みんな大好き下町の酒場には、基本形というのがあるように思います。
内装は木造でコの字カウンター、壁にはたくさんの短冊メニュー。家庭料理が豊富ながら、お刺身や焼鳥がぽつりぽつりと隠れている。そして、常連の多くが”ボール”を次々とお代わりしているというもの。
ぱっとみた雰囲気で、ここがいいお店だというのがわかるもので、お店の人やお客さんから幸せそうなオーラが漂っているんです。これをお店の外からでも透視できれば、あなたも立派な下町飲兵衛です。
曳舟の「岩金」は、まさにそんなオーラあふれるお店です。
駅から少し歩くのですが、このお店はいつ来ても大人気。近くのお店は徒歩10分程度あり、いかに銘店多き墨田区においてもここでふられてしまっては大変です。さてさて、今宵は入れるでしょうか。
L字カウンターとテーブル席の典型的なスタイル。お店の方が全員女性というのは珍しいかも?
母性本能あふれる接客がほっとします。
常連さんが詰めてくださったことで無事に座れて一安心。すみません、ありがとうございます。
酒場の雰囲気はお店の方と常連さんが作るというのがほんとうによくわかります。
さて、ボールをいただきましょう♪
琥珀色のボールは原液と炭酸が別々に出てきて自分で合わせるスタイル。炭酸は珍しい黄色のホープ炭酸です。ガス圧はさほど高くないのですが、何杯も飲むならばこれもいいですね!
はい、乾杯ですー♪
料理のラインナップは多彩で、ラーメンからお刺身、焼鳥までかなりの種類。カレーライスだってあるのだからすごい。
地元に住んでいたらここで毎晩夕飯もいいなぁ。
名物はにらなんこつつくね焼きで、これを食べなくてはここにきた意味がなありません。ニラがたっぷりで、見た目はぐりーんつくねといったところ。鶏の旨味となんこつの食感が心地よく、ふっくらとした仕上がりでジューシーな肉たっぷり。
たくさんメニューがありますが、いろいろ食べてもハズレはなし。厚揚げ(450円)はボリュームがあってヘルシー、地元の女性に大人気の一品です。
旬のアスパラガスをいただいて、ハイボールはこれで4杯目。
ハイボールといっても、ここのはもちろん焼酎ハイボール。ウィスキー・ハイボールを飲みたい方は、しっかりとウィハイをと注文しないと間違えちゃいます。
天羽の赤ラベルで味付けされたここのボールの美味しさと言ったらもうたまりません。
日本酒やビールがあったって、お客さんのほとんどはみんなこれ。テーブルの上に勲章のように並ぶ空き瓶がみんなカッコイイです。
ハイボールは一杯300円。だいぶ度数が濃いので普通なら3杯もあれば十分酔っ払います。
地元の強者は5ハイ・6ハイと飲む人もいるそうですが、そんなに飲んでしまうとヘロヘロになりますからご用心。
地元に密着した岩金は、時代に流されない本当の名酒場です。昭和24年創業、いまも毎日墨田区民の胃袋と飲み心を満たしています。
あまり大きなお店ではないので大人数ではなく、ひとり・ふたりで行ってみてください。
きっと楽しい時間が過ごせることでしょう。
いやー、久しぶりに美味しいボールが飲めて大満足でした。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見なゆ)
岩金酒場
03-3619-6398
東京都墨田区東向島6-13-1
17:30-23:30(不定休)
予算2,000円