東京都港区芝「田町・三田」にある、家族経営の小さな酒場『酒処やきとり 一心』。慶應仲通り商店街で最も古い立ち飲みです。看板料理の焼鳥だけでなく旬の刺身も良心価格で揃っており、飲み慣れたベテラン飲兵衛さんたちが贔屓にする理由がわかります。
目次
店主との距離の近さも人気の理由
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約6,000人が勤務するNECスーパータワーを中心とした日本電気や森永乳業・森永製菓などの大企業が拠点を構える、日本有数のビジネス街である田町。さらに、隣接する三田には名門「慶應義塾大学」をはじめとしたキャンパスが集まっています。それらに通勤・通学する人が集まる慶應仲通り商店街は、芝エリア最大の飲食店街です。
食事処は多いのですが、山手線各駅の周辺と比べると比較的チェーン店が多い印象があり、地域色を感じられる個人経営の店で軽くお酒を飲もうと考えると、選択肢はそれほど多くはありません。
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そうした中で、1990年(平成2年)に創業した『酒処やきとり 一心』はとても貴重な存在です。田町のシンボル的な存在であるNECスーパータワーと同い年。
外観
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チェーン店に囲まれながら、少しレトロさを感じるネオン看板が静かに主張しています。店頭にはその日のサービス料理が立てかけられており、お酒や料理がチェーン立ち飲み店に負けないような良心価格で並んでいます。店頭からは店内がやや暗く見えますが、入れば優しく迎えてくれますのでご安心を。
内観
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調理場に立つ大将と息子さんが「いらっしゃい!」と元気に迎えてくれました。店の半分が調理場で、それを仕切るようにL字のカウンターが配され、壁面にも簡易なカウンターテーブルが用意されています。その奥は唯一の着席テーブルがあり、グループ利用向きです。
口開けに合わせて訪ねましたが、私のあとに続々と常連さんが集まり、メインのカウンターは一時間もしないうちに埋まりました。店の奥のテーブルも、スーツ姿の会社員が数名で飲み会を始めています。
品書き
お酒
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樽生ビール(アサヒスーパードライ)中:550円、瓶ビール(アサヒスーパードライ)大瓶:550円、酎ハイ:250円、サワー各種:280円、ウーロンハイ:300円、お酒(2合):480円、生酒:580円、ウイスキー角ハイボール:300円、ホッピー・黒ホッピー(セット):380円。
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日替わりメニュー
刺身三点盛:650円、マグロ刺:400円、かつおたたき:350円、すずき刺:350円、いか刺:320円、たこブツ:350円。〆鯖:350円、ホッキ貝刺:350円、まぐろ納豆:280円、穴子天ぷら:480円、キス天ぷら:350円、ちくわ磯辺揚げ:280円、アジフライ:280円、めんちカツ:280円、厚切りハムカツ:300円、牛ホルモン炒め:350円、あさり酒蒸し:350円、カツ煮:400円など。
取材時のサービス品は肉どうふ:300円、チキンカツ:300円。
定番・短冊メニュー
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串焼は、とり、つくね、レバー、タン:各100円、砂肝:130円、手羽先:150円、ハツ大串:150円。
揚げ物は、ラビオリ:200円、揚ギョーザ:250円、フランクフルト:300円、ゲソ揚げ:250円、揚しゅうまい:300円、とり唐揚:350円、カニクリームコロッケ:380円など。
煮物は肉豆腐:350円、牛モツ煮込:300円。
一品料理はチーズオムレツ:380円、塩辛ジャガバター:280円、ポテトチーズホイル焼:320円、ミックスピザ:380円など。
種類豊富でお財布に優しい料理の数々
アサヒスーパードライ大瓶(550円)
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NECが住友系ということもあって、田町はアサヒビールを扱う店が多いです。ここ、一心もビールはアサヒのみ。大瓶のアサヒスーパードライをもらって、それでは乾杯!
キンキンに冷えたスーパードライが乾いた喉を流れる瞬間がたまりません。
刺身三点盛(650円)
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ホワイトボードに今日のおすすめがびっしりと書かれていると、あれもこれも食べたくなって楽しいです。刺身も力を入れているようですから、三点盛にしましょうか。
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常連さんの注文率も高いマグロの赤身に、この日入荷のスズキとカツオたたきを盛り合わせたもの。厚切りで口いっぱいに美味しさが広がります。
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大瓶と刺身で幸先の良いスタートです。刺身は人気のようで、カウンターから厨房を眺めていると、次々とサクが切り分けられていく様子が見えました。
串焼き とり・つくね・たん(各100円)
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やきとりは看板に書かれた文字通りの「看板メニュー」です。1本100円と良心的。味付けをおまかせにしたら、タンはスライスレモンを載せた塩焼きになりました。この価格としてはとても丁寧です。
キス天ぷら(350円)
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キス天ぷらは、立ち飲みとは思えない丁寧な盛り付けでやってきました。もちろん天つゆと大根おろしもついています。上品な甘さがあるプリっとしたキスです。
酎ハイ(250円)
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いまどき、港区の家族経営の店で一杯200円台があるなんて驚きます。ガス圧しっかり、プレーンな一杯です。
肉どうふ(350円)
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肉豆腐はけんちん汁のように、豚肉と根菜がたっぷりはいったもの。とんすいではなく丼ぶりに近い器で、食べごたえがあります。
魚肉ソーセージ玉子焼(350円)
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「気になる料理があったら、答えが知りたくて注文する」、飲み屋での楽しみの一つです。
魚肉ソーセージ玉子焼きはどんな料理だろうと注文しましたが、この通り、卵とじのような料理でした。
角ハイボール(通常300円・水曜日は250円)
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曜日ごとにオトクなお酒があり、水曜日は角ハイの日。50円引きです。
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会社帰りの人たちで店内はどんどん埋まっていきます。まさに、ビジネス街の息抜き場所といったところ。
刺身も焼鳥も天ぷらも、どれも丁寧に調理してくれるのが嬉しかったです。三田・田町で優しい雰囲気の立ち飲みをお探しでしたら、『一心』はおすすめです。
ごちそうさま。
近くの立ち飲み酒場
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 酒処やきとり 一心 |
住所 | 東京都港区芝5-24-11 |
営業時間 | 17:00~23:00(土日祝定休) |
開業年 | 1990年 |