唯一無二、癒やしの食堂飲み。名古屋に素敵な昼酒スポットがあります。栄でも名駅でもなく、場所は「小田井」。半世紀続く家族経営の店「あや」は、お昼からお酒を求めてやってくる常連さんたちで賑わいます。
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食堂飲みが好きならば、電車で行く価値は十分にある
「あや」の営業開始は11時。名古屋滞在のブランチを求めて小田井に向かいました。
最寄り駅は城北線の小田井駅、もしくは名鉄犬山線の中小田井駅。城北線は極端に本数が少ないので名鉄線が便利です。また、栄から地下鉄や路線バスで庄内緑地公園まで向かい、そこから徒歩10分ほどでも行けます。なかなかふらっと飲みに行くような場所ではありませんが、それでも食堂飲みがお好きならば行く価値がある1軒だと思います。
ベッドタウンの小さな商店街にある日に焼けたテントが目印、お好み焼き・焼そば「あや」。今もお店に立つお母さんが店をはじめて約半世紀。「あや」という女性名を連想する店名ですが、創業したご夫婦のお名前に共通して「文」の字があったことが店名の由来です。
看板の通りお好み焼き店で、お好み焼きを食べに来る人も多いのですが、それ以上に優しい雰囲気を求めて飲みに来る居酒屋使いの常連さんが多いようです。
夢の中に迷い込んだようなふわっとした空間
最近、こういう雰囲気のお店で飲んでいないな…。すごくあったかい雰囲気に、心が空間に溶けてしまいそうな感覚になります。
店構え同様、年輪を感じる店内。女将さんがたつ鉄板つきのカウンターと、テーブルが数卓のコンパクトなつくりです。カウンター3席、4人テーブル2卓、ほか。
年季がはいっていても、店内はよく手入れがされています。そして、こうした立地ながら11時半には店内はほぼ満席状態。テイクアウトの電話も次々入り、街の皆さんに親しまれていることがよくわかります。
それでは始めましょうか。
大樽はありませんが、瓶ビール(アサヒスーパードライ大瓶・キリンラガー大瓶)だけでなく缶ビール(サッポロ黒ラベル)、RTD(宝焼酎ハイボール・宝やわらかお茶割り・オエノン博多の華焼酎水割・サントリー角ハイボール)もあり、ちょとした角打ち気分。店の奥にある冷蔵ケースから、常連さんは自分で取り出して「これ飲むよー」と伝えています。
乾杯はビールから。各社あると悩みますが、「あや」から徒歩圏内に位置するキリンビール名古屋工場(12)で製造されたキリンラガー(RL)がありましたので、今回はこれで乾杯!
品書き
お好み焼き(470円)からはじまる品書き。お好み焼き肉玉入り(550円)、お好み焼きミックス(600円)、モダン焼き(650円)、焼きそば(470円)、焼きそばミックス(600円)、焼きそば定食(11:00~15:00 ご飯・味噌汁・漬物付き600円)など。
お酒飲みのメインは鉄板の後ろに掲げられたホワイトボードのお惣菜メニューでしょう。中トロ、まぐろ、イカソーメン、タコぶつ、酢サバなどの刺身もあります。おばゆき、イサキ煮付け、塩さば、スジコン煮、ホルモン焼き、焼ぶた、かしわレバー焼きなど、肉も肴も顔ぶれは様々。日々内容は変わるとのこと。
お酒とホワイトボードの料理は価格が不明ですが、2,000円前後の予算で十分楽しめるお店なのでご安心を。
のほほん、平和な食堂飲み
ピーマン肉詰め
常連さん率が非常に高いお店ですが、お店の皆さんもお客さんたちもとってもフレンドリー。おすすめを教えてくれたり、気さくに話しかけてくれたり、あっという間に溶け込めます。
とりあえず、ピーマン肉詰めでもどうですか?とのことで、いただきます。
芋づるきんぴら
親戚の家で「ちょっとこれでもつまんでいて」と出してもらったような、そんな感覚。昔から通っていたような錯覚すら感じてきました。
宝酒造 焼酎ハイボール ドライ
常連さんに人気の缶酎ハイ。私も皆さんに習って冷蔵庫から自分で取り出し、カシュッと。氷がいっぱいにつまったタンブラーを用意いただきました。
イサキ煮付け
女将さんたちが丁寧につくる料理は家庭的な温かさがありながらも、老舗としてプロの安定感。お好み焼きは美味しそうですが、食堂飲みに煮魚は欠かせないと、イサキ煮付けを注文しました。
宝酒造 やわらかお茶割り
角打ちと食堂の中間のような空気感です。「いま私はどこで何をしているのか、このあとの予定はなんだったか…」
すべて忘れてしまいそうなくらいストレスレスな世界。
いつもの一杯を楽しむ大先輩たちに囲まれて、心安らぐひとときでした。名古屋にこんな楽園があったとは、もっと早く知っておくべきでした。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | あや |
住所 | 愛知県名古屋市西区上小田井2-128 |
営業時間 | 11:00~21:00(月火定休) |
開業年 | 1970年頃 |