中原街道は1364年(昭和9年)に丸子橋が多摩川へ架橋されるまで、渡し船「丸子の渡し」が活躍していました。六郷の渡しと並ぶ、江戸東京と神奈川方面を結ぶ重要な交通手段であり、桟橋周辺には街道を行き交う人が休憩するための茶屋などができます。これが丸子村のはじまり。
大正、昭和にかけては花街として栄えましたが、いまやその名残は丸子山王日枝神社に残るのみ。ですが、花街の延長線にあるある商店街というのは飲食店比率の高さなど、どこか特徴が残るもの。新丸子駅前はいまも賑やかです。
新丸子の隣、武蔵小杉も住所的には新丸子を含んでいますが、いまやすっかり街の中心はそちらへ移りました。高層マンションに入居する人々向けのおしゃれな飲食店も増加し、新たな賑わいをみせています。
今回は、そんな新丸子・武蔵小杉でお昼から飲める定番の飲食店を4軒厳選してご紹介いたします。
1,新丸子『三ちゃん食堂』
このエリアで昼飲みといえば、まずはここ!正午開店の『三ちゃん食堂』。遠方から飲みに来る人も多い大定番の店。
大陸から引き揚げてきた中山三之助さんが青果店として立ち上げ、1967年に食堂へ転換しました。店名の由来は初代のお名前から。
食堂になった当初から現在に至るまで、餃子やチャーハンなどの中華を出していることから、ある意味「町中華」ではありますが、140種類を超えるメニューの中には刺身や天ぷら、煮魚、トンカツまであります。
学校の教室ひとつ分くらいある大きなホールには、相席が当たり前の長テーブルが3列一直線に伸びています。一人・二人だと向かい合わせで相席になることもありますが、そんなの気にせず食べたい料理、飲みたいお酒をもらってワイワイ楽しんだもの勝ちという雰囲気。
食堂といいつつ、お昼から飲み客のほうが多いのも三ちゃん食堂の特徴。ラーメンだけで帰っていく人もいますが、ほとんどのお客さんはここを酒場として認識しているようです。そんなニーズに合わせてか、お酒の種類は非常に豊富。
刺身もフライもオススメですが、ここは中華料理の肉系で飲むのが定番ではないでしょうか。人気の肉団子には春巻きかワンタンの生地が素揚げでついてきて、これを甘酢あんとともにバリバリと砕き、肉団子にまぶして食べるのがたまらなく美味しいです。
レバーショーガは、ほかではあまり見かけないメニュー。その名の通りレバーの生姜炒めです。レバーはパサツキ皆無。千切りキャベツと一緒に頬張りたい濃い味で、ビールや酎ハイが進みます。
家族経営の店ですが、活気がとてもあるのでアットホームの癒やしというより、パワーを貰える店、といったイメージです。
住所 | 神奈川県川崎市中原区新丸子町733 |
営業時間 | 12:00~20:00 水定休 |
創業 | 食堂になったのは1967年 |
2,武蔵小杉『くろ兵衛』
武蔵小杉の老舗もおる昼から飲めます。いえ、正確には朝10時から飲めます。武蔵小杉は日本電気 玉川事業場をはじめとした一大工業地帯でした。規模の大きな夜勤職場のある街の駅前には朝から飲める店がある。その法則の通り、武蔵小杉にはいくつか朝から飲める店がありました。
いまも残っている店が、センターロード内にある『くろ兵衛』です。40年以上続く古い店で、姉妹店に同店一階の「くろちゃん」や山形牛にこだわる焼肉店も展開しています。
昭和レトロなムードの酒場がお昼からやっている。それだけで街の過ごし方に奥行きがでるように思えて嬉しくなります。
もつ焼き、煮込みなどの肉料理だけでなく、刺身やなども置いています。
再開発されて洗練・オシャレな未来都市のような武蔵小杉のイメージを一切感じさせないこの空間。お酒を飲むならば、むしろこういう空間が落ち着くという方は多いのではないでしょうか。
住所 | 神奈川県川崎市中原区小杉町3-431 |
営業時間 | 営業時間 [月~木] 10:00~23:00(L.O.22:30) [金・土] 10:00~23:30(L.O.23:00) [日・祝] 14:30~23:30(L.O.23:00) 日曜営業 定休日 無休 |
創業 | 40年以上前 |
3,武蔵小杉『ナチュラマーケット』
2007年、イタリアンレストランで修行したオーナーが27歳のときに『ナチュラ』1号店(向河原 ※現在は武蔵小杉へ移転)を開業。欧米を巡り、本場で感じた感動を故郷に持ち帰り開業し、行列ができる大ヒット店をつくりました。
ナチュラの2店舗目は新丸子(2022年5月に建て替えのため休業)で、以来、いまに至るまでこの街を代表するバルとなっています。
武蔵小杉に複数展開しており、ナチュラ イタリアン酒場(11時30分~)、立喰寿司(平日15時~・土日祝11:30~)などがお昼から営業中。
今回ご紹介するイタリアン&和食の『ナチュラマーケット』は、東急線の高架下という立地を感じさせない、シックな雰囲気。イタリアン酒場よりも広く、家族や友人グループとお昼から飲むなら、こちらのほうがゆとりがあって安心です。
肉料理あり、お寿司、お刺身あり、本格的なピザもある。プロの料理人がつくるセンスのよい和洋折衷そろった店。スパークリングワイン、クラフトビール、日本酒とお酒もバリエーションも幅広いです。
ナチュラ名物の「シラスたっぷりペペロンチーノ」は、こちらでも楽しめます。
住所 | 神奈川県川崎市中原区新丸子町964-7 |
営業時間 | 営業時間 11:30〜23:00(LO 22:00) *寿司エリアは休業 日曜営業 定休日 無し |
オープン | 2014年 |
4,武蔵小杉『源太丸』
『海鮮問屋 浜の玄太丸』は東急線の武蔵小杉駅前でひときわ目立つ鮮魚店を併設した海鮮居酒屋。2014年開店と比較的新しい店ながら、実は武蔵小杉の老舗居酒屋「すきずき」(1975年創業)の系列店です。
鮮魚店、居酒屋ともに店頭に並ぶ魚は、魚種豊富で高級魚まである!びっくりする品揃えですが、それを実現するために、代表自ら毎日豊洲市場へ足を運び、自社の専用のトラックで店に運んでいます。
店の名物になっている太刀魚は常連さんが釣り上げたものを店が買い取ることで揃えているそうです。
生け簀にはカワハギが泳いでいて、これを店内で食べたい!と指定すると、店内で調理してくれます。ほかにも鮮魚店コーナーで魚を選び、居酒屋へ持ち込むことが可能。
ランチタイムは17時までとながく、刺身3点盛り定食(1,200円)や海鮮丼(1,000円)にビールをつけて軽く飲みながら昼食が楽しめます。また、ランチ限定の昼飲みメニューには、120分1,848円の飲み放題や、お任せ刺身3種盛り(1,628円)、あて巻き(トロたく巻き:528円ほか)など、オトクなメニューもあります。
住所 | 神奈川県川崎市中原区小杉町3-428 小杉山脇ビル |
営業時間 | 営業時間 ランチ 11:30~17:00 ディナー 17:00~翌1:00 (L.O.24:00) 【年末年始】 12月31日~1月2日まで休業 (12月30日営業終了、1月3日営業開始) 日曜営業 定休日 無休 |
開業年 | 2014年 |
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)