ディープな寿町にある明るく親切な酒販店『ことぶき酒店』は、朝9時から角打ち営業をしています。瓶ビール大瓶は430円、おつまみは100円台。ここは、女将さんと世間話をしながらのんびり過ごせるお酒好きの楽園です。
目次
寿町は変わりつつある
外観
簡易宿泊所が集まる寿町。ディープなエリアですが、久しぶりに歩いたら福祉関連の施設が非常に増えていました。
さて、今日の目的は、寿町で角打ち営業をしている酒販店『ことぶき酒店』です。数年前までは、山多屋酒店という名前でした。店名は変わっても営業スタイルは昔のまま。いまも小売スペース横の角打ちコーナーは朝9時から開きます。
内観
この街のことを知る人は「横浜寿町の角打ち」と聞くと色々な意味で身構えてしまうかもしれませんが、店は明るくて牧歌的。外からも店内の様子がわかる大きなガラス戸が入り口になっていて、昔のお酒屋さんにあった薄暗い倉庫のような飲酒スペースとは真逆の店です。
小売スペースとはカウンターで仕切られてはいるものの、店の方は両方対応するため間に壁はなく、広く店内が見渡せます。昼飲みならば、日差しと蛍光灯、ふたつの光源に照らされて、放課後の学校の教室のような雰囲気すら感じます。
定員は10人ほど。中央に置かれた会議机を使えばもっと飲めそうです。
「いまはそんなに混まないよ」
小豆島出身で、横浜に出てきて半世紀。角打ちの名物女将がそう話します。
品書き
お酒
- 瓶ビール(大手銘柄各種):大瓶430円・中瓶370円・小瓶270円
- ホッピー:370円
- 宝酒造 お茶割り缶:170円
- 宝酒造 焼酎ハイボール:180円
- キリン 氷結レモン:170円
- サントリー角ハイボール缶:220円
- 本醸造 浦霞:350円
- 厳選辛口 吉乃川:300円
料理
- 生ハム:150円
- 合鴨ロース:210円
- らっきょう:110円
- ところ天:130円
- かにかまぼこ:120円
- なとり さきいか・チーズちくわ:120円
3台のテレビに囲まれて
キリンラガー大瓶(430円)
店に入ると、女将さんがキリッとこちらをみてきます。こちらから先に「こんにちは」と挨拶すると、温厚な表情になり「いらっしゃい、飲んでいくの?」と聞いてくれました。この一連の流れに、店の立地と歴史が感じます。
「銘柄はどうする?」と聞かれて、「キリンで」と答えきる前に冷蔵庫からキリンラガーがでてきました。さすが、キリン発祥の地であり元造船の街。
それでは乾杯!
合鴨ロース(210円)
乾き物だけでなく、パック入りのちょっとした惣菜も準備されています。横浜、川崎の角打ちではよくあるパターンです。「辛子もつけて」と女将さん。
ゆでたまご・らっきょう
ゆで卵やらっきょうも、横浜の角打ちではよく見かけますし、こちらもよく注文しています。酒屋のカウンターで食べるゆで卵はなぜか特別です。
女将さんはテレビに映るワイドショーをラジオ感覚で聞いています。「明日は暖かいのね」など、他愛もない会話がお客さんとの世間話のきっかけになるのでしょう。
それにしても、この店にはテレビが多いです。8畳間ほどの空間に、ソニー、シャープなどメーカー不揃いで3台もあります。同じ番組が映っており、なんちゃってサラウンド状態。
生酛純米 太平山(380円)
女将さんが美酒爛漫の上着を着ているので、なんだか日本酒が欲しくなりました。聞くと、爛漫の扱いはないそうで、それなら同じ秋田県つながりで太平山(秋田県 羽後飯塚・小玉醸造)にしましょう。
少し色がついた生酛純米で、芳醇辛口のまん真ん中というような味でした。
サントリー角ハイボール缶(220円)
お会計は都度払い。さすがに小売価格そのままというわけではないですが、かわりにコップを貸してくれます。たとえ缶酎ハイやハイボールでも。
ごちそうさま
朝9時からやっているのは、港湾関係者や夜勤職場に勤める人の利用が多かったことの名残なのでしょう。数百キロずつ離れている神戸や北九州の角打ちと雰囲気が似ていると感じました。
女将さんはにはファンが多いそうで、故郷・小豆島ゆかりのグッズなどをプレゼントされたりしているそうです。港町の乾いた感じの角打ちが好きな方にはたまらない一軒だと思います。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | ことぶき酒店 |
住所 | 神奈川県横浜市中区寿町2-7-5 |
営業時間 | 営業時間 9:00~19:00 定休日 日曜日、祝日 |
創業 |