外から見ると常連さんが多くて入りにくそうだけれど、勇気をだして入ってみれば楽園。ここはそういう立ち飲み店「あかしや」。阪神タイガースファンの親子が切り盛りするガード下のオアシス。
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ガード下の飲み屋街を明るく灯す店
老舗酒場が立て続けに暖簾を畳んでしまい寂しくなった印象がある神田。それでも、まだまだ飲み屋は多く、新橋に負けず劣らず「働く人の街」といった雰囲気。毎日お小遣いで飲みに行けるような低価格の酒場が多いことも特長で、大手居酒屋チェーンから個人店まで、10円刻みでしのぎを削っています。
スタンド居酒屋あかしやは、この界隈では比較的古くからやっている立ち飲み店。飲食チェーンに囲まれながらも、仲良し家族が二人で切り盛りする家族経営でがんばっています。
場所は東北新幹線の高架下。この飲み屋通りの活性化にも熱心で、歩行者天国等の取り組みを行う中心的存在の一軒。なにかと気になる時代、店先のテーブルも安心して利用することができます。
敷居は高く感じても、女将さんが話上手です
店の入口は両サイド。ともにマンションの玄関くらいの幅しかなく、店内を除けば常連さんたちの姿がたくさんみえます。こうなるとやや敷居が高く感じてしまうものですが、一見さんもまったく心配はいりません。
ご主人と女将さんが優しく迎えてくるので、マナーを守れる人ならばどなたでも大丈夫。女性の一人客も、女将さんが丁寧にフォローしてくれるはず。
埋め尽くす阪神タイガースグッズ
店内は所狭しと阪神タイガースグッズで埋め尽くされています。立地を反映したような企業カレンダー。そこには試合開催日情報が書き足され、当日はお客さんもお店のお二人も観戦モードでテレビに釘付けになります。
旅にでたくなる
阪神グッズと並び、店の個性を漂わせているのは、昔の鉄道路線図などの汽車旅グッズ。頭上は新幹線や上野東京ラインが走るこの場所だから、旅情も肴に杯を重ねたいものです。
品書き
料理、お酒はすべてキャッシュオンスタイル。カフェテリア方式といえばわかりやすいですね。
料理は200円から300円台が中心で、一人飲みに丁度いいボリューム。スーパーのお惣菜気分で、お二人がつくる手料理が味わえます。
明石たこぶつ(400円)、まぐろぶつ(350円)、肉じゃが(350円)、宇和島産じやこ天(300円)など。
千円札一枚を軍資金に、ビール、日本酒、おつまみ小鉢をうまく組み立てて、今宵のお楽しみセットの出来上がり。煮物や焼き魚はレンジ加熱でほかほかです。
料理は小銭と交換です
サッポロラガー
ビールは普段はサッポロ黒ラベル(大びん550円)。ビール会社の営業さんの提案で、期間限定ではあるもののサッポロラガーとさらにヱビスも加わりました。
赤星ことサッポロラガーをもらって、それでは乾杯。
鯖塩焼き
立ち飲みの焼き魚って、いつも以上に美味しく感じませんか。塩がしみていて優しく甘味・旨味が感じられるサバ塩焼き(250円)。ちょい飲み・さく飲みに最高の肴です。
あかしやは日本酒推しの酒場。定番酒は宝酒造の松竹梅豪快(320円)。地酒は種類が多く、浦霞、澤乃井、大七、酔鯨、越の磯、北雪が常時揃い、グラス1杯420円~460円。
さらに季節銘柄も加わり、女将さんやご主人が「こんなのもあるよ」とだしてくれます。
由利本荘・齋彌酒造店がつくる冬季限定「雪の茅舎 山廃純米生酒」が登場。生酒のフレッシュ感とフルーティーな香りが際立つ一杯。旨口・飲みごたえも十分。
宝缶チューハイ
宝酒造が終売を決めてしまったという貴重な阪神タイガースデザインの「タカラcanチューハイ」。関西でみかけるチピサイズもあって、少し西に来た気がしてきました。
サッポロ黒ラベル大瓶
サッポロ黒ラベル大びん(550円)。界隈で大瓶の黒ラベルが飲めるお店は、それほど多くはありません。
ホワイトボードは日替わりの献立です。すき焼きやオムレツ、ミニハンバーグなど、子供の好物が並びます。大人になっても子供の頃の好物はかわらないものですね。私はかまぼこ・板わさ(300円)が好きでした。(かまぼこの板に絵を書いていた)
いつもの神田とちょっぴり違った世界、知っている人だけがはいれる秘密基地。落ち着いたら、そっと覗いてみませんか。きっと楽しい1時間が過ごせます。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 立ち呑み あかしや |
住所 | 東京都千代田区鍛冶町2-13-27 |
営業時間 | 16:00~22:00(土日祝定休) |
開業年 | 1990年代頃(以前は別業態) |