御茶ノ水「バーノンノン」 都会のオアシス、ホテルバーで背筋を伸ばして飲む楽しさ

御茶ノ水「バーノンノン」 都会のオアシス、ホテルバーで背筋を伸ばして飲む楽しさ

居酒屋を2軒ほどまわると、自然と心はバーの方角を向きます。

『お腹もいっぱいだけど、まだ9時過ぎか、ちょっとバーへ行こう』、オーセンティックバーはそんな使い方を私はしています。

ホテルバーはそうではありません。その街における行動の中心に立地するようなホテルのバーは、目的のお店へ向かう前のアぺリティフとして利用するのがスマートで、少しおとなになった気分になれて好きです。いくつになっても、お酒はちょっぴり背伸びをして飲むほうが美味しいと思います。

そうした用途では、御茶ノ水にある老舗シティホテル「山の上ホテル」にあるバー「ノンノン」なんてぴったりです。

 

特徴的な本館は、米国出身の建築家 ウィリアム・メレル・ヴォーリズによる設計で1937年に完成したもの。シティホテルが次々と建て替えられるなか、山の上ホテルは、これぞクラシックホテルという佇まいを今に残しています。

 

池波正太郎など多くの文人が”缶詰”になって作品を書き上げたことで知られる山の上ホテル。知名度の高さに比例せず、その規模はこじんまりとしていて、居心地の良い洋館を訪ねているような気分になります。

 

ホテルバーの「ノンノン」も、カウンター9席(禁煙)のみの小さな空間です。

 

スマートなバーテンダーさんに迎えられ、そのしなやかな接客と気品ある立ち振舞に、こちらも少し背筋が伸びます。カウンターの席について、一杯目を頼むまでのわずかな緊張が心地よく、それがホテルバーを訪ねる魅力の一つでもあります。

 

夕暮れ、少し早めに飲み始める一杯は、ジントニックが好き。(カクテル1杯1,100円ほど)

オリジナルカクテルでは、ウォッカベースでアップルリキュールなどでつくるショートカクテル「ザ・ヒルトップ」が知られています。

 

食前酒の代表、マティーニ。今回はたんカレーをベースに。天ぷらを食べる前に、ぴったりだと思うのですがいかがでしょうか。

ホテル宿泊者が、今宵の飲み始めに一杯のシャンパンを楽しみにきていたり、ホテルバーを楽しみにやってくる私のような「ノンノン」目的のお客さんなど用途は様々。

学生街、本や楽器の街の神保町界隈。街の喧騒を全く感じさせない山の上ホテルの「バーノンノン」は、都会にひっそりと残るお酒好きのオアシスと言えます。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

バー ノンノン
03-3293-2311
東京都千代田区神田駿河台1-1 山の上ホテル 1F
17:30~24:00(基本無休)
予算3,000円