中央線沿線のカルチャーを探る上で、欠かせない存在といえば「酒場」です。吉祥寺では漫画家やアニメーターが集まる飲み屋、中野では作家や出版関係者が集う大衆割烹など、さまざまな個性的な酒場が存在します。
また、中央線沿線の魅力の一つとして、お昼から飲める店が数多くあることも挙げられます。そんな中、今回は高円寺駅周辺の昼飲みスポットを8軒厳選しました。立ち飲みスタイルのセンベロから定番の焼鳥、おしゃれなレモンサワーが楽しめるお店まで、個性豊かな店舗をご紹介します。
目次
1,『やきとり大衆酒場 大将』
吉祥寺の「いせや」、西荻窪の「戎」、荻窪の「鳥もと」、阿佐ヶ谷の「川名」のように、中央線沿線には各駅に人気のやきとり酒場があります。高円寺でやきとりといえば、駅周辺に大箱を3店舗も構える人気店『大将』でしょう。
創業は1977年(昭和52年)。本店はJR高円寺駅前の一等地にあり、JR中央線の車窓からも見えます。営業開始は15時と早く、明るいうちから飲み始めたい地元のご隠居さんやアーティスト風の人たちで賑わっています。
スピードメニューで筆者のおすすめは、ツナをたっぷりと混ぜたマカロニサラダ(450円)です。ねっとりした食感と黒胡椒のアクセントがビールを進ませます。山盛りなのも嬉しいですね!
看板料理の焼鳥(130円~)は比較的大きく串打ちされており食べごたえ十分。安くてもしっかり炭火焼きです。
皮、牛すじ、豚カシラ、豚バラなど、串のバリエーションが豊富で、あれもこれも食べたくなってきます。
住所 | 東京都杉並区高円寺南4-27-9 豊興業ビル 1F・2F・3F |
営業時間 | 営業時間 15:00~24:00(L.O.23:00) 日曜営業 |
開業時期 | 1977年 |
2,『きど藤』
2012年に人気立ち飲みチェーン「晩杯屋」出身のお二人がはじめた『きど藤』は、オープン当初から大人気の立ち飲み店となりました。あれから10年が経過し、いまや高円寺になくてはならない存在です。
人気の理由は、その安さ。いまの時代でもほとんどの料理が200円前後とびっくりするほどリーズナブル。
そして、値段だけでなく味もよく満足感がしっかりあるのも大切なポイントです。飴色にそまった肉豆腐は、これで190円!自家製のポテトサラダはかなり濃厚で、これまたビールを誘う味です。
支払いは前金制で、カウンターに千円札一枚置いて、今日はこの一枚まで!なんて飲み方を楽しみます。気づけば、お財布からさらに小銭を取り出して、もう一杯…となることも。
千切りキャベツに厚切りのハムを載せた、渋谷の名店風「ハムキャベツ」(200円)もオススメ!
住所 | 東京都杉並区高円寺北3-3-9 1F |
営業時間 | 営業時間 15:00頃~23:00頃まで |
開業時期 | 2012年 |
3,『立呑み 千吉良屋』
2017年に広島出身の大将がはじめた立ち飲み店で、15時頃から営業しています。こちらの大将も晩杯屋出身。
人気の酎ハイは、バリキングサワー(270円)。店名を冠したほんのり酸っぱい「千吉良屋チューハイ」(290円)もおすすめ。
料理も大変リーズナブルで、200円前後で鉄板料理が楽しめます。
常連さんが多い店で、コンパクトな店内は夜になると連日満員になりますが、早い時間は比較的入りやすく、これから飲みに行こうという方は日中の利用がオススメ。
「きど藤」と「千吉良屋」。この2軒は晩杯屋創業当初の雰囲気を残す活気あるお店です。立ち飲みがお好きでしたらぜひ!
