生つくねが名物の老舗「江戸政」をご紹介します。
江戸と下総を繋ぐ「大橋」は1659年に幕府によって架橋されました。両国橋とも呼ばれ、日本橋と並ぶ江戸を代表する橋のひとつです。交通の要衝には多くの人や物資が集まり、そこには相撲をはじめ様々な文化が登場しました。
両国と呼ばれるエリアは今でこそ隅田川の東側になりますが、かつては中央区側の大橋西詰が両国と呼ばれていました。ここに約1世紀続く焼鳥の店があります。
「江戸政」は1924年の創業。初代が屋台からはじめたお店は、いまも立ち飲みの屋台形式で続いています。入り口すぐの台にたつ葱台(そうだい)に屋台の名残があります。
生つくねを含め料理はおきまり
常連さんの多い老舗ということもあり、頼み方に”おきまり”があります。
店内に通されると、料理はコース形式で一通りでてきますのでおつまみの注文は不要です。
飲み物をビール(アサヒスーパードライ中びん510円・以下税込)、黒ビール(小びん460円)ウイスキー水割り(スーパーニッカ・650円)、酒(白鶴・610円)から選びましょう。飲み物はキャッシュオンでの支払いなのでお財布のご用意を。
ビールは長年アサヒのお店。目の前で栓抜きをつかって「シュポ」っと開ければテンションもアップ。では乾杯。
名物の「生タタキ」。これを目的に通うファンは多いです。家族経営で代々受け継がれてきた手法でつくる、珍しい生の鶏タタキと、門外不出・継ぎ足し続けてきたタレの味わいは秀逸。
タタキは焼き、半生、生から選べます。”おきまり”では、タタキのほかにも焼鳥、ハートスタミナ、ピーマン肉詰めの3種類の焼き物がでてきます。加えて品物があればレバーも食べるか尋ねられます。大ぶりの焼鳥やレバーなど、焼鳥でも鮮度が重要なことを改めて感じさせてくれる逸品です。数量限定で「かわ」と「ふじ」があり、こちらは行列に並んだ人だけの特権です。
タタキなど追加できます
“おきまり”のあとに、おつまみとして「タタキ(つくね)」の追加が可能。ここのタタキとタレの味は脳裏に焼き付く味です。半生と焼を追加し、これらをつまみに、日本酒をちびりと傾けたいものです。
日本酒は冷酒は白鶴生貯蔵酒(300ml)、お燗酒は瓶ごと湯煎でつけている白鶴上撰が用意されています。丁度いい具合に温められた燗酒を、お猪口できゅっと飲めば屋台焼鳥の情緒に少しだけでも近づけるような気がします。
タイミングを狙って訪ねてみて
七味、わさびだけではなく、お燗酒には甘タレと山椒の組み合わせもおすすめ。
平日の17時から2時間程度しか入るチャンスがない「江戸政」。タイミングが難しいですが一度は訪ねてほしい一軒です。家族経営のコンパクトなお店です。そっとお邪魔させていただく気持ちで来店を。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)