松江「橘屋本店」 昔からの繁華街で、深夜の〆蕎麦と地酒を楽しむ

松江「橘屋本店」 昔からの繁華街で、深夜の〆蕎麦と地酒を楽しむ

2019年9月12日

日本三大蕎麦のひとつ、出雲蕎麦が有名な島根県。出雲市のお隣、同県の県庁所在地であり、国宝松江城を中心とした歴史ある城下町・松江には、50軒以上の蕎麦屋が存在します。

蕎麦屋で飲む「蕎麦前」の文化が根付いていて、多くのお店で夜は居酒屋にお酒と肴を楽しむ地元の方の姿がみられます。

松江の古くからの繁華街、東本町にある「橘屋本店」は、そんな松江の蕎麦屋飲みを楽しむのにはオススメの一軒です。営業時間は、なんと深夜1時まで。居酒屋で宍道湖の幸を楽しんだ後、静まった松江の街をふらふらとほろ酔いで訪ねるのにぴったり。

松江城の堀川、京橋川沿いにあり、橋を渡れば松江日赤病院や島根県庁など、県の中心地らしい施設が集まるエリア。かつての侍町です。

 

民芸調の店内には、囲炉裏もあります。木材をふんだんに使用したぬくもりある空間です。

 

客席から見える場所にそば打ちの部屋があり、遅い時間にも関わらず、ちょうどそば打ちの真っ最中でした。

 

橘屋の創業は1975年。松江駅に近い歓楽街・伊勢宮にも支店があるそうです。本店は駅から15分ほど歩く場所にありますが、だからこそ落ち着いて飲める雰囲気でもあって、来たかいがあります。

 

地元のお父さんたちがお酒を酌み交わして静かに酔いを進めている店内。定番は蕎麦焼酎雲海のそば湯割(420円)。島根の蕎麦のスタンダードは挽きぐるみ。そのため蕎麦湯も蕎麦の香味が強く、そば湯割も特長的です。いたわさではなくて、あごの焼き(500円)が松江らしい。

 

日本酒は橘屋本店から徒歩1・2分ほどしか離れていない米田酒造の豊の秋(470円)。ビールはアサヒスーパードライとキリンラガーです。

 

月見山芋(380円)をおつまみにして、地酒・豊の秋で乾杯!

日本酒もそば湯割も、どちらもビアタンでやってきます。蕎麦前の上品さや蕎麦のうんちくとは逆の、このだらりと飲める感じもよいものです。

 

蕎麦は800円前後。うどんや丼ものもあり、城下町のめしやらしい品書きです。

 

出雲蕎麦といえば割子が全国的に知られていますが、橘屋は釜揚げそばが人気です。一軒前の店のカウンターでお話した松江で長年飲んでいるという酒場の大先輩も、「飲んだ後は、橘屋の釜揚げがいいんだよ」と太鼓判を押されていました。

 

蕎麦を茹でた湯(つまり蕎麦湯)といっしょに盛られた温かい蕎麦で、そのままそばの風味を感じつつ食べるもよし、そばつゆを好みの塩梅で注ぎ足していくもよし。鰹節、きざみねぎ、海苔を載せたシンプルなもので、松江では昔からの食べ方だそうです。

 

黒くもちっとした食感に、じんわり香るそばの実の風味。〆が玄丹そばというのは、松江旅らしくていいものです。

 

他の都市にはない落ち着きと素朴さと、地のものの味を活かした美味しいものがいっぱい松江堀川の飲食店街です。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

橘屋 本店
0852-25-0496
島根県松江市東本町2-64
18:00~25:00(ランチあり・日祝定休)
予算1,800円