中洲川端駅近く、福岡・博多で65年続く居酒屋『酒房やす』。二代目と三代目が親子で老舗暖簾を守ります。老舗ながら気取らない雰囲気と手頃な価格で、気軽に立ち寄れる一軒。玄界灘の魚介類や大皿に守られた惣菜が名物です。
目次
山笠期間中は臨時休業、そのワケは?
外観
『酒房やす』は1958年(昭和33年)に開店し、家族で営んできた店。博多祇園山笠の山笠奉納でお馴染み、櫛田神社の前を通る土居通り沿い店を構えており、『酒房やす』の店主一家も「土居流」として博多祇園山笠の運営に関わってきました。
そのため山笠開催期間中(毎年7月1日~15日)は山笠に携わるため臨時休業してしまいます。祭り好きで知られる博多っ子の酒場というわけです。
内観
店内も壁一面に山笠ゆかりの品や写真、ポスターが飾られており、山笠の歴史や文化を感じてお酒が楽しめます。
界隈では有名な店ですが、店はそれほど広くなくテーブル3つとカウンターというコンパクトなつくりです。隅々まで手入れが行き届いており、歴史はあっても古く疲れた印象は皆無。客層は飲み慣れた方が多く、賑わってきても落ち着いた雰囲気はかわりません。
大将や息子さんがピシッとしており、丁寧な仕事をしているのもこの店が長年親しまれてきた理由でしょう。
カウンター前の一段高くなった棚には今日の大皿料理がずらり。昼食時は定食屋として営業しており、内容は日々変わります。
品書き
お酒
- 樽生ビール(サッポロヱビス):550円
- 瓶ビール(アサヒスーパードライ・キリンラガー・サッポロ黒ラベル):650円
- 本格焼酎(黒伊佐錦・黒霧島・壱岐の華・吉兆雲海・繊月):350円
- 日本酒(池亀酒造[久留米]池亀):400円
- チューハイ:400円~
- ハイボール:400円
料理
- とり皮酢:300円
- いか塩辛:300円
- 塩クジラ:350円
- 辛子明太子:600円
- さくら干:400円
- 〆鯖:600円
- するめソーメン醤油:400円
- いか塩焼き・いかみそ炒め・いかバター:各700円
- かしわにんにく:600円
- 牛筋スープ:600円
- 焼きそば:700円
- 水炊き:900円
- トンテキ:600円
- チャーシュー:300円
など(訪問時等に確認した金額です。料理・値段は変更になっている可能性があります。)
玄界灘の魚と老舗の手料理
サッポロヱビス(550円)
樽生ビールは大衆的な居酒屋としては珍しいサッポロヱビス。それでは乾杯!
運ばれてきたジョッキに驚きました。長くヱビスを取り扱ってきたお店にしかない、サッポロジョッキ型に鯛を抱えた恵比寿様がかかれたレトロジョッキが現役です。現行のオシャレ路線もよいですが、老舗で使う”あえて”のレトロジョッキも好きな人にはたまりませんね。
マト鯛とブリ刺(600円)
さて、まずは刺身からいただきましょうか。博多湾まで1キロも離れていない同店は、鮮魚市場から入る新鮮な玄界灘の魚が揃っています。
今日のお刺身はマトウダイとブリ。ブリは脂がのっていながら鮮度もよいのでピンと角が立っています。
こちらはマトウダイ。甘味がほんのり感じるあっさりとした魚で、これが九州の甘い醤油と実に好相性です。
醤油は大手メーカー品ではなく、もちろんご当地もの。福岡・柳川にあるアサヒ醸造がつくる甘い濃口醤油です。
米焼酎 繊月(350円)
引き締まった刺身に甘い醤油。これにあわせるならば、今日の気分は米焼酎です。人吉の焼酎酒蔵・繊月酒造がつくる「繊月」のお湯割りをいただきました。
おから
せっかくなので、お惣菜からひとつ。出汁がきいたおからをいただきます。ノンベエ好みの濃い味です。
日本酒 池亀(400円)
ポピュラーなお酒ですが、だからこそ酒場に似合う”味”のある一杯。お燗酒でちびり・ちびりと飲みつつ、おからをつまむ。のんびりとした時間を楽しみます。
玉子焼
しっかりと旨味をすっと正統派の玉子焼。
仕事帰りの常連さんが次々やってきて、飲み仲間と語らう姿があっちにもこっちにも。大将とも仲が良いようで、朗らかな空気が店を包み込みます。
常連さんの好みは「塩くじら」だそう。塩が強いから焼酎がぐんぐん進むと楽しそうに飲んでいました。
ごちそうさま
山笠関係者も集う店。特色あるおつまみもあり、出張や旅行できた人には郷土料理店としても楽しめると思います。福岡で飲む際はぜひ選択肢に入れていただきたい名店です。
値段も手頃なので、屋台に繰り出す前の一軒目としての利用にもおすすめ。
近くの屋台・酒場
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 酒房 やす |
住所 | 福岡県福岡市博多区下川端町8-17 |
営業時間 | 営業時間 11:00~13:00 17:00~22:00 定休日 土日祭日 及び山笠期間 |
開業年 | 1958年 |