒をつけて昼飲みを…というつもりが、黒豚軟骨煮や豚天、川久コロッケなどをもらって、気がつけばしっかり飲むモードなんてことも。旨味が強い黒豚は芋焼酎と相性ぴったりです。
住所 | 鹿児島県鹿児島市中央町21-13 |
営業時間 | 営業時間 11:30~15:00(L.O.14:30) 17:00~21:30(L.O.21:00) 日曜営業 定休日 火曜日、1月1日~2日 |
創業 | 1961年 |
いづろ通電停・山形屋近く『みなと食堂(2号店)』
錦江湾は天然の養殖場と言われ、魚種が豊かで鹿児島の食卓に彩り添えています。
中でも、最近注目されているのが「かのやカンパチ」です。天然の稚魚をいかだ養殖で育てる、極めて天然に近い環境で成長させた「カンパチ」のこと。鮮度にこだわり、船上で活締めして出荷される鹿児島県認定のブランド魚です。
豊洲市場などにも出荷されていますが、せっかくなら鹿児島で食べたい。そんなときには、鹿屋市漁協直営の『みなと食堂』がおすすめ。鹿屋に本店がありますが、鹿児島市中心街・山形屋近くにも2号店があります。
かんぱち漬け丼は700円ととってもリーズナブル。鹿児島の甘い醤油で一晩漬け込んだ新鮮なカンパチは、脂の甘さと醤油の旨味が混じり合い、ほっぺが落ちるような美味しさです。
あら煮がついたセットは、これで900円。かんぱちのカブトはそれだけで食べごたえがあり、焼酎がすいすいと進みます。
住所 | 鹿児島県鹿児島市泉町3-3 よかど鹿児島別館 1F |
営業時間 | 営業時間 11:00~14:00 17:00~21:00 日曜営業 定休日 第2火曜日 |
開業 | 2021年 |
天文館『むじゃき』
鹿児島の名物甘味「白熊」(フルーツ入ミルクかき氷)発祥の店として全国区な人気店『むじゃき』。一階では甘味処ですが、2階のレストランはお昼から通しで営業する食事処。
天文館のアーケードを眺めながら食事や白熊が楽しめます。
お酒の品揃えも充実しており、薩摩焼酎各種に加え、状態抜群のサッポロ生ビール黒ラベルも手頃な価格で用意されています。
白熊をつまみに生ビール。ちょっぴり不思議な組み合わせですが、のんびりとした鹿児島の午後、こういう時間もいいものです。
住所 | 鹿児島市千日町5-8 天文館むじゃきビル 2F |
営業時間 | 営業時間 [月~土] 11:00~22:00(L.O.21:30) [日・祝] 10:00~22:00(L.O.21:30) 毎年7月・8月は連日10:00~営業 日曜営業 定休日 不定休 |
創業 | 1946年 |
天文館近く『さつま酒飯店 和総』
鹿児島に来た目的は、芋焼酎!という方には、こちらのお店がおすすめです。
芋焼酎に詳しい店主が、焼酎とのペアリングを考えた料理を出してくれる『さつま酒飯店 和総』。2016年の開業以来、焼酎好きの心を掴んできた人気店。なんと100種類の焼酎を揃えています。
お昼は14時入店まで受け入れてくれるので、鹿児島・天文館到着が昼食時を過ぎてしまっていても安心。
夜はとんこつ味噌煮、枕崎カツオタタキ、キビナゴ南蛮漬けなど、鹿児島料理を比較的手頃な価格で食べさせてくるお店ですが、実はお昼も大変魅力的。
なんとこのWASOUランチが1,000円。カンパチのカルパッチョやチキン南蛮など、昼飲みには十分過ぎる内容です。
お昼からヱビスやSORAHI1984、なにより珍しい芋焼酎などのアルコール類を注文可能。アットホームな雰囲気の中、昼食がてらの昼飲みを満喫できると思います。
住所 | 鹿児島県鹿児島市東千石町7-17 ニイムラビル 1F |
営業時間 | 営業時間 11:30~14:00 17:30~23:00 日曜営業 定休日 月曜日 |
創業 | 2016年 |
立ち飲みで飲む
鹿児島中央駅前『立飲み屋 キリツ』
九州は、福岡だけが立ち飲み天国ではありません。鹿児島にも1杯250円~で焼酎が楽しめる素敵な立ち飲みがあります。
『立飲み屋 Kiritsu(キリツ)』は、鹿児島中央駅前と天文館・むじゃき本店前の二箇所に構える、地元で圧倒的な人気立ち飲み店。
開店は13時。定員70名(すべて立ち飲みです)ある店内は夜にはいっぱいになるそうです。
おつまみは300円~。キビナゴの刺身と芋焼酎で550円。とっても良心的な値段なので、カフェ感覚で一寸一杯引っ掛けてみては?
