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神保町が好きです。
本の街、スポーツ用品の街、楽器の街、大学の街、病院の街。
加えていえば『大衆料理の街』。
この街を形成する多くの人々によって、様々な表情を持つ神保町。出版社や書店、古本屋に集う人々から感じる活字のカッコよさを感じ、エレキギターやスノーボードグッズを買いに来る若者のしゅっとした表情も素敵です。
様々な分野の専門家がいるこの街で、彼ら、彼女らが一つの空間にあつまるのが、大衆料理の店です。そこは、神保町のいろんな表情が濃縮されているように思えます。そして、その中で飲んでいると、自分自身が町の風景に溶け込んでいくような楽しさを感じるものです。
この町を動かす人々の胃袋を支えて64年、老舗町中華「三幸園」で、名物餃子と具だくさんチャーハンをおつまみにして、アサヒビールをグッと飲みませんか。
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オフィス街と商店街、学生街のバランスが絶妙で、何度歩いても新しい発見がある神保町、駿河台、小川町界隈。明治時代から続くビヤホールなど、老舗が多いこの町。
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中華も老舗が何軒もありますが、大箱で昼夜通しでやっている「三幸園」は使い勝手がピカイチです。
営業時間は11時から休みなく続けて、深夜2時まで。〆切に追われる出版関係者など、近隣で働く人々が空腹でたどり着く町の中華。ファンが多い三幸園。
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テーブル席と厨房に向いたカウンター席。中華なのに、2階、3階には畳敷きの小上がりや座敷もあります。だいたい予約せずに一人で飲みに来たならば、通されるのはカウンター。
料理人さんたちが次々入るオーダーをマルチタスクでこなしていく様子を見ることになります。その様子はまるで戦場です。それを表情ひとつ変えずに淡々とこなしていく皆さんが、なかなかどうして、かっこいいのです。
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まずはビールでしょう。”633“の大瓶もありますが、ここ三幸園は樽生ビールの回転がすごく早く、それでいてちゃんと管理されているので美味しい生ビールを飲むことができます。ではアサヒスーパードライ(590円)で乾杯!
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酎ハイ類は、レモンサワーとハイリキレモン、似たチューハイがあることを不思議に思う方もいらっしゃると思います。それは、このあと頼みますのでお楽しみに。
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エネルギーチャージ系の働く人々の中華食堂。ラーメンやビーフンなど、がっつりメニューが勢揃いしています。ビーフンなど、平均的なお店の2倍近くボリュームがある料理もありますので、飲みながらつまみたいという方は小分けに注文するのがオススメ。
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2階、3階に座敷があるということは、宴会利用があるということ。おつまみが充実しています。
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月1万人以上が食べるという、創業時からの看板料理、焼餃子(540円)。瓶ビール(650円)といっしょに。
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野菜と肉の比率は、野菜のほうが多く、食べた印象は非常に軽いです。また、じゅわっと肉と野菜からくる汁が流れてくるのも特長で、大ぶりながらできればお皿で切り分けずにそのまま頬張りたい餃子です。
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紹興酒かめだし650円。さぁ、飲む気分が高まってまいりました。
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野菜スープ(500円)は、タンメンの麺抜きというほうが正しいような、丼ぶりいっぱいの一品。景気よくいんな野菜が使われています。
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通常のチューハイ類に加え、三幸園は関東ではあまり見かけない、ハイリキのビンが置いてあります。しかも、この水色プレーンだけでなく、黄色のレモンまで。ハイリキは1983年に誕生したRTDのパイオニア的存在。老舗の中華に似合わないはずがありません。
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三幸園といえば、一般的には餃子かもしれません。ですが、私はここのチャーハンをビールのお供にするのが好きすぎて、たまにお昼を抜いてでも食べに来ます。こちらは五目チャーハン(820円)。ノーマルのチャーハンはいたって普通の盛り付けですが、五目チャーハンはダイス状に大きさをあわせたチャーシュー、椎茸、筍が丘の上にぎゅっと埋め込まれています。
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こちらは海老チャーハン(同じく820円)。
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ごろごろと入るエビは、そのままつまんでビールのおつまみにも。さらっとした味付けのチャーハンと、しっかり味が濃い具材のバランスがよく、これがビールを進ませるのです。
三幸園のにぎやかな空間で楽しむ中華は、明日の活力をチャージできるような気がします。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 三幸園 白山通り店 |
住所 | 東京都千代田区神田神保町1-13 |
営業時間 | 営業時間 [月~金] 11:00~翌2:30(L.O.翌2:00) [日・祝] 11:00~22:30(L.O.22:00) 日曜営業 定休日 土曜日 |
開業時期 | 1956年 |