都市圏人口60万人をこえる豊橋。愛知県では名古屋都市圏に次ぐ規模を持ちます。
広小路通を軸とした中心市街地は、お酒好きならば一度は探索してみてほしい立派な飲み屋街です。名古屋や琵琶湖を挟んだ東側の静岡県浜松とも異なる、独自の文化・風土が感じられると思います。
豊橋で老舗の居酒屋といえば「割烹 千代娘」。創業から60余年になります。かつてはいぶし銀の木造店舗で営業し、その雰囲気もまた居酒屋好きの間で話題になりました。
建て替えられて5年目(掲載時)となる現在の建物も、カウンターを中心としたコンパクトなつくりに、酒場好きの心をくすぐる雰囲気があります。
一杯目はやっぱり生ビール(サッポロ生ビール黒ラベル)。長年サッポロビール一筋と聞きます。それでは乾杯。
家庭的な雰囲気ですが、ぴしっと背筋を伸ばして飲みたくもなる千代娘。
お通しのおでん、そしてカウンターに並ぶ料理はどれも美味しいと評判で、注文に悩むことなく、今の女将さんと相談しながら献立を決めるのも良さそうです。名物はたこ煮で、これはぜひとも食べたい一品。
お造りからはじまる経木の献立。三河湾産などの地元食材がほとんどだそう。太刀魚、焼き蛤、甘鯛、とり貝とどれも魅力的。
お酒は店名と同じ千代娘の本醸造。浜松の酒蔵でかつては宮崎酒造がつくり、現在は浜松酒造が製造する歴史ある銘柄です。
よきお酒には、よき魚を。鮪のお造りをいただきます。盛り付けが美しく目でも楽しめる盛り付けは割烹ならでは。
大皿から人気のたこ煮を。柔らかく口の中で溶けていくような食感です。練り辛子が添えられています。ほかにも、とこぶし、ながらみ、ワカサギなどを小皿で取り分けてもらって、ちびりちびりと進めていきたい……。
居酒屋のカウンターと言う場所は、町の観光地をめぐる以上にその地の風土を愛せるように思います。お店の方や常連さんとちょっとした会話を楽しみながら、ゆっくり盃を重ねていきます。
家庭料理ですがしっかりとした腕を感じる料理ばかり。中には、土地柄を感じるアサリの干もの串などもあって、ますます楽しくなってきます。
豊橋でじっくりとお酒を楽しみたいときは、三ツ矢の暖簾をくぐってみてはいかがでしょう。
きっと心地よいひとときを過ごせると思います。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材時期/コロナ禍以前)
千代娘
0532-54-7135
愛知県豊橋市松葉町3-83
18:00~23:00(日定休・臨時定休などは公式サイトをご確認ください)
予算4,000円