通し営業する大衆中華(町中華)は、昼飲み難民のオアシスです。ましてや半世紀続くような老舗ならば味わい深さもひとしお。水道橋にある『上海飯店』はまさしくそんなお店。店の歴史の分だけ、お客さんも老若男女、さまざまです。
界隈きっての老舗。「いつでも飲める」が嬉しい店
外観
水道橋南口で長く飲んでいる人にはおなじみの店、大衆中華の『上海飯店』。黄色と赤を使った典型的な店構えですが、なぜか電照看板の上のは青い回転灯がついています。
営業時間は11時から夜10時過ぎまでとかなりのロングラン営業。ありがたいことに、中休みもなく通し営業し、夜も中華としては遅くまで飲ませてくれます。加えて駅前飲み屋街という立地もあり、ランチタイム以外はお酒を楽しむ人達で賑わう大衆酒場のような存在となっています。
内観
店構えだけがレトロではありません。店内もかなり「いい感じ」です。合板に赤い化粧板で仕上げたテーブルに、昔のデパートの食堂にあったような重たい椅子。床は細かな白タイル張りです。使い込んだ空調から聞こえる音が、昔家族で食べた中華屋を思い出します。
いわゆる町の中華屋さんと同じカテゴリーかというと、上海飯店はそうではありません。ビジネス街でのビジネスパーソンの胃袋を満たしてきた、昼食にも宴会にも使える便利な中華といった雰囲気。コンビニエンスなチェーン中華か、口コミで評判の本格中華に二極化された昨今ですが、こういう標準的な都市型中華が今も賑わっていることが嬉しいです。
品書き
ウーロンハイ:400円と、お酒がリーズナブル。中華飲みの店を選ぶときには大事な条件です。
樽生ビールはサッポロ黒ラベル:520円、瓶ビール(サッポロ黒ラベル/キリンラガー)中瓶:520円、ホッピーセット:480円、レモンハイ:400円、グレープフルーツハイ:400円、グレープフルーツサワー:480円、紹興酒:550円~など。
料理
料理は都心立地であることを考えれば大変リーズナブルです。
餃子:430円、ヤキブタ:880円、ネギワンタン:480円、社長豆腐:1,200円、チャーハン:680円、ヤキソバ:750円など。定食は1,000円未満でかなり種類があるため、定食にビールというシーンもみかけます。
特製豆板醤が味のポイント!
サッポロ黒ラベル中瓶(520円)と、かに玉(1,000円)
サッポロを長く扱ってきたという『上海飯店』。瓶ビールはサッポロ黒ラベルを選んで、それでは乾杯。
本格的な大皿料理も、注文からあっという間。かに玉をいただきます。上海飯店は通常の大皿とは別に二人くらいでちょうどいい少量サイズも用意されており、これがなにより一人、二人で飲むときにありがたいのです。
本格的なかに玉も、ここでは1,000円から。具はたっぷり、卵はふっくら、これでビールが進まないはずがありません。
自家製ラー油
餃子など、ラー油をつかう料理をぜひ試したいところ。なぜなら、特製の濃厚なラー油がテーブルにセットされているから。コクが市販のそれよりも圧倒的に濃く、どんな料理にもより深みを増してくれるはずです。
餃子(430円)
この価格としてはボリュームがあり、なによりビジュアル的にもとても美しい包み方、焼き方をしています。
この通り、焼き目に限らず全体が照りをまとっていて、非常に美しい見た目をしています。一口サイズの絵にかいたような餃子ですが、これを頬張ると二度驚きます。厚めの皮の中からは小籠包のような肉汁がたっぷりと広がるのです。肉率高めで生姜が効いています。
紹興酒(550円)
上海飯店の紹興酒は、宝酒造の塔牌。手頃な価格で飲み心地のよいお酒です。酸味がコクの強い餃子の餡にベストマッチです。
赤いテーブルには中瓶が似合う。キリンもサッポロも、そのときの気分次第で。駅近く、お昼から通しで常連さん多め。濃いめの味付けでお酒が進む。
水道橋という場所柄、野球試合や興行、その他の用事でいつもの飲み時間以外に酒場を探すこともきっとあるはず。そんなときは、上海飯店。早めの晩酌や〆の一杯にとても便利。なおかつ半世紀以上の歴史があるという貴重なお店です。店の方も丁寧で居心地も文句なし。
お近くに用事の際は、サッポロかキリンを添えて一杯飲みながら餃子はいかがですか。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 上海飯店 |
住所 | 東京都千代田区神田三崎町2-19-9 大曽根ビル 1F |
営業時間 | 11:00~22:30(不定休) |
開業年 | 1963年頃 |