かつて立ち飲み不毛地帯と言われた名古屋も、近年はすっかり立ち飲み・せんべろが定着しています。続々と新店が誕生し、老若男女幅広い層が集います。例えばお昼から飲むならば、円頓寺本町商店街の「お酒の神様」はいかがですか。
コの字と通函の外飲みテーブル
名古屋駅から徒歩10分ほど。大須と並ぶ名古屋を代表するアーケード商店街である「円頓寺商店街・円頓寺本町商店街」。昭和のアーケードの雰囲気をそのまま残すレトロな通りは、近年、エスニック料理や居酒屋など、新しい店が続々と誕生しています。
そうした新しい店のひとつである立ち飲み店の店名は、ずばり「お酒の神様」。お店が神様ではなく、飲みに来る紳士的なお客さんが神様という意味だそう。正午から営業しており、昼飲み属性がある人には「昼酒の神様」といったところです。
養蜂家出身のマスターが開いた個人店で、2015年に立ち飲みに業態変更する以前ははちみつ専門店を営業していた場所です。店のファサードには「はちみつワイン」など、そのときの名残があります。
店頭は大きく開放され、穏やかな午後の商店街の空気が優しく店を満たしています。冬季はビニールシートを広げるなどし、通年で開放的なスタイルで営業中。
アーケードがある通り特有の、店の前は屋外のようで、街全体と一体感も感じられるこの雰囲気がとても心地よいです。店内はコの字のカウンター。店先では通函を重ねた店頭のテーブルがあり、あわせれば20人以上利用可能。どこか大阪・天満の酒場のようです。
なにはともあれ、ビールから。午後の眠気対策になるかどうかはわかりませんが、ブラック(サッポロ ヱビスプレミアムブラック)を頂きます。それでは乾杯。
お酒好きのご主人が選ぶ豊富なお酒ラインナップ
日本酒は売り切りごめんのスタイルで、その日オーダーできる銘柄がホワイトボードで掲げられています。
酎ハイ・サワー類の種類が豊富で、何を飲もうか悩んでしまうほど。東京で人気のキンミヤ焼酎(製造は三重県楠)やホッピー、バイスもおいています。ホッピーは中部地方では貴重なりターブル瓶タイプ。
樽生ビールはアサヒスーパードライ(480円)。
元はちみつ専門店ならではのハニービールなどはちみつを使用したカクテルもおもしろいです。
料理はおでんと揚げ物を中心に、冷蔵ケースで小鉢サイズのお惣菜が用意されています。小鉢は400円ほどです。
ベテランお姉さんの手料理が揃う
仕込み担当のベテランのお姉さんがつぎつぎと料理を仕上げていく家庭料理の店。いずれも一人飲みサイズなのが嬉しいです。
黒豚冷しゃぶサラダ(450円)をもらって、のんびりとしたひととき。早い時間にも関わらず、若い3人組のお客さんがやってきて、皆さんホッピーやバイスで乾杯を始めていました。
喧騒の名駅、賑わいの栄とも違う円頓寺本町商店街の落ち着きが、ちょっとした通向けの酒場のようなムード をつくっています。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)