人口19万人の鳥取は、砂丘砂丘や大山といった風光明媚な自然に囲まれた街です。日本海側に面していることもあり、冬の天気は変わりやすく昼間は晴れていても、夜は猛吹雪になることもしばしば。県庁所在地であって、その気象の変化に除雪が追いつけないほど。
交通アクセスは、京都、大阪、神戸から中国山地を貫いてつなぐ特急スーパーはくとが約2時間30分で結んでいます。冬は松葉ガニ、夏はイカ、通年でもヒラメやカワハギが水揚げされ、銘柄鶏の大山鶏料理も魅力の鳥取へ、ぜひ飲みに行ってみてください。
今回は鳥取で唯一の立ち飲みで、地元のノンベエたちが集う「鳥取駅前酒場」をご紹介します。
鳥取駅は県庁所在地たる風格たっぷり。鳥取大丸にニューオータニ鳥取と全国ブランドの施設もあり、予想以上に立派と思えるかも?
駅前の飲み屋街も立派。32万5,000石の池田光政が治めた風格はいまも感じられます。※取材日は豪雪日のため人通りが少ないです。
その鳥取駅前。まさに正面に駅をみる商店街の入り口で早い時間から常連さんで賑わう立ち飲みが「鳥取駅前酒場」です。
カウンターだけの小箱で、L字カウンターの内側で料理上手のお姉さんが一人で切り盛りしています。客層は近隣の飲食店の方や、地元の飲み屋街を歩き回る鳥取の酒の主たち。商店街を通る酒販店の配達トラックを見るだけで、「あ、納品来たか」なんて反応するのですから、主は相当です。
ビールはサントリーザ・モルツ。お酒は瓶ビールなど一部を除き300円均一。角ハイボール、ジムビーム、ワイン、そして地元鳥取の地酒が豊富に揃います。
ブーツの雪を落とし、寒さの中で駆けつけ一杯は、岩美の名酒・瑞泉。地元でも愛飲家が多いことで知られる地元で自慢のお酒です。チロリでお燗をつけてもらい、トトトとそそいで、乾杯!
料理は日によって多少変化するようですが、常連さんたちが太鼓判を押す「肉豆腐」(300円)は必ず食べて欲しい筆者もおすすめしたい逸品です。
大ぶりのとんすい…いや、これはもう丼ぶりです。じっくり時間をかけてつくる肉豆腐はノンベエが大好きな味。醤油濃いのではなく、酒で煮たようなコクが濃厚です。一味は気持ち多めに振って。
クタクタになったきつね色の豆腐。量もしっかりあり、価格は300円。相当お買い得な肴です。別の居酒屋の店主によれば、日本海側はシケで一週間は漁に出られないこともあり、それで肉煮込みが家庭の味として広まったのだそう。
次は常温で一杯いただきましょう。お隣の酒ツウなノンベエさんのイチオシ「香住鶴」です。
県境をこえた兵庫県の日本海側、香住町のお酒ですが、これも鳥取市内の定番の味として親しまれています。
中央のおでん鍋では関東の煮込みとは雰囲気のまったく違うコッテリ系のおでんがプカプカ。今日はこれから梯子酒が長いので、後ろ髪を引かれつつ、そろそろお暇します。
升に千円札を一枚。瑞泉、香住鶴、肉豆腐と2杯1品で900円。こんなに楽しめて100円のお釣りとは、素晴らしく鳥取駅前。
この雪だと除雪車でるかなー。俺のとこなんて、駐車場から道路までが遠くって大変だよ。今度の祭り、お前のところは出すの?なんて会話は、まるで青年会の集いのよう。楽しい時間をありがとうございます。
ごちそうさま。
鳥取の吹雪は全然たいしたことないね。うん! pic.twitter.com/bbQnEy6aoj
— 塩見なゆ (@KanpaiNayu) 2018年1月29日
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
立ち飲み 鳥取駅前酒場
0857-27-6574
鳥取県鳥取市栄町715
11:00~22:00(不定休・オープン時間は夜時間帯以前は変動あり)
予算1,000円