秋葉原の「和が家」をご存知の方は、きっとこの街の文化を愛する人たち。
“夜は閑散としている秋葉原”と言われていた頃から、この街に集う様々な趣味人が戦利品を見せあい、ニッチなトークを炸裂させていた飲み屋です。秋葉原はいまでこそ多くのチェーン居酒屋がしのぎを削っていますが、昔からのノンチェーンである「和が家」は、今も変わらず160席の大箱を満席にするほど賑わっています。居酒屋ながら、飲食系のコンテンツで紹介されることより、むしろIT系メディアが取り上げることのほうが多いのもアキバの店らしいです。
売りはなんといっても、毎日登場の日替わりの100円メニューです。最初の一品なんていう条件付はなく、何品でもおかわり自由という太っ腹のサービスです。月に1回程度で、なんと生ビール(アサヒスーパードライ)も1杯100円で飲ませてくれます。もはや、サブカル系の福利厚生施設といったところ。
岩本町駅から徒歩30秒。JR秋葉原駅からも2分の昭和な飲食ビル2階にあります。駅に近いものの、この階段をのぼるのは勇気がいりますし、知る人ぞ知る隠れ家的なムードすらあります。
ごちゃごちゃしていますが、これでいいんです。これがホッとするんです。
個室完備とはありますが、ほぼ開放的なテーブル席で、2人から大人数までOK。ちょい飲みできますし、打ち上げのような宴会の利用も多い居酒屋です。和テイストの装飾がありますが、基本わちゃわちゃ飲んで大笑いするようなところ。
数多のカルチャーが集まる場所。オフ会、打ち上げは毎日のように行われています。
まあまあ、スマホは一回おいて、まずは乾杯しましょう。
「重心低めの昔のビールジョッキがいいね、たっぷり入るし。フロスティミストがきれいに出ています。」と、私も私でマニアトーク。
アサヒスーパードライの中生が460円。着席できる店としてはホッピーセットが安く380円。酎ハイは300円からで、イチオシはメガ純ハイ(460円)です。
日本酒は一の蔵、真澄、酔鯨、八海山と素敵な顔ぶれ。ボトルで高砂(静岡)、北の誉(北海道)など、日本各地まんべんなく用意されています。宝酒造の松竹梅が2合580円も、駅近立地では安いほう。
定番メニューがこちら。焼鳥、揚げ物、炒めもの、シメごはんと一通り揃っています。お通しで280円がかかれますが、全体的にリーズナブルに変わりはありません。
こちらが本日のメニュー。目玉料理、本日の100円はピザ1枚!
ソイ刺しの右にソフトクリームの画が並ぶと、なんとも言えないカオス感です。
今日はちょっと贅沢に、ねぎとろ爆弾(580円)。オクラ、とろろ、納豆、たくわん、そしてねぎとろ。まぜまぜして付け合せの海苔で巻いていただきます。
こちにはお祭りセット(780円)。200円台のメニューが多い中、かなりの高級品。みんなでワイワイつまむならば、こういうのが盛り上がるしよいのです。唐揚げ4個、フライドポテト、たこ焼きの茶色系3点セット。
それにあわせるのは、先にご紹介したメガ純ハイ。どどーんと登場。純ハイのボトル同様の斜線が入る宝酒造の公式ジョッキですが、パワポで打ち出したようなテキストデータ感漂う縦書きの「メガ純ハイ」の文字が、一周回って素敵に感じます。あぁ、酒マニア…
片手で持ち上げれば、軽くトレーニング(笑)
宝焼酎「純」は1977年発売の40年以上続くロングセラー。甲類焼酎に原料や蒸留方法・年数などの異なる11種類の樽貯蔵熟成酒を加えた、軽く風味・味わいのある焼酎です。ホッピーのベースには使いづらいですが、炭酸で割るとあら不思議。これが美味しいんです。
100円ピザ、売り切れですか?トホホ…
「いえ、ナンでピザならつくれます!」と、激混みながら明るく元気な店員さん。ノンチェーンらしい距離感の近い接客も魅力です。
そうして、今日は100円ピザが100円ナンピザとなりました。ネバーっとチーズ。日替わりメニューは公式サイト(外部リンク)で確認できます。馬刺しや肉じゃが串かつ、人気はウィンナージャーマンポテトなど。
老舗酒場でしっとりと飲む…。そんなタイプのお店とは正反対ですが、アキバでチェーン店以外で安くワイワイ飲みたいときに「和が家」はきっと役立ちます。
酒場は街を写す鏡と常日頃思っていますが、ここもまた、アキバを濃縮したような大衆酒場です。即売会など大規模イベント開催日は混雑するので、平日(ひらび)がおすすめ。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
居酒屋 和が家
03-3251-3254
東京都千代田区神田岩本町1 岩本町ビル 2F
16:30~23:45(基本月定休※ときどき営業)
予算2,500円