名古屋市の今池駅から徒歩1分ほど。広小路通に面してレトロな焼鳥店があることをご存知でしょうか。開店は午後2時で、早い時間から黒帯のノンベエさんたちが昼飲みを楽しまれています。こだわりの地鶏を丁寧な仕事で食べさせてくれる職人気質の店ながら、値段はとっても良心的な大衆酒場です。
戦前の創業、由緒ある鶏料理店
名古屋コーチンに代表されるように愛知・三河は鶏食文化がとくに強い地域です。街を歩けば、駅周辺・商店街はもちろん、ビジネス街・ベッドタウンなど意外なところに歴史ある鶏料理専門店が点在していることに気付かされます。
とくに、今池の『鳥のちから』は大衆的な老舗飲食店好きの筆者にとって感動する一軒でした。
店の歴史は古く、昭和9年から家族経営で代々商売を続けていらっしゃいます。老舗だからと格式張った印象はなく、風格こそ感じるもののむしろキラキラとした今風の酒場よりも私は入りやすく感じます。
明るく迎えてくれる店の皆さん。他店よりもだいぶ早い14時のオープンで、それにあわせて訪ねましたがすでにカウンターには常連さんの姿がありました。やがて小上がりにもお父さんたちが座り始め、15路を過ぎた頃にはあらかたテーブルが埋まりました。
近隣のご隠居さんが多いようでしたが、スーツ姿の人、家族連れなど時間が進むにつれて客層が広がり、やがて若いお一人様もカウンター席につきました。
カウンター席からの眺めがなにより素晴らしい。調理風景や、店主さんらの接客を眺めているだけでもビールが進むのですが、達筆で書かれた短冊メニューも味があって楽しくなってきます。
朝挽きの豊橋産三河地鶏、名古屋コーチンに舌鼓を打つ
繰り返しますが、時刻はまだ午後2時。ですが、オトクな晩酌セットはこの時間から注文できるんです。お酒がビール、ささ身志もふり・口取り・小皿で1,300円。ささ身を焼鳥に変更することもできます。
まずは生ビール。銘柄は今日の気分でアサヒの黒生をお願いしました。乾杯!
それでは、はじめましょう。お通し代わりの小鉢など、すべて鳥料理です。うなぎ専門店のうざくや八幡巻きもそうですが、こうした歴史ある専門店の小鉢は隅々まで食材の個性を活かしていて実に嬉しいです。
ささ身志もふりは、とりわさに近い「鶏ささみの湯引き」です。
「朝挽きの名古屋コーチンを使用している」という情報がなくても、あきらかな違いがわかる舌触りと爽やかな風味。これはまた、なかなか良いおつまみではありませんか。
追加で日本酒をもらいましょうか。酒1合500円。銘柄は大関で、トンとコップででてくるのが素敵です。
冷製の鳥料理をいくつかもらって、ちびちびと飲む。交通量の多い今池交差点から40mほどしか離れていませんが、店内はBGMもなく穏やかでまるで別世界です。
冬は粕汁、ふぐ料理、煮こごりと季節料理が加わります。焼鳥も三河地鶏・名古屋コーチンと銘柄鶏を使用しているにも関わらず1本180