住所 | 東京都杉並区高円寺南4-25-2 曽根ビル 1F左 |
営業時間 | 15:00~24:00 月祝定休 |
開業時期 | 2017年 |
4,『酒場ニホレモ』
日本酒とレモンサワーのお店なので『ニホレモ』。高円寺庚申通り商店街脇の路地にあり、お店があることを知らないとなかなか歩かないところに建つ一軒家の酒場。
創業は2018年と新しく、酒場というよりはおしゃれなカフェに近い雰囲気です。お客さんもスタッフも20代・30代の若い世代が中心で、初めての人も入りやすい雰囲気ではないでしょうか。
豊富なバリエーションの自家製レモンサワーが名物で、国産ノーワックスのレモンにこだわり、皮まですりおろして使う「本気(マジ)レモンサワー」(600円台)などが人気。
日本酒やレモンサワーとの相性を考えた料理が並んでいて、どの料理もおしゃれ。
普段居酒屋に行かない人と一緒のときなど、カフェ感覚で飲みたいときにオススメの一軒です。
住所 | 東京都杉並区高円寺北3-20-19 マガザン高円寺 |
営業時間 | 営業時間 11:30~23:00 基本無休 |
開業時期 | 2018年 |
5,『魚の四文屋 高円寺店』
『四文屋』といえば新井薬師前発祥の人気もつ焼きチェーンですが、高円寺駅前の四文屋は珍しい鮮魚業態のお店。大衆割烹を今風にアップデートしたような雰囲気で、若い板前さんが注文に合わせて刺身を盛り付けてくれます。
最近は梅田の大阪駅前ビルにも出店し、すっかり全国区になった四文屋ですが、この系列も中央線カルチャーのひとつではないでしょうか。
土日は14時オープン、刺身や焼き魚をつまみに早くから飲みたいときにちょうどいい選択肢です。
住所 | 東京都杉並区高円寺北2-8-13 |
営業時間 | 営業時間 [月~金] 16:00~23:30(L.O.23:00) [土・日・祝] 14:00~23:30(L.O.23:00) 日曜営業 定休日 年中無休 |
開業時期 | 本店は1998年 |
6,『大衆食堂 定食ヤシロ』
「ヤシロ」という食堂は杉並区、中野区に何軒かあり、各店は暖簾分けの関係です。今回ご紹介する『大衆食堂 定食のヤシロ』高円寺駅北口から伸びる商店街「セントラルロード」沿いで1981年頃から続く大衆食堂です。
「早い!安い!うまい!」と書かれた看板に誘われさっそく店内へ。
定食の主菜や追加の小鉢などをもらって、これらをつまみに飲む「食堂飲み」がヤシロの楽しみ方。
さば味噌やサンマの開きなど、食堂の主菜ならではのホッとする料理が揃っています。どれも安くて美味しく、看板に偽りなし。
朝10時30分から営業しているので、早くから飲みたい方にもおすすめ。ただしランチのピークは忙しく食事をされる方が多いので、昼飲みは時間を選んで使いたいですね!
住所 | 東京都杉並区高円寺北3-17-3 |
営業時間 | 営業時間 10:30~15:00 17:00~23:00 日曜営業 定休日 不定休 |
7,『RAINBOW(レインボー) CAFE&GRILL 高円寺店』
2010年に元喫茶店だった場所で開業したカフェ&グリル レインボー。高円寺店から1店目でほかにも高円寺北と阿佐ヶ谷店があります。
日中からやっているお店ながら、店内にはカクテルも作れる本格的なリキュール・スピリッツを揃えたバックバーもあり、早い時間からカクテルも楽しめます。
昼飲みの特集記事であえてこちらをご紹介した理由は、ランチ(開店~17時)限定で飲み放題コースがあるから。60分1,320円で、キリンハートランド生ビールやスパークリングワイン、ハイボール、カクテルなどが飲み放題!
肉料理などしっかりとしたおつまみもあり、早い時間からちょっとしたおしゃれ飲み会を開くときなどに最適です。
住所 | 東京都杉並区高円寺南3-47-8 2F |
営業時間 | 営業時間 [月~木・日] ランチ 12:00~17:00 ディナー ~翌1:00 [金・土・祝前日] ランチ 12:00~17:00 ディナー ~1:00 日曜営業 定休日 無休 |
開業時期 | 2010年 |
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8,『永世屋(酒店)』
中野区と杉並区の区境ぎりぎりにある酒販店『永世屋』。住所的には中野区ですが、高円寺駅からも徒歩7分ほど。ここは中央線沿線では貴重な角打ち(買ったお酒を店内で飲む)が楽しめるお酒屋さんです。ゼロ軒目にぴったり。
小売の冷蔵庫から飲みたいお酒を選んで、奥で飲む旨を大将に伝えると、特設のテーブル席を紹介してくれます。抜栓料などはなく、瓶ビールならばビアタンブラーも用意してくれます。
利用料はありませんが、カンパを受け付けつていますので、貴重な角打ちを長く続けてもらえるよういくらかお金を貯金箱へ。
キリンハートランドをもらって乾杯!日本酒もコップ酒で用意してくれます。
居合わせた杉並在住の常連さんや女将さんとお話しながら、のんびりとした時間を。「ここは酒場ではありません」の注意書きの通り、長居はせずにつぎへ向かいましょう。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)