北千住「ささや」 酒場っていいな。改めて感じる煮込みカウンターの名店

北千住「ささや」 酒場っていいな。改めて感じる煮込みカウンターの名店

北千住に美味しいもつ焼きと煮込みの酒場があります。新宿・銀座のもつ焼き「ささもと」で修行を積んだご主人が開いた「ささや」です。

重鎮酒場が軒を連ねる飲みや横丁の中で、創業十数年のささやはまだ若手ですが、街の景色に溶け込み、地元のノンベエには無くてはならない存在です。

家業は大衆割烹だったご主人。一旦は会社員になるも酒場に惹かれ、この道に入ったということは「ささもと」好きの間では知られた話です。

 

平日は16時30分のオープンですが、土日はなんと14時には暖簾がかかります。遅い時間になると、ささや好きの常連さんでいっぱいになるので早い時間が筆者は好き。間口は狭く、カウンターだけのお店は新宿の横丁の雰囲気をどこかに感じるつくり。鎮座する大鍋が期待を膨らませます。

 

2階建てで、二階にもカウンターの客席があります。思い出横丁の「ささもと」のように二階との通信に伝声管は使われていません。

 

まずは、なにはともあれキンキンに冷えたジョッキに注ぐサッポロ黒ラベルで乾杯。冬でも夏でも、酒場で冷えたビールは格別です。

 

お酒のメニュー。生ビールは黒ラベルの他、琥珀ヱビスも用意されています。白黒ホッピーセットは540円。ささやといえばキンミヤと言われるほどみんな飲んでいる豆乳割り、珈琲味、トマト割り、そして梅割り、葡萄割りが並びます。

※値段はすべて税込み表記。

 

もつ焼きは、牛と豚で部位のバラエティは相当なもの。ささもとの流れからの仕入力を感じる内容です。

煮込みは皿盛りの一般的なものではなく、串打ちされて煮込まれています。豚の脳みそ・ぶれ煮込みは珍味ながらリピートしたくなる美味しさ。ぷりぷりして噛むとしっとり。

 

今日は喉が渇いている。樽生ビールを続けて琥珀ヱビスに。店はちょうど西日が差し込む。大きくとられたガラス扉を抜けて琥珀ビールを赤く照らしています。

 

串は1本から注文可能。備長炭で1本ずつ丁寧に焼いていきます。豚モツ(216円)は新宿ささもとに並ぶ鮮度と美味しさ。ささもと風の豚に加え、ささやは牛モツ(324円)のハツモトやハラミスジがあり、どれもジューシーでやみつきです。

 

部位ごとにオススメの味付け。ぷりっぷりなのにクサミが一切ないシロは、豚モツ好きならば一度は食べて欲しい下町の名店にも並ぶ美味しさです。煮込み鍋に浸して味をつけ、それを焼くというスタイルは必食。

 

モツ串には甲類が合う。もちろんそこに梅や葡萄のエキスを垂らすのが東京昭和式です。キンミヤ焼酎に下町の謎の梅エキスをぽちょんと数滴。

 

水飲み鳥のごとく、お口からきゅっと。あー、濃い。そして美味しい。

 

串煮込みはおっぱい・ふわ・シロの3本セット。味噌味でたっぷり煮込んでいるのに、しつこくなく余韻が心地いいです。

そして、〆にはやっぱりキャベツ串。

 

オーダーを受けてから煮込むキャベツは少し時間がかかるので余裕を持ってどうぞ。モツと味噌の味を程よく吸ったキャベツはハイボールとの相性が抜群です。

BGMはJAZZが静かに流れ、その中でデュワーズを飲む。あぁ素晴らしき、トーキョーダウンタウン。

 

隣の人との距離は近くあっという間にぎちぎちになりますが、店は清潔で明るい雰囲気なので初めてのお一人様もぜひ。気持ち割高にみえても、お店をあとにするときはきっと大満足のはずです。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

ささや 北千住
03-6661-3773
東京都足立区千住2-65 ささや北千住
16:30~23:00(土日は14:00~・日は21:00まで・無休)
予算3,000円