ビールが美味しい季節がやってきました。自宅や居酒屋でも楽しめますが、ビアホールやビール専門店でのビールは一味違います。
今回は、日本一のビアホールが集まる(Syupo調べ)街、東京・銀座エリアに焦点を当てて、魅力溢れる7軒のビアホール・ビール専門店をご紹介します。銀座といえばライオンが有名ですが、実は他にも注目すべきお店があります!温度管理、ガス圧調整、洗浄、注ぎ方まで、ビールの美味しさにこだわり続ける名店の特長をみていきましょう。
目次
1,『キリンシティプラス 東京銀座店』
キリンシティは日本最大規模の総合酒類メーカー・キリングループが経営する直営飲食店。1983年、六本木に1号店をオープンし、今年で創業40周年を迎えました。
ところで、キリンシティにはモデルとなったビアホールがあることはご存知でしょうか。ドイツ・デュイスブルク(Duisburg)にあるケーニッヒシティ(König-City [Google Map])です。お店の雰囲気やグラス、ロゴなどに共通点がみられます。
本場ドイツで王道の注ぎ方「三度注ぎ」を日本でも導入し、キリンラガービールやキリンハートランドなどを”モコモコ”の泡で提供してくれます。
2021年まではキリン一番搾りも同様の3度注ぎでしたが、一番搾りの華やかな特長を引き出す2度注ぎを開発し、以降、三度注ぎのブラウマイスター等と二度注ぎの一番搾りという、二種類の注ぎ方が楽しめるようになりました。
ビアホールの王道料理をしっかりと揃えており、どの料理もキリンのビールと相性を考えてつくられているので間違いない美味しさ。遠野で生産しているパドロンなど、季節の差し込み料理も楽しみの一つです。
銀座のキリンシティはキリンシティプラスといって、ビール+ワインを提供するお店。シャトー・メルシャンがつくる日本ワインも充実しています。
取り扱いビールは、キリン一番搾り、樽生キリンラガー、スプリングバレー 豊潤496など。
住所 | 東京都中央区銀座3-4-12 文祥堂銀座ビル 2F |
営業時間 | 営業時間 11:30~23:00 日曜営業 定休日 無 |
開業時期 | キリンシティ設立年 1983年 |
2,『ニユートーキヨー 数寄屋橋本店』
ニユートーキヨーは90年以上続く、数寄屋橋の名門ビヤホールです。文化人が集まる店として有名になり、戦後はGHQ専用にもなりました。高度経済成長期は霞が関や丸の内で働く人が集まる店となり、近年はビール好きが集う店へと変化を続けてきました。
ジョッキは昔から変わらぬこだわりの陶器製。長年変わらないNTBのロゴが誇らしげに描かれています。
創業者が北海道函館で海産物問屋を経営していた経緯から、ニシンなどの魚介系メニューがロングセラーとなっています。長年通う常連さんから支持されている人気メニューです。
名物といえば、「カミカツ」もニユートーキヨーを代表する料理のひとつ。薄くなるよう叩いて伸ばした豚肉を細かな衣を纏わせ揚げたもの。敷かれた千切りキャベツと一緒に頂きます。味にまとまりがあり、ハムカツとはまた違った美味しさがあります。
取り扱いビールはサッポロ生ビール黒ラベル、白穂乃香、琥珀ヱビス、エーデルピルス、アサヒ黒生、アサヒスパードライなど。
住所 | ニユートーキヨービヤホール 数寄屋橋本店 |
営業時間 | 【平日】 11:30~15:00 16:30~22:00 ※金曜日は23:00まで 【土】 11:30~22:00 定休日 日 |
開業時期 | 1937年 |
WEBで予約 | 食べログ / ホットペッパー |
3,『ピルゼンアレイ』
新橋の人気ビアバー「DRY-DOCK(ドライドック)」の店長を務めていた佐藤氏が開いた立ち飲みスタイルのビール専門店です。店名はピルスナービール発祥の地、チェコのプルゼニ/Plzeň(ドイツ語読みではピルゼン)と、店を構える銀座の小道「数寄屋橋通り」の小路を表すalley(アレイ)をあわせたもの。
扱うドリンクは、なんとビール2銘柄のみ。元祖ピルスナーであるチェコ・プルゼニうまれのビール「ピルスナーウルケル」と、三種類の注ぎわけが楽しめるアサヒスパードライが提供されています。
ドイツ・Sahm社の背が高いグラスに注ぐアサヒスパードライは一味違います。
