名古屋を代表する老舗酒場「大甚」。1907年(明治40年)創業の同店が、2019年になって錦に支店をオープン。同店は名古屋で有力な飲食事業会社が運営する店舗で、大甚本店のサポートで開店。今風のテイストもあって、若い人でも使いやすい酒場です。
目次
地域密着の飲食チェーンが開いた、タイアップ系の大甚
2019年11月19日、名古屋最大の歓楽街・錦に、1軒の新店舗がオープンしました。店名は全国の酒場好きから親しまれている名古屋・伏見の酒場「大甚本店」と同じ大甚の文字が書かれた「大甚錦店」。
大甚は名古屋・伏見にある「大甚本店」と「大甚中店」の2店舗体制でしたが、これで徒歩圏内に3店舗目ができたことになります。
運営は「大甚錦店」が入る建物も所有する飲食事業会社・株式会社奥志摩グループ。同社は名古屋市内で19軒を展開する地元企業です。大甚本店の4代目の協力により、新しいカタチの「大甚錦店」が誕生しました。
老若男女気軽に利用できるオープンな雰囲気に、本店とはまた違った使い勝手の良さを感じます。チェーン店的な適度な距離感は、それはそれで嬉しいときがあります。
店の造作はしっかり大甚本店をモチーフにしており、「今風に大甚を作るなら…」という運営側の気持ちが感じられるつくり。レプリカというより、「次の世代向けの大甚」という印象です。事実、お客さんは若い人が多く、皆さんゆったりとした時間を過ごされています。
利用方法は大甚本店と同じ。こっちで予習するのもあり。
大甚本店は少し一般的な飲食店と注文の方法が違います。錦店もそんな大甚のシステムを継承しており、フルサービスの居酒屋に慣れた人たちはその独特な方式を楽しんでいるようです。
料理は中央のテーブルに用意されているので、そこから好きなものを選んでくるという流れ。お酒や刺身類は口頭で注文し、食べ終えた食器や徳利が伝票代わりになります。
伏見の大甚本店は硬派な雰囲気ですが方式は同じなので、こちらで慣れてから本店というのも今後の流れになるかもしれません。
品書き
飲み物のメニュー
生ビール(539円)があります。銘柄はサントリー ザ・モルツ。瓶ビール(682円)は各社用意があり、アサヒスーパードライ、キリンクラッシックラガー、サッポロ黒ラベル、サッポロラガーが選べます。
日本酒は伏水蔵(小385円・大638円)、賀茂鶴(小517円・大835円)がお燗用(常温も可)。冷酒は恵那山(539円)。ほかに焼酎(キンミヤ焼酎、いいちこなど429円)、抹茶ハイ、レモンハイ、ウーロンハイ(各429円)など。
料理の品書き
日替わりメニューから。刺身は638円均一で、取材時はまぐろ、カンパチ、〆サバ、信州サーモンなど。一品は自家製イカ塩辛(418円)、セセリの味噌漬焼き(528円)など。アボガド天ぷら(418円)やヤンニョムチキン(418円)など、やや今風な顔ぶれも。
定番では、おでん(253円)やさばの味噌煮(253円)、だし巻玉子(253円)などに加え、味噌串カツ(253円)やどて煮(253円)など、いわゆる名古屋めしもあります。
ただ、料理はこれだけで決めず、ぜひ店内を散策がてら中央の机を見てください。
これこそ、大甚のたのしみ。セルフサービスのお惣菜選びです。鶏肝煮やきんぴらなどが並びます。
気軽に入れるゼロ軒目、または〆飲みに
賀茂鶴(517円)
大甚本店は、筆者の場合「これから名古屋の名店に行くぞ!」という強い目的意識で向かい、しっかり満喫しようとします。こちらの大甚錦店は、よりライトな気持ちでふらりと立ち寄れるのが魅力的。16時からオープンしており、ゼロ軒目に軽く一杯飲んでいこうというのに最適です。
お酒はやはり本店と同じく広島のお酒・賀茂鶴を注文。ほっとする味です。なお、徳利は賀茂鶴は桃色のものが使われ、大甚の文字が入る白い徳利は「伏見蔵」で使われています。なお、店内に樽酒の樽はありません。
小皿(253円から)
ナスの煮浸し。お酒の肴になるものを少しずつ。一人で軽くつまむのにちょうどよい小皿が並んでいます。ゼロ軒目や〆飲みにはこれくらいが嬉しいものです。
大甚は賀茂鶴を飲むお店というイメージが強いのですが、皆さん酎ハイ類を飲んでいるのでこちらも真似をして注文。おすすめは抹茶ハイのようです。ベースの甲類はキンミヤ焼酎。抹茶特有の濁りがあり、甘さと旨味のある渋さですっきりとした美味しさです。
ふらっと立ち寄り、気軽に大甚的な雰囲気にほんのりと浸れる錦店。お通し・席料なしでこの価格帯、飲み方次第で2,000円以内で楽しめます。夜0時まで営業しているという入りやすさもあり、便利な立地の使いやすい酒場です。
ごちそうさま。
大甚本店・中店の記事はこちら
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 大甚 錦店 |
住所 | 愛知県名古屋市中区錦3-19-11 奥志摩ビル 1F |
営業時間 | 営業時間 16:00~24:00 定休日 不定休 ※年末年始(2022年12月31日~2023年1月2日) |
開業年 | 2019年11月19日 |