金沢八景「堀川商店」 港町の角打ちで、潮の香りを肴に一献

金沢八景「堀川商店」 港町の角打ちで、潮の香りを肴に一献

金沢八景は、八景島シーパラダイスへの玄関口。ですが、金沢八景という名のごとく、この地そのものも景勝地として古くから栄えた場所です。

山ぎりぎりまで平潟湾が近づき、僅かな平地に京急と国道16号・横須賀街道が通ります。小高い山と入り組んだ湾や小さな島など、八つの景勝があったことから八景となったそうです。いまでこそ、横須賀へ抜ける通過点のひとつなっている八景ですが、鎌倉街道との分岐地でもあり、商店街をはじめとした街並みに往時の面影が残ります。

旧国道の周辺は味わい深い飲食店もあって巡りたいものですが、まずは駅にも近い「堀川商店」を覗かなくてはいけません。

 

マンションに立て替えて、その一階をもともとの酒屋として残している酒販店で、直線的で現代的な店構えです。古き良き酒屋もよいですが、こうして建物を変えても商売を続けていらっしゃる酒販店も大好きです。

 

入ってすぐが小売スペース。そこで売っているものなどが飲める角打ちコーナーが暖簾をもう一つ潜った隣りにあります。小売スペースのレジ脇のちょっとした空間はまさに秘密基地。

店に並ぶ乾き物を選んで、ビールや日本酒を選びましょう。ご近所の方がほとんど密着系の店。皆さん顔見知りのようで会話がとても温かい。

ビールは大びんが380円とさすがの安さ。

 

日本酒の上撰をひとつ。銘柄は菊正宗です。コップいっぱいの日本酒をきゆっと飲む。街歩きの途中に入る角打ちは格別です。乾杯。

 

缶詰や乾き物は小売の価格そのまま。キレイな空間で飲ませてもらうのに、飲食分の上乗せがないのは申し訳ない気分。せめて、いっぱい飲むか小売で買い物をしていきたい。

 

かっぱえびせんと宝焼酎のやわらかお茶割り。お店は大女将と店主さんが店に立たれていまして、ドライな接客なのだけど、それでも個人店ならではの人間味がある感じがあります。

 

店の前はそのまま船宿が立ち並ぶ平潟湾。そう、この酒屋さんは海に面しているのです。漂う潮の香りと磯の波音が聞こえるのんびりとした雰囲気。明るい時間にぼーっと眺める八景の景色は、まさしく景勝地。

港の角打ちで癒されるひとときを。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

堀川商店
045-701-9431
神奈川県 横浜市金沢区洲崎町7-4
16:00~19:00くらい(酒屋営業は9:00~・水定休)
予算1,000円