京都の五条に素敵な飲み屋があります。営業はなんとお昼14時から。場所は、京都・洛中をある程度ご存知の方なら「あぁ、あそこね」とおわかりになると思いますが、遊郭の五条楽園の跡地にあります。この界隈は2010年ころにその手のお店は一斉になくなり、それから6年が経過。いまでも赤線時代の名残がそこらじゅうに残っていて、ディープなスポット好きな人や、大正から昭和初期にかけて建築された独特なデザインの建物を見物に来る人も多い場所です。
今回ご紹介する「煮込みや六軒」がオープンしたのは2012年だそうで、その後もこの界隈はおしゃれなカフェも並ぶようになり、すっかり落ち着きのある街になっています。とはいえ、やはり独特な気配は感じるものですが…
といっても、女性が一人で飲み歩いていても怖くないですし、逆にこんなものかと思ってしまうかもしれません。ぜひ飲みに行ってみてほしい酒場です。
店構えのタイルや店内にも流し場がタイル張りだったりと、どことなく大正モダンです。
店名の通り煮込みをメインに、大衆酒場の定番をちょっとオシャレにアレンジをきかせた飲兵衛好みのメニューが並んでいます。
お酒はなんといっても樽酒でしょう。京都の地酒、月桂冠の菰樽に迎えられ、店内にも杉樽の香りがほのかに漂っていてたまらない。日本酒は樽酒の月桂冠か上撰、あとは賀茂鶴が定番。ほかに地酒や焼酎も色々あります。
ビールはサッポロラガーを置いています。それでは乾杯!
いぶりがっこのマスカルポーネやしめ鯖などの小鉢料理もそこそこの充実で、店名の通りの煮込みを食べなくても十分に楽しめます。薬味たっぷりのお豆腐をつまみつつ、ビールを飲み進めていきましょう。
それにしても、京都で煮込みとは珍しいし、ましてガツ刺し(450円)をこっちで食べるとは。こりこりとしていて美味しい。赤星と合わせてつまんでいると、京都の酒場のイメージも変わってきます。こういう酒場を探していました。
煮込みは、もつ煮込み(小・450円)のほかにトッピングで玉子、大根、豆腐、厚揚げなどもあります。醤油ベースですき焼き風の甘さのある味付け。長時間煮込んでいるようで、かなりほろほろになっています。だしがでているので汁まで美味しい。
今回は小で頼みましたが、味がしっかりしているので二軒目だったり、これから先も梯子する予定がある方はこれくらいがちょうどいいかも?と思います。
まぐろ酒盗クリームチーズや肉味噌きゅうりなどお腹にたまりにくいおつまみもたくさん。樽酒の美味しさをゆったりと楽しむのにとてもいいお店です。
昔の建物を雰囲気を残しつつ風格を感じるリノベーションをしているのもみどころ。地元の方だけでなく、近くの旅館、ホテルに滞在している人もコンシェルジュから聞いて飲みに来る人もいらっしゃいます。観光でも、地元使いでもおすすめです。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
にこみ屋六軒
075-708-2099
京都府京都市下京区早尾町164-3
14:00~23:00(水定休)
予算2,200円