さつま揚げなど一通り鹿児島名物が揃っているほか、焼酎の数も約80銘柄と大変充実しています。
こちらは天文館前の店舗。明るくて一人でも気軽に入れる雰囲気です。
住所 | 鹿児島県鹿児島市中央町2-5 1F |
営業時間 | 13:00~24:00 無休 |
鹿児島駅前『足立屋』
鹿児島駅前にも立ち飲み屋があります。店名は『足立屋』。旅行好きの方は、「あれ?沖縄の?」と思ったかもしれません。そう、その『足立屋』です。
牧志公設市場で一躍話題の店になった「足立屋」は、那覇だけでなく、沖縄本島にいくつも支店を出すまでに成長しました。そして、ついに鹿児島にも上陸。それが鹿児島駅前の『足立屋』です。
せんべろセットも沖縄同様のシステムで健在。ビールテイストや泡盛、焼酎など選べるお酒3杯と料理1品ついて税込み1,000円。今の時代で、これは激安です。
料理は定番の串揚げに加え、東京下町風からし焼き、やきとり、手羽先唐揚げなど。安くて楽しいお店です。
住所 | 鹿児島県鹿児島市小川町9-10 |
営業時間 | 営業時間 [月~日] 15:00~24:00 日曜営業 定休日 不定休 |
角打ちで飲む
鹿児島中央駅前『コセド酒店 中央駅店』
九州北部の方言である「角打ち」は、酒販店で飲むことを呼びます。北九州には非常に多くの角打ちがありますが、鹿児島はやや控えめ。ですが、鹿児島中央駅前には焼酎好き必見のお店がオープンしています。
焼酎蔵との直接仕入れもあるという『コセド酒店』。本格焼酎の品揃えは相当なもので、売り場をみているとあれもこれも買いたくなります。また、午後2時からは角打ちスペースもオープンし、1杯450円からで貴重な焼酎、日本酒が楽しめます。
かつお酒盗クリーチーズ(300円)をおつまみに、知覧醸造(南九州市)多楽き 無濾過を。
ナッツのような帰りと麹の甘さがふんわり香る南薩の焼酎に、枕崎産の酒盗をあわせる。土地の酒と肴を、地元の酒販店店員さんから話を聞きつつ味わう贅沢なひとときです。
こちらは日南焼酎八重桜(古澤醸造・日南市)のyaezakura ワイン酵母仕込焼酎。パッションフルーツのような華やかな香りに感動します。こうした個性的な焼酎に出会えるのも角打ちの楽しみの一つです。
店名 | コセド酒店 中央駅店 |
住所 | 鹿児島県鹿児島市中央町23-21 アエールタワー 1F |
営業時間 | 営業時間 平日: AM10:00~PM 7:00 角打ちはPM2:00~PM7:00 ※ラストオーダーPM6:15 日・祝: AM10:00~PM 7:00 角打ちはPM2:00~PM7:00 ※ラストオーダーPM6:15 定休日: 第2・第4 月曜日 |
創業 | 1964年 |
気になるお店はありましたか?
ほかにも、鹿児島中央駅内(改札外)には「中央駅ふく福」や「炭焼き初代 はぜる」など、駅ナカでも昼飲みが楽しめます。鹿児島散策は、ぜひほろ酔いでお楽しみください。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)