住所 | 東京都中央区銀座6-4-14 HAOビル1F |
営業時間 | 【火曜日~金曜日】17:00~22:00 【土日祝】15:00~21:00 (LO:30分前) 定休日:月曜日 |
開業時期 | 2015年 |
4,『YEBISU BAR 銀座コリドー街店』
ヱビスビールの世界観を取り入れた、ヱビスビール専門のビヤバー『ヱビスバー』。恵比寿ガーデンプレイスや東京駅グランスタ、博多一番街などにもありますが、第一号店はここ、銀座のコリドー街です。
黄金のヱビスビールやヱビスプレミアムブラックはもちろん、一般の飲食店には出荷されていないヱビス プレミアムエールの樽生など珍しいエクステンション銘柄もあり、ヱビス好きならきっと楽しめます。
銀座ライオンとヱビスバーの注ぎ方には違いがあります。銀座ライオンは一度注ぎでビールを提供するのに対し、ヱビスバーではパーフェクト注ぎ(二度注ぎの泡後乗せ)が行われます。
グラスだけでなく、この通りジョッキのヱビスもありますので、しっかり飲みたい人にもオススメです。
住所 | 東京都中央区銀座8-2先 銀座コリドー街 |
営業時間 | 営業時間 【営業内容に関するお知らせ】 ●平日 17:00~23:00(フードL、O 22:15、ドリンクL.O 22:30) ●土曜日 15:00~23:00(フードL、O 22:15、ドリンクL.O 22:30) ●日祝 15:00~21:30(フードL、O 20:45、ドリンクL.O 21:00) 別途貸切営業は上記以外の時間もご相談 日曜営業 定休日 年末年始 |
開業時期 | 2009年 |
5,『サッポロ黒ラベル The Bar』
東京メトロ銀座駅の改札から徒歩30秒、駅直結のビールスタンド『サッポロ黒ラベル The Bar』は、サッポロビールの直営店です。黒ラベルの常設型アンテナショップという位置づけ。
和光、銀座三越、リコー三愛ビル(現在建て替え中)がそれぞれ角に構える銀座の中心、銀座4丁目交差点の一角にある「銀座プレイス(サッポロ不動産開発)」の地下一階にあります。ここはビヤホール「ライオン」の名称発祥の地で、1931年から現在に至るまでサッポログループが所有しています。
そんなサッポロ縁の地で提供されているビールは、サッポロ生ビール黒ラベル1銘柄のみ。これをパーフェクト、ファースト、ハイブリッドの3種類の注ぎ方で注ぎ分け、黒ラベルの美味しさを様々な角度で楽しもうというのがお店のスタイル。
マイグラス制度があり、1年間自分専用のグラスを銀座の一等地に保管でき、飲みにきた際は、保管棚からマイグラスをもってきてくれるというおもしろい取り組みが行われています。
同店はおつまみにも注目です。メイン料理の「銀座サンド」は銀座の飲食店が企画・監修したもので、定期的に変わっていきます。銀座木村屋、しろや銀座亭、イル ポネンティーノ、ぎんざ寿し幸、羽衣 銀座本店、銀座 日東コーナー 1948、つばめグリル、ナイルレストランなど、錚々たる有名店が協力してきました。
なお、同店はアンテナショップということもあり、立ち飲みスタイルで、なおかつビールは2杯までと杯数制限があります。もっと黒ラベルが飲みたいときは、1フロア下の『ライオン 銀座五丁目店』や近隣飲食店へ。
住所 | 東京都中央区銀座5-8-1 GINZA PLACE B1F |
営業時間 | ■営業時間 月〜金:14:00〜22:00(Lo.21:30) 土曜日:11:30〜22:00(Lo.21:30) 日・祝:11:30〜21:00(Lo.20:30) ■定休日 年末年始 2月第3火曜日 |
開業時期 | 2019年 |
6,『ライオン 銀座五丁目店』
銀座プレイスの地下1階は、上記でご紹介した「サッポロ黒ラベル The Bar」ですが、地下2階にも巨大なビヤホールがあります。名称としての「ライオン」発祥の地ということもあり、このビヤホール『ライオン銀座五丁目店』は90年以上の歴史があります。
何度か建て替えが行われ、現在の店舗は2016年から使われているものです。天井が高くて地階ながら開放感があり、レトロな雰囲気も相まって実にゆったりとした雰囲気。ここで飲む黒ラベルは家庭で飲む缶ビールよりもさらに美味しく感じます。
名物料理は唐揚げ。何十年を受け継がれてきた醤油、ニンニク、しょうが、黒胡椒などをつかったタレに漬け込んだ鶏肉をカラッと揚げています。サクサクの衣と濃い味・ジューシーな味がクセになります。
ライオン銀座五丁目店をリーズナブルに楽しむならば、平日ランチタイム(14時まで)がおすすめ。サービス価格のランチ(日替わりランチは1,100円)は結構豪華です。嬉しいことに、ライスはサラダに変更可能。十分過ぎるおつまみセットではないでしょうか。
もちろん、ザワークラウト、アイスバインやソーセージといったビヤホールの定番ドイツ料理もしっかり揃っています。
提供されている主なビールは、サッポロ生ビール黒ラベル、ヱビスビール、エーデルピルス、白穂乃香、SORACHI1984など。
住所 | 東京都中央区銀座5-8-1 GINZA PLACE B2F |
営業時間 | 月~木・日・祝 11:30~22:00 金・土 11:30~22:30 |
開業時期 | 1911年 築地精養軒カフェーライオンとして開店 1931年に大日本麦酒「ライオンヱビスビヤホール」として業態変更 1946年、戦災で焼失後、バラックで再開 1970年、サッポロビル地下で営業開始 2016年、サッポロビルをサッポロ不動産 銀座プレイスとして建て替え、地下で営業再開 |
WEBで予約 | 食べログ / ホットペッパー |
7,『ライオンビヤホール銀座7丁目店』
日本を代表するビヤホール『ライオンビヤホール銀座7丁目店』。
1934年に大日本麦酒(現在のアサヒとサッポロ)の本社ビルとして建設された建物で、一階には当時としては贅を尽くした立派なビヤホールがつくられました。
「天下一の建物に。後世まで残る日本を代表するビヤホールに」という想いで作られたこのライオンビヤホールは、戦火を乗り越え、現在も当時の雰囲気そのままに営業しています。
現存する日本最古のビヤホールであり、2022年には登録有形文化財(建造物)にも登録されました。柱や照明、店の奥にある巨大なガラスモザイク画などは、麦やビールの泡があしらわれており、「豊穣と収穫」がコンセプトと言われています。
提供されるビールはサッポロ生ビール黒ラベルやヱビスビールなど、他の銀座ライオンと同じですが、同店と前述したライオン銀座5丁目店だけは、ビール(黒ラベルのみ)の輸送方法が異なります。
サッポロビール千葉工場(船橋市)でつくられた黒ラベルは、工場内でビール専用タンク運搬車に注ぎ込まれ、1,000L規模で銀座まで運ばれてきます。その後、店の地下にある巨大なタンクへ注がれ、地下で冷やされた後、1階まで吸い上げられ、ビールグラスやジョッキへ注がれます。
缶でも瓶でも樽でもない、巨大タンクで工場から直送されてきたできたての黒ラベルは絶品!
おつまみは、時間限定のローストビーフやビヤホールの煮込み、ソーセージ、カリーブルスト、フィッシュアンドチップスなど。
※インバウンド需要の回復もあり、現在銀座7丁目店は終日混雑しており、とくに週末は行列ができています。ライオン銀座5丁目店のほうが比較的入りやすいので、そちらもご検討されることをオススメします。
住所 | 東京都中央区銀座7-9-20 銀座ライオンビル 1F |
営業時間 | 月・火・水・木・日 11:30~22:00 金・土・祝前日 11:30~22:30 |
開業時期 | 1934年 |
行きたいお店はありましたか
どの店も熟練の職人たちが一杯一杯丁寧に注ぎ、最高のビール体験を提供してくれます。ビール好きならば、ぜひ銀座のビール専門店を訪れてみてください。
また、今回は国産大手ビールを提供する店を中心にご紹介しましたが、銀座エリアには、下記のような輸入ビールを扱うビアホール・専門店もあります。
- 地ビール八蛮 銀座本店(東京都中央区銀座2丁目14−9)
- バーデンバーデン(東京都千代田区有楽町2丁目1−8 JR高架下)
- CRAFT BEER BAR IBREW GINZA(東京都中央区八重洲2丁目11−7 京橋Tsビル 1F)
- SCHMATZ シュマッツ 銀座松竹スクウェア(東京都中央区築地1丁目13−1)
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)