蔵前『蔵前いせや』明治22年創業、大きな穴子と濃いダレの天丼を肴に

蔵前『蔵前いせや』明治22年創業、大きな穴子と濃いダレの天丼を肴に

2022年11月15日

蔵前で天丼といえば『蔵前いせや』です。伝統の味を守り続けている名店ながら、値段は手頃。2,000円あれば美味しい天丼にビールや日本酒が楽しめます。とくに、大きな穴子を載せた丼ぶりがオススメ。なんたって、この穴子が濃い味でお酒を飲まずにはいられません。アットホームな家族経営のお店です。

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原点は、明治22年の日本堤にあり

江戸前といえば、寿司がまず浮かびますが、私は寿司と同じくらい天ぷらが好き。江戸・東京は古くから天ぷらが親しまれてきた街で、いまも多くの老舗・名店が暖簾をつないでいます。

「天ぷらの名店といえばどこ」なんて話をはじめると”侃々諤々(かんかんがくがく)”になりそうなので、今回は私が行ける「大衆的な店」という視点から。やはり『いせや』は外せない存在ですよね。

創業は1889年(明治22年)。三ノ輪に近い日本堤からはじまった天ぷら店。場所柄、吉原に関連するお客さんも多かったことでしょう。いまもい日本堤には本店があります。家族経営だったそうで、3代目が各々独立し、本店、入谷千束、そして蔵前の3店舗体制となり現在に至ります。『蔵前いせや』は、日本堤時代から数えて4代目となるそうです。

さて、『蔵前いせや』は、知名度が高いものの、値段は非常に良心的なことに驚かされます。昼食時は900円で天丼が食べられるのですから、巷のチェーンと並ぶくらい。ですので地元にお住まいの方や近隣の会社員らでピーク時は満席になります。雰囲気は昭和の食堂に近く、はじめてでも緊張しないで過ごせるはず。

ならば、お酒を飲める雰囲気ではないのか…というと、そうではありません。13時を過ぎれば落ち着くので、遅めに蔵前雰囲気にいるときは、「名店でお昼飲み」が楽しめるのです。

品書き

お酒

生ビール(アサヒスーパードライ)大グラス:500円、小グラス:300円。瓶ビール(アサヒスーパードライ)中瓶:600円、小瓶:400円。酒:450円、冷酒(黄桜):750円、ウイスキー:450円、焼酎:450円など。

※最新の価格ではありません

料理

いせや丼(穴子、小えび2本、野菜):1,200円、えび穴子天丼(穴子、大えび、野菜、味噌汁付き):1,800円、魚天丼(穴子、きす、メゴチ、野菜、味噌汁付き):1,800円、天丼(小えび2本、きす、いか):1,200円、中天重:1,800円、かき揚げ天重:1,500円など。飲放題付きの天ぷら、刺身、ミニかき揚げ丼などのコースもあります。

ごま油と甘じょっぱいタレが誘うスーパードライ

アサヒスーパードライ小瓶(400円)

ごま油の香りがほんのり漂う店内。お客さんは勢いよく天丼を頬張るスーツ姿の人や、静かにビールを飲みつつ天重を待つ通い慣れた雰囲気の年配の方などさまざま。昼休憩の時間を過ぎたあとの店内は、お客さんも店員さんもひと仕事終えた安堵感のような表情です。こちらも心がほぐれ、ビールが欲しくなります。

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いせや丼(1,200円)

パリッと揚がった衣に、江戸の味らしい濃いめのタレがしっかりかかっています。タレは染み込まず弾いているので、天ぷらは衣の先までピンとしています。

丼ぶりから穴子がはみ出していますが、けして丼ぶりが小さいわけではありません。カリカリ・サクサク、現代風にいえば「クリスピー」な食感に仕上がった穴子の端をそっと箸でつまんで頬張れば、ビールがいつも以上に美味しく感じます。

受け継がれてきた黒いタレ。甘じょっぱい味が好きな人ならわかる、この美味しさ。ごま油の風味も相まって、丼ものながらお酒が進むこと間違いありません。ビールの次は清酒・黄桜をもらいましょうか。

二階には座敷があり、夜は宴会利用も可能。観光地のまん真ん中である浅草だけでなく、蔵前の普段遣いできる老舗の味も実にいいものです。

ごちそうさま。

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名蔵前いせや
住所東京都台東区蔵前4-37-9
営業時間11:00~14:30頃・17:00~20:30頃(水定休)
開業年1889年(1972年)

公式サイト Twitter