大曽根「佐野屋」 昼酒愛好家が集う一里宿の人気角打ち

大曽根「佐野屋」 昼酒愛好家が集う一里宿の人気角打ち

大曽根は名古屋城から一里の場所。木曽街道、下街道、瀬戸街道へはここ大曽根を分岐点として伸びていました。名古屋を出て最初の宿場として、街道の分岐点として長きに渡り栄え、現在でも道路・鉄路ともに大曽根を要衝としています。

そんな歴史があって、町並みは道のつくりや商店街の規模などはかなり立派。ですが、お世辞にも今も賑やかかというと、それは少し違うような気がします。

交通の集結点であるというスペックは、地下鉄・JR・名鉄・路線バスで名古屋中心部へのアクセスがよいという意味でもあり、商業で考えれば買い物客は栄や名駅に流れてしまっているような印象もみられます。

それでも、ナゴヤドームができ、最近はマンションの建設が続くなど、街の姿は別の方向ではあっても成長しているようです。街歩きが趣味の筆者としては、大曽根は実に興味深い。東京圏の赤羽のような新旧の街が融合した雰囲気になるといいなーという印象です。

 

そんな大曽根は、朝から営業する角打ちが何軒かあります。いずれすべてを記事にしていきますが、まずは「佐野屋」が基本でしょうか。

JR大曽根駅から徒歩2分。キレイな駅前ロータリーからすぐの商店街にある一軒。店構えこそ新しいのですが、立派な歴史ある酒屋のオーラが随所から漂ってきます。

 

入ってすぐは小売りコーナーで、酒類のほかに乾物や調味料も並びます。最近はワインにも力を入れているのでしょうか。定番銘柄だけではない個性的な酒類もあります。

 

個性があるといえば、名古屋の酒屋なのに店前にはキンミヤのキッコー宮の印が貼られ、ホッピーや赤星を前面に打ち出しているところ。これだけ抜き出してみれば、台東区の角打ちと言っても違和感がありません。

 

角打ちスペースは大きくとられていて、コの字カウンターが配されています。カウンターの内側では店番の女将さんや店主さんが接客をし、乾き物だけでなくしっかりした料理も提供されています。

 

午前中は地元のご隠居さんが中心で、皆さん喫茶店感覚で軽くつまみながら各々の酔いを楽しまれています。夕方になると仕事を終えた近隣のマンション住民も飲みに集うのだそう。

常連さんに人気の焼鳥は、塩とタレから選べて注文を受けてから奥の焼鳥台で焼きはじめます。角打ち巡りが趣味で仕事でもある筆者ですが、焼鳥を角打ちで食べるのは初めてかもしれません。あ、ホテイの焼鳥缶はいつも食べています。

 

生ビールはアサヒ、瓶ビールではレーベンブロイがあり、地元愛知の地酒も揃う店。売価もさすがのお酒屋価格でリーズナブル。近所にあったら通うに決まっている良いお店。

東京・羽田うまれの割り材・バイスを、まさか大曽根の角打ちで飲めるとは。

 

広くゆったりとした空間。常連さん率が高いですが、初めての人も変わらぬ接客で対応してくれますので、女性でも比較的入りやすい角打ちではないでしょうか。

ご飲食は15分まで、というかなり厳しい注意書きがありますが、15分で帰ってという意味ではなく、一杯で粘らず角打ちは飲むか帰るかの二択だよという意味。

お近くにお越しの際はぶらりと立ち寄られてみてはいかがでしょう。

ごちそうさま。

 

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

 

佐野屋
052-991-8175
愛知県名古屋市北区大曽根3-13-13
10:00~21:00(土は19:00まで・日は18:00まで・不定休)
予算1,200円