米子最大の歓楽街「朝日町」エリア。ここで約60年続く大衆居酒屋『鳥好』を訪ねます。看板料理は店名の通り焼鳥ですが、「キス団子」という創作料理も秀逸です。家族経営のあったかい酒場でした。
目次
家族経営で60年、地元密着の店
米子の中心街はJR米子駅周辺のほかに、公会堂や米子高島屋、銀行の支店が集まる角盤町という繁華街があります。地方都市に多いターミナル駅前と中心街が離れているパターンのひとつです。歩くと15分ほどですが、郊外と駅を結ぶ複数のバス路線が角盤町を経由するため本数が多く、訪れる際は路線バスをオススメします。
この角盤町から米子市役所にかけての国道裏は「朝日町」と呼ばれるエリアで、米子市最大の歓楽街が広がっています。スナックや居酒屋、〆の中華などが営業中です。夜の街なのに朝日町。規模としては秋田の川反くらいでしょうか。交流が再び活発になれば賑やかになりそうです。
そんな朝日町(住所としては東倉吉町)にある大衆居酒屋『鳥好』を訪ねます。
外観
1960年代に創業。昔は米子の中心街はもっと賑わっており、鳥好は大勢のお客さんで賑わったそうです。それに合わせてニ階建てに改築。二代目ご夫婦と三代目が切り盛りされています。
内観
店内は奥に伸びるカウンターとテーブル席。畳敷きの小上がりもあり、一人飲みから3~4人の飲み会まで対応。二階の座敷をあければ宴会も可能だそう。山陰地方の夜の街に再び飲み客がもどってくることを切に願っています。
品書き
お酒
- 生ビール(サッポロ黒ラベル):480円~
- 瓶ビール 中瓶:600円
- ハイボール:440円
- 酎ハイ各種:400円
- 清酒 真寿鏡(千代むすび酒造):330円~
鷹勇 特別純米、隠岐誉 純米吟醸、月山 純米吟醸、日置桜 特別純米など:各660円
料理
- いわし天ぷら:440円
- キス団子:440円
- とり天:420円
- かみなりとうふ:350円
- いか天ぷら:600円
- どて煮:490円
- 焼鳥5本セット:800円
- 串焼(ねぎま)2本:350円
- もも焼:720円
自家製、フレッシュにこだわる二代目大将
サッポロ生ビール黒ラベル(600円)
島根、松江の地酒が揃うほか、定番のお燗用のお酒も千代むすび酒造が引き継いだ「真寿鏡」と魅力的です。それでも、まずはやっぱりビールでしょう。
樽生の銘柄はサッポロ生ビール黒ラベルです。それでは乾杯!
キス団子(440円)
キス団子は同店の名物料理。キスをつかった練り物で、大葉が練り込まれいます。
揚げたてでホクホク。旨味が濃厚で噛むほどに味わいが増していきます。一皿で生ビールのジョッキ1杯をすっと飲み干してしまいそうな、お酒を進ませる一品です。
隠岐誉 純米吟醸(660円)
大将の前、カウンター中央の特等席で楽しませていただいているのですが、さっきから気になるのは目の前に並ぶ地酒たちです。松江、境港、浦安(琴浦町)などの地酒ばかりで、飲みたくて仕方がありません。
お願いしたお酒は隠岐の島の酒蔵・隠岐酒造がつくる隠岐誉です。大都市の飲食店では見かける機会が少ない銘柄こそ旅先で飲みたいですよね!しかも純米吟醸。上品な旨味と果実のような酸味が特徴です。
とり天(420円)
そんな隠岐誉にあわせるおつまみは、同店のも一つの名物である「とり天」です。とり天といっても大分で広く食べられているものとはやや異なります。
もも肉でしょうか。適度に柔らかく甘味のある鶏肉を衣で包んで揚げ、大根おろしをたっぷり載せ、山陰らしい甘い醤油ベースのつゆに浸して出来上がり。揚げ物が続くことなど気にせず、美味しいものは美味しいのです。
串焼(350円)
先代から受け継いできたというタレは濃厚で、軽く浸しただけでもかなりコク深い。
大将や女将さんと米子の飲食店話で盛り上がりながら、のんびりとつまむのにぴったりの焼鳥でした。
萬寿鏡(330円)
焼鳥には普通酒もよくあいます。境港の千代むすび酒造(2009年までは益尾酒造本店)がつくる真寿鏡のお燗をきゅっと一口。はぁー、落ち着きます。
ごちそうさま
外はまだ溶けきれていない雪が残っていますが気分はポカポカ。心温まる接客とほっとする料理で大満足です。
以前はカニなどの魚介類も多く扱っていたそうですが、昨今の外食業界に対する逆風や海産物の価格高騰等で魚料理は最小限となっています。ただし、予約すれば刺身が食べたいなどの要望も受け付けるとのことですので、気になる方は予約してから訪ねることをおすすめします。
近くの酒場
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 鳥好 |
住所 | 鳥取県米子市東倉吉町123 |
営業時間 | 営業時間 [月~土] 17:00~23:00 (L.O22:30) 定休日 日曜日 祝日 |
開業時期 | 1964年 |