2012年に有名立ち飲み店から独立したお二人が始めた高円寺の「きど藤」は、その安さと安定した料理が話題を呼び、気がつけば東京の立ち飲みにおけるニュースタンダードと言える存在になりました。
「きど藤」はお二人のお名前からとった店名で、2016年から2017年にかけてはお二人別々となり、荻窪北口でもう一軒「きど藤2」を営業されていましたが、この度高円寺のきど藤の拡張に合わせて一店舗体制へ戻り、また”きど・藤”コンビのパワフルな掛け合いが楽しめるようになりました。
今回は拡張されたきど藤の様子を、まだ飲みに行ったことがない人にも魅力をお伝えしたく記事にします。
高円寺駅には老舗立ち飲み1軒、最近は同じく有名立ち飲みからの独立で始められたお好み焼きの「千吉良屋」もオープンし、せんべろ梯子酒が楽しいエリアです。
きど藤は北口から純情商店街を4分ほど歩いた先の路地にあり、商店街に小さなA看板を目印に進みます。なお、きど藤は酔っぱらいお断りです。
同じ建物に2軒はいるつくりの左側が創業時からのきど藤で、この隣りにあったスナックの跡を拡張した形です。店内ではつながっていますが厨房、カウンターも独立しているつくり。お二人でそれぞれカウンターに入り切り盛りされています。
“お気軽に飲んで[歌]って”の看板から歌の部分だけ消されているのがくすっと笑うところ。
立ち飲みのカウンターが奥へ伸び、数人で飲むテーブルが数卓用意されています。単純に倍のサイズになり混雑時でも以前より余裕が感じられます。
ビールはサッポロ。樽生は黒ラベル、瓶は中びんでサッポロラガーこと赤星でいずれも390円。酒場サイズの大きめ中ジョッキなのもポイントです。お酒は宝の松竹梅(250円)、サワーは博水社のハイサワーで酎ハイ250円、梅やレモンが270円で割り材がボトルででてきますので、ナカ焼酎だけおかわりして濃いめで二杯をリーズナブルにも楽しめます。
ホッピーは白・黒でセットが350円、ホイスは350円。リージョナルでレガシーな顔ぶれが中心ですが、最近はヨーグルト割りも人気のよう。大手銘柄のちゃんとしたヨーグルトをどぶどぶと酎ハイに注ぐ健康系酎ハイです。
料理はまぐろ刺し(250円)など一部を除いて天ぷらも餃子もグラタンも、みんな100円台という驚きの低価格。バラエティに富んでいてさらに日替わりが加わるのでいつ来ても新鮮な気分です。
老舗中心だったサッポロラガー(赤星)を若い人が集うお店で愛飲されているのは嬉しいです。乾杯!
たこぶつ(230円)は大ぶりのたこがごろごろと。注文してすぐに供されるのでお刺身は最初に頼みたい一品。煮込みもスピーディーなのでおすすめ。
ハムキャベツは、千切りのキャベツに分厚いハム、たっぷりマヨネーズの味が後を引く美味しさ。日本人はマヨネーズ好きですよね。ところでハムキャベツ、どこかで見覚えがありませんか。立ち飲みの王道おつまみです。
赤星からレモンサワー(270円)へ。甲類はキンミヤを使用しハイサワーレモンで割るという、これもまた王道の東京のサワーです。
少し残しておけばナカをおかわりで二杯目が楽しめます。
水餃子はちゅるりと食べられて不思議とサワーとも相性の良いおつまみ。この日も人気で都合3丁とオーダーが次々飛びました。
定番のきど藤料理のほか、注目したいのは鳥取県産の大山どりをつかった鳥料理。鳥レバ醤油煮、とり竜田、とりユッケにとりわさと食べ方も色々です。
地元の方だけでなく中央線沿線の人が途中下車でも飲みに来る人気のきど藤。老若男女、サラリーマンから若者グループ、女性のお一人様まであらゆる人達が各々楽しそうに過ごしているのも印象的です。
千円札一枚と小銭をカウンターの上に置き、千円ちょっとでリーズナブルに楽しむ。この雰囲気が与えた影響は大きく、きど藤にあこがれて立ち飲み屋を開いた人もいるほど。
立ち飲み好きでしたら一度は覗いてみてほしい名店です。安く飲ませてもらっているので、お店の方との空気の読み合いでお互い気持ちよく過ごせるように配慮も忘れずに。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
きど藤
03-6312-5373
東京都杉並区高円寺北3-3-9 1F
17:00~23:00(不定休・月休みが多い)
予算1,000円