おじさんというのがどうしても好きである。
おじさんのいる場所に、悪いところはない。
おじさんが仕事帰りに行くところが気になる。
いま、おじさんが気になって仕方がない! なんて人は、結構いるものです。
私もおじさんの空間を猛烈に好む人なので、とにかくおじさんワールドを愛しています。
どんなに出世しても、どんなに給料をもらっても、アフターのおじさんたちは子供のような笑顔で駆けつけるお店があります。
今回はそんな一軒、千代田ビル商店街の「やまじ」です。 JR中央線各駅停車の飯田橋駅の上り電車左側に見える、神田川との間に立つ古い飲み屋ビルをご存じの方は多いと思います。 このビルは、まだ飯田橋がこんなに綺麗になる前、物流関係・印刷関係の労働者の街だったころからあるもので、歴史あるお店も多く入っています。
ここは、実はかなりのおじさまワールドでして、ここで独り立ちできれば、どんな酒場の一見飛び込みも怖くはなくなります(笑) 一番奥の「やまじ」は創業10年ちょっとですが、すでにかなりの風格が漂います。
お店は立ち飲みで、キャッシュオンスタイルの庶民派酒場です。ビールは生(350円)びん(550円)ともにアサヒスーパードライ。
酎ハイ類(300円)が人気で、ウーロンハイはいまだに250円という嬉しい価格設定。日本酒は滋賀の地酒「道灌」を置いています。
おつまみは、レギュラーメニューは多少ありますが、ホワイトボードに書かれた本日のおすすめにかかれている方が種類が多く、こちらが当然美味しいです。
今日は野菜の天麩羅5種盛り合わせから始めましょう。注文後野菜を切って揚げてくれ、これで250円というのだから、さすが侮れません。 かぼちゃ、パプリカ、にがうり、しめじ、そして珍しいトマトの天ぷらも。さすがに天つゆではなくお醤油なのですが、これはこれでなんとも言えず良いんです。
明石のタコは本日頭のみ。もちもちしていて美味しい、これで250円とは山手線の内側とは思えません。
「日替わりなので毎日何が出るかわからないのですが、お刺身から炒めもの、揚げ物まで、ひと通りオススメを頼んでハズレはないよ。」と教えてくれる常連のおじさま。聞けば、このお店が開店した当初からの常連だそうで、毎日夜は必ずここで過ごすのだそう。主殿にお会い出来良かったよかった。
炒めものも日替わりで、今日は夏野菜カレー焼きそばが絶品と、今度は違う常連さんのアドバイス。
店の人や常連さんの言うとおりにすればまず外れないのがこういうお店。喜んでそれを注文しましょう。
夏野菜なんて言い回し、なかなかおしゃれなんですけれど、平均年齢40後半の完全なるおじさまワールドでは違和感たっぷり。
注文が入っから一度素揚げをしてカリっとさせた野菜に、最後はカレーそのものをかけるという手の凝りよう。これもまた250円。
何円均一という酒場は大手で有名なところがありますが、結構街の酒場にもあるものです。100円均一なんていうぶっ飛んだ価格設定のお店(板橋にあります)は別として、このお店は立ち飲み酒場の中でもかなり庶民派の方。
いや、庶民派を通り越して、むしろボランティアと呼ぶべきかも。
お客さんは皆さんしっかりとした会社にお勤めのようですが、馴染みの酒場を変えずに初心を大事にするっていいですね!
私は、最近飲み過ぎてお財布が寂しかったので嬉しいな(笑) ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見なゆ)
やまじ
03-3239-3609
東京都千代田区飯田橋3-11-30 千代田街ビル
18:00~23:00(土・日・祝)
予算1,200円