居酒屋JAPAN2017レポート、魅力いっぱい4社がんばれ!

居酒屋JAPAN2017レポート、魅力いっぱい4社がんばれ!

今年も居酒屋業界の展示会、居酒屋JAPANが東京・池袋サンシャインシティ文化会館で開催されました。同時開催の~ミートフードEXPO~焼肉ビジネスフェアと合わせて、料飲店ビジネス向けとしてた、業界団体や専門媒体がコラボした業界団体横断型の最大級イベントです。

ビールや酒造、ワイナリー、洋酒輸入代理店、問屋から食材メーカー、レジまで、居酒屋に関わるあらゆる業種が2017年の推しを揃えました。

昨年に続き、Syupoでも、私たち一般消費者が最も接する機会の多い大手ビールメーカー4社のブースを中心に、各社の動向をレポートいたします。

 

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【アサヒビール株式会社】

アサヒビールは、昨今の流れと大きな変化はなく、引き続き同社の主力商品で今年30周年を迎えた看板ブランド「アサヒスーパードライ」を中心の展示でしした。

 

アサヒビールの空中戦の切り札、エクストラコールドの最新ディスペンサーが設置され、今年も凍る寸前までキンキンに冷やした喉越しを楽しむスーパードライを飲ませていただきました。同様に、アサヒ傘下のニッカのフリージングハイボールも引き続き推し。

まだまだ料飲店で見かける機会は少ないですが、日本発の糖質50%オフビール、アサヒ ザ・ドリームも並びました。発売当初は米・スターチが入っていましたが、リニューアルによって麦芽100%を達成。より膨らみのある飲みごたえを感じるビールになりました。

 

同時開催のミートフードEXPOに合わせて、アサヒのワイン部門からは新商品の肉専用赤ワイン「リブ・シャック・レッド」(南アフリカ)が紹介されていました。肉汁に負けない味というよりは、肉の旨味をふくらませるような印象です。今後、アサヒ取り扱いの飲食店で組み合わせて飲むのが楽しみです。

 

2016年、爆発的人気となったレモンサワーは、外食・家飲み共に2017年もトレンドでしょう。アサヒからは、従来の樽ハイ倶楽部に、プラスワンの提案として同社グループが発売するコンクを入れた提案を用意していました。

「レレレ レモンサワー」のPOPが可愛らしく、樽ハイ倶楽部の大定番のイメージとはまた違った魅力が感じられます。

 

【キリンビール株式会社】

キリンビールが2009年より日本国内で販売する英国ディアジオ社の「ホワイトホース」が料飲店向けのイチオシとして並びました。

ホワイトホースのイメージというと、バーでしっぽり飲む大人のダンディなブレンデッドウイスキーという印象ですが、2016年よりうまソーダの愛称で、大衆酒場に一気に広がりを見せました。立ち飲みの晩杯屋では「馬ハイ」の名で、投入当初は大いに盛り上がりました。

専用ジョッキもサイズ展開をして、ますます居酒屋の定番ハイボールのポジションを狙っていきそうです。キリンも美味しい国産ウィスキーブランドを持ちますが、国内ウィスキー大手2社と比較するとあと一歩のところ、だからこそ、あえてジョニーウォーカーやホワイトホースなど、輸入ブレンデッドを持つ強みを使って、バリエーション豊かに楽しませてくれる印象。ますます居酒屋のハイボールの顔ぶれが豊かになりそうで楽しみです。

 

作年夏にリニューアルしたキリンハードシードル。リニューアルにあわせて業務用樽は15Lだけでなく新たに7Lが追加され扱いやすくなりました。30代女性がターゲット。甘さを控えめに、日本人の口にあう味。30代女性がターゲットに設計されていますが、意外と煮込みに合うのは豆知識。

 

ビール各社が主力の生樽を用意している中、キリンはサイドの顔ぶれを今一度ご紹介といったブースずくりです。スミノフのカクテルコンクは、簡単にレモネードやグレーピーが作れるバルやダンスフロア御用達の業務用商品。

ビバレッジ系からは午後の紅茶を使った大人の紅茶ハイが加わっています。筆者が勝手にネーミングをつけるとすれば”午後ハイ”なのだけど(笑)

 

キリン傘下の永昌源からは、お馴染みの紹興酒と並び、たまに酒場の片隅でみかける薬膳酒。五加皮酒や、珍しい色付きの芋焼酎「浅黄うさぎ」が紹介されました。五加皮酒はなかなかすごい味で、いつも飲み方に困っていると話したところ、午後の紅茶で割る提案を飲ませていただきました。

うん、ウーカーピーは紅茶割りがイイ!

メルシャンからは「”悪魔の蔵”の伝説」という謎めいたワインが登場。あまりに美味しすぎて、蔵に盗み飲みをする者が後を絶たず、ワイナリー・コンチャ・イ・トロは、ワイン蔵には悪魔が棲んでいるという噂を広め、ワインを守ったという歴史があり、そこからつけられた名前。チリワインの定番で、カベルネやシャルドネ、メルロー、ソーヴィニヨンブランなど品種別にバリエーション豊かです。

 

【サッポロビール株式会社】

続いてサッポロビール。今年はサッポロの原点、日本人がはじめてつくったビール「サッポロラガー」・愛称赤星が140周年を迎えるとともに、サッポロの主力銘柄「サッポロ黒ラベル」も今年で40周年になります。

 

もともと他社と比べビールに対する比重が強いサッポロは、今年も黒ラベルがブースの中心。サッポロといえばパーフェクト生ビールを推していますが、ブースでは特別な飛び道具はなく、いつものホシザキのディスペンサーから、いつもの黒ラベルが注がれました。贔屓に聞こえそうですが、やっぱり黒ラベルは飛び道具に頼らずふつうに美味しい。※4社みんな美味しい

樽詰のスパークリングワイン「ポールスター」はミートフードEXPOではバル向けの大定番。

 

併設されているサッポロ傘下のビバレッジ部門、ポッカサッポロフード&ビバレッジは、もともとサッポロ飲料が得意としている業務用割り材に、ポッカ社の持つレモン商品の資産を合わせて、2017年のレモンサワーブームに全力投球。

サッポロ飲料の居酒屋レモンサワーの味づくりのノウハウに、ポッカのレモン技術が加わり、確実に合併によるシナジー効果が生まれたと感じる同社。

ポッカレモン パルプリッチは、手絞りの味をかなりハイレベルで再現していて、これをシャーベット状にしてから氷彩サワーなどの業務用樽ハイに入れれば、超美味しいレモンハイの完成。

 

レモンサワーブーム、レモン飲料最大手のポッカサッポロが今動かないでいつ動くの。

ということで、様々なレモンサワーが提案されました。バリキングにパンチレモンを入れて「秘密のレモンサワー」とな。

 

サラリーマンの聖地「新橋」の居酒屋店主が認めた味…。その話、今度詳しく聞きたい!

パンチレモンにスクィーズを混ぜたレモンサワーは、超美味しい。以前、京都の酒場巡りをしている際に、居酒屋店主が作ってくれた一杯が素晴らしかったです。比較的手軽に作れるので読者の方のお店にもどうでしょう。(え、最後営業トーク?)

 

【サントリー酒類株式会社/サントリースピリッツ株式会社】

サントリーは、作年、飛び道具としては最強と筆者が感じたジントニック専用サーバーを今年も出展。ペルノ・リカール社のジン、ビーフィーターは国内ではサントリーが販売しており、肉の合うカクテルとして「ジンと肉」を大々的に登場させました。

トニックウォーターと混ざって提供される強炭酸のジントニックにブラックペッパーをふりかけて完成。個性的ですがくせになる一杯。大衆酒場というよりは焼肉屋向けで、事実結構見かける機会は多い。

 

スピリッツ世界3位の米ビーム社をサントリーが買収したニュースはまだ記憶に新しいです。大阪の激安立ち飲みから、ちょっとお洒落なビストロまで、いまでは角ハイボールと同じか、それ以上に定番化したビームハイ。

白くシンプルなラベルが印刷されたグラスや、従来からの強炭酸ハイボールを提供できる「ゼウスタワー」と並び、ブランドイメージは結構よいのではないでしょうか。バーボンならではの飲みやすさから、焼鳥から生ハムまで、何と合わせても違和感なく幅広く飲用できます。

 

【株式会社宮崎本店】番外編

大衆酒場好きにとっては、キンミヤは今や名脇役ではなく主役かもしれません。関東大震災の震災被害により飲水不足となった東京・下町に、宮崎本店はお酒用の瓶(かめ)に飲水を詰めて運び、水に困っていた人々から大変感謝されたという歴史があり、それが現在の下町の名脇役につながっています。

水色の独特なラベルデザインや、まるくクセのない味、割り材と交ざるとほのかに甘く感じる味などから多くのファンがいるキンミヤ焼酎。

 

2017年、キンミヤもレモンサワーがイチオシです。キンミヤの提案は、レモンと氷砂糖を酢でつけてつくる「レモン酢」を割り材にした、ちょっと酸っぱいレモンサワーです。

レモンサワーを流行らせるのではなく、飲食店様と試行錯誤して喜ばれるものを一緒に作ろうというスタンスで、今回はあえて手作り要素が介入できる提案なのだそう。チラっとみえているポッカサッポロのレモン酢は、「自家製でなければこちらをどうぞ」というアイテム。

 

以上、駆け足でみてきましたが、皆さま今年の外飲みで気になるアイテムはありましたでしょうか。2017年はレモンサワーの仕掛けが色々楽しめそうですね!

 

今年も居酒屋が楽しい!酒類メーカーがかっこいい!

飲食店は、人生でもっとも時間を費やす娯楽。

そこで笑顔になってもらおうと、たくさんの酒類・流通・飲食の裏方さんが、私たち飲み手のことを考えてがんばっています。「今日も美味しかった!」という言葉が業界全員の励みになるはずです。お酒好きとお酒業界は、これからもずっと相思相愛の仲でありますように。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/アサヒビール株式会社 キリンビール株式会社 サッポロビール株式会社 サントリー酒類株式会社 株式会社宮崎本店)