松江『山小舎』島根最古のバーで味わうマティーニとフルーツカクテル

松江『山小舎』島根最古のバーで味わうマティーニとフルーツカクテル

松江最古のバーは、昭和32年創業の『山小舎』です。3代目のオーナーバーテンダーは、松江のこと、カクテルのことなどを教えてくれるお話上手な方。松江在住の人が飲んだ末に集まってくる、お酒好きにとっての隠れ家のようなオーセンティックバーです。

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40席ある大きな山小舎

外観

別の媒体の取材のために松江に訪れていました。無事、仕事を終え、編集者さんとわかれた後にやってきたのは『山小舎』です。バー好きの間では有名な店で、島根で現存する最古のバーと言われています。

この店は以前から各地のバーテンダーさんから教わっておりましたし、今回取材で訪ねた店に集まる常連さんからも、「バーは『山小舎』だね」と聞いていました。

石積み風の外観の2階建てで、本物の山小舎のような重厚感のある店構えです。バーとしては珍しい戸建てで大きな店ですが、入り口は”こういうのが好きの人”以外を寄せ付けない、重厚感のある片開きの扉一枚だけ。外から店内の様子を窺うことはできません。

内観

そっと扉を開けると、高い天井と一直線のカウンター、そしてにこやかに迎えてくれるオーナーバーテンダーさんが立っていました。まだ雪が残り、冷たくピリッとした緊張感のある松江の夜、扉一前挟んだだけで、そこは別世界です。

暖かい店内で、コートをお手伝いの方に預け、マスターの正面に案内していただきました。

現在の店舗は、1970年代に建てたものだそう。二階へ吹き抜けの天井からは鎖で照明が吊るされていて、なんとも味わいのある雰囲気です。

お客さんは私ひとりでしたが、やがて増えてきて、四人組はニ階席へと案内されていきました。バーカウンターの真上がニ階席。西部劇にでてくるパブのロフト的な雰囲気でもあり、上の席の欄干から見下ろして飲むのも楽しそうです。

品書き

  • スタンダードカクテルは1,000円ほど
  • ラム酒とリンゴのスムージー:1,300円
  • 金柑のジントニック:1,200円
  • 紅ほっぺいちごのカクテル:1,400円
  • 夏みかんのソルティドッグ:1,200円
  • 生ハム・サーディンのウォッカ焼き・ボイルドウインナー・レーズンバターなど、料理も充実。

自然と話が弾む楽しいカウンター

初めてのバーは緊張しますが、マスターの「いらっしゃいませ」の言葉で一気に心がほぐれていきます。この緩急は何度味わってもいいものですね。

現在はウイスキーやフルーツカクテルも充実していますが、先代までは全国のサントリーバーなどでみられた、スタンダード(レガシー)カクテルをメインとした内容だったようです。

そうした背景もあって、一杯目は王道の「マティーニ」をつくっていただきました。

きっちりとした仕事。長く続いてきた理由がわかるように思います。まろやかで優しい味ですが度数も高い。すーっと喉を通る感覚を楽しんでいると、不思議と満腹感がおさまります。

自家製スムークチーズなど、お料理もとても魅力的な山小舎。お通しには特製のハム。これが少し酔っていても記憶に残る美味しさでした。

ラム酒とリンゴのスムージー

現マスターになってからフルーツカクテルを提供するようになったそうです。島根はフルーツの名産地。旅行者としては、やはり地物が味わえるのは嬉しいです。果肉たっぷりで、さわやかな味わい。〆のカクテルとしてぴったりでした。

ごちそうさま

お手伝いのスタッフは、長年にわたり島根大学の学生さんが担当されているそうで、私が訪れたときもそうでした。オーセンティックバーは立派な文化の一つであり、次世代の方々にもこうした場所での楽しみ方が広まることを願っています。

気がつけば、カウンターは一人で訪れる常連さんらで埋まり、ニ階席でも二次会が始まっている様子。松江の街に『山小舎』はなくてはならない存在なのだと感じました。

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名山小舎
住所島根県松江市東本町1-33
営業時間営業時間
〔月~木〕
19:00~24:00
〔金・土〕
19:00~翌1:00
定休日
日曜日(日月連休の場合は日曜営業、月曜休み),第1月曜日、第3月曜日
開業時期1957年