阿佐ヶ谷『三番』オムライス好きなら一度は行くべき！麒麟が似合うレトロ町中華

町中華（大衆中華）の中華鍋でつくるオムライスは、洋食店のそれとは違った魅力があります。都内には何軒かオムライスが名物になっている大衆中華店はありますが、阿佐ヶ谷の『中華三番』も地元密着の名店です。レトロな店内で、キリンラガー片手にオムライスを頬張りませんか。

レトロでも清潔感がある街の中華屋さん

JR阿佐ヶ谷駅からスターロードをひたすら西へ。商店街から住宅街へと風景が変わってきたところに『中華三番』はあります。創業から半世紀になる老舗で、出前もされていることもあり、地元の人には有名なお店です。

オレンジ色のテント、昭和の曇りガラス、食品見本。そして、清潔な暖簾。中華店で飲むのが好きな人なら、これだけで吸い込まれるのではないでしょうか。

「いらっしゃい」と迎えてくれたのは、L字カウンターの入口側で調理中の大将。ご夫婦で切り盛りされており、腕のいい大将が終始中華鍋を振り続けいます。店内には、テレビに映るニュースの音声とカラコロンと中華鍋を振る音が響いていました。

家族商売にちょうどいいサイズ感で、お客さんが6組も入れば満卓です。

ご来客の皆様のご食膳に味自慢の当店をご利用下さい
味自慢中華料理三番

中華の赤いカウンターには、赤いラベルの麒麟が似合います。カラーコーディネートです。トクトクとビアタン満たして、乾杯！

注文を伝えた瞬間、手際よく餡と皮を取り出し、ものの数秒で包みあげて鍋へセット。何十年と中華の道を歩んできた大将の仕事は見ているだけでもビールが進みます。

ニラを多く含んだ餡を皮が包める限界まで詰めているので、この通りほんのり緑色。比較的厚い皮を使用しており、これを蒸し上げるように仕上げているため、焼き目はパリパリ、包み側はモチモチ＆ツルツル。ヒダはほとんどありません。10cmほどあるので食べごたえ十分。

瓶ビール中瓶はみるみるうちに空になりました。

一品料理のスブタや唐揚げは1,300円と贅沢品ですが、それ以外は非常に良心的です。ひき肉をたっぷり使い、濃厚でコクがある中華あんでまとめた「豆腐うまに」は、満足感が高いものの530円と、申し訳なくなる安さ。

横からの写真ではボリュームが伝わりにくいと思いますので、直上からの一枚をご覧ください。一人飲みなら、これで満腹になってしまいそうです。

さあ、お待たせいたしました。主役の登場です。強い火力でゴーゴーと熱した年季の入った中華鍋にしっかりと油を敷いて、ご飯を手際よく砕いていきます。別に焼き上げた溶き卵を載せ、たっぷりのケチャップをかけ流して完成です。

玉ねぎ、豚肉がしっかり入っており具だくさん。味の決め手はケチャップで、スーパーなどの小売店で市販されているそれとは味が違い、甘くて酸味は控えめ。食べれば食べるほど元気になる、そんな味に仕上がっています。

これは間違いなく、ビールを進ませるタイプのオムライスです。

中央線沿線にお住まいのオムライス好きの方は、阿佐ヶ谷飲み歩きとセットでふらりと訪ねて欲しい街の中華屋さんです。お昼営業は15時までと長め、しかも日曜日は営業していますので、休日の昼飲みにもオススメです。

（取材・文・撮影／塩見なゆ）