チャーハンでビールを飲む――。
炭水化物でお酒を飲むというのは邪道かもしれません。ですが…
今日はお酒を控えめにして「食事をメインに軽く飲みたいな」というときに、大衆中華のチャーハンは最高です。二軒目に街中華を選んだときに、うっかり頼んだチャーハンはカロリーの罪悪感もスパイスです。なんだかんだで、チャーハンをおつまみにしてしまうこと、ありませんか。
今回は東京の飲める大衆中華から、老舗を中心にビールとよくあう炒飯をご紹介します。
目次
- 1.銀座「中華三原」 タンメンだけじゃない。禁断の〆炒飯飲み。
- 2.神楽坂「龍朋」 活気ある店内、ぐっと進むビールにチャーシュー&炒飯
- 3.神保町「三幸園」 白山通りで64年。街の胃袋を支えるパワフル中華
- 4.下北沢「珉亭」 名物中華にキリンラガー、日常にあるちょっとした幸せ
- 5.高円寺「七面鳥」 自分でビール取り出し、コの字で瓶を傾け餃子を頬張る
- 6.石神井公園「辰巳軒」 焼飯もおつまみ?老舗食堂でスプーン片手にキリンラガー
- 7.押上「千成亭」 この道半世紀のご主人が振るう中華鍋は昭和の美味しさ
- 8.中野坂上「新華楼」 夜は酒場です。半世紀続く中華店は今日も大賑わい
- 9.森下「楽楽」 名物は五目チャーハン、揚げワンタン、ぷっくりシュウマイ
1.銀座「中華三原」 タンメンだけじゃない。禁断の〆炒飯飲み。
東京オリンピックの年・1964年から続く老舗をご紹介します。大衆中華の店「三原」です。
炒飯(850円)はビールを進ませる魅惑の逸品です。ボリュームが平均よりも1.5はあるような多さ。どちらかというとパラパラ系。しっかり味付けされた甘めのチャーシューがごろごろとはいり、具材はチャーシューと卵のみ。
2.神楽坂「龍朋」 活気ある店内、ぐっと進むビールにチャーシュー&炒飯
1978年創業、神楽坂の「龍朋(りゅうほう)」は、一日に400食以上もチャーハンが注文される店として知られています。
一番人気のチャーハン(770円)は、チャーシュー、ねぎ、卵のみのとてもシンプルな内容。それでも人気の理由は、おこげごはんのような醤油の香りではないかと思います。表面はパラパラ、中はしっとり。
3.神保町「三幸園」 白山通りで64年。街の胃袋を支えるパワフル中華
この町を動かす人々の胃袋を支えて64年、老舗町中華「三幸園」で、名物餃子と具だくさんチャーハンをおつまみにして、アサヒビールをグッと飲みませんか。ノーマルのチャーハンはいたって普通の盛り付けですが、五目チャーハンはダイス状に大きさをあわせたチャーシュー、椎茸、筍が丘の上にぎゅっと埋め込まれています。
4.下北沢「珉亭」 名物中華にキリンラガー、日常にあるちょっとした幸せ
下北沢で半世紀以上続く名物中華の「珉亭」です。江戸っ子ラーメンや赤い炒飯が名物。
チャーシューの食紅でごはんが赤く染まっています。具は卵とチャーシューのみ。見た目のインパクトと違って、味は優しくふんわり豚のコクが感じられます。キリンラガーといっしょに。
5.高円寺「七面鳥」 自分でビール取り出し、コの字で瓶を傾け餃子を頬張る
南口から徒歩7分ほどにある中華料理の「七面鳥」は、1959年(昭和34年)創業の街中華。
七面鳥の焼飯(チャーハンという表記もあり・580円)は、珍しい小判型をしています。味は少し濃い目で、むしろビールや酎ハイなしに食べるほうがもったいないくらい。
6.石神井公園「辰巳軒」 焼飯もおつまみ?老舗食堂でスプーン片手にキリンラガー
昭和14年創業、大衆食堂「辰巳軒」。辰巳軒は”炒飯”ではなく「焼飯」。そして、なんといっても錦糸卵が印象的です。具だくさんで椎茸、かまぼこも入る見た目は、中華屋の五目ちらしと言えます。
塩分よりも、椎茸やかまぼこの風味が旨味になっていて、そのコクがビールを誘います。
7.押上「千成亭」 この道半世紀のご主人が振るう中華鍋は昭和の美味しさ
押上で半世紀、中華一筋50余年のご主人が一人で営む「千成亭」はすばらしい昭和中華です。
八角形のお皿にまるく仕上げたチャーハン。具が大きいわけでも、黄金色をしているわけでも、具に個性があるわけでもありません。これぞ、昭和の美味しいチャーハン。特製のチャーシューと同じサイズに切られたナルトに、仕事を感じませんか。ややしっとり系で、味はノンベエ好み。
8.中野坂上「新華楼」 夜は酒場です。半世紀続く中華店は今日も大賑わい
創業は1969年(昭和44年)半世紀以上もの間、現役で中華鍋を振り続けてきた大将は今も現役。吉祥寺のレストランで修行後、ここに店を開いたそう。
チャーハン スープ付き(580円)は、脂でお米一粒一粒が包まれ、ほどよくパラパラ。醤油の香ばしいかおりがお酒を誘います。
9.森下「楽楽」 名物は五目チャーハン、揚げワンタン、ぷっくりシュウマイ
昭和5年創業、この地で80余年。長年地元で愛され続けてきた具だくさんの「楽楽五目チャーハン」は、ビールとの相性バツグン。ごはんは漬けこまれた葱や人参の醤油色に染まっています。見た目ほど濃い味ではないものの、おつまみチャーハンというにはぴったり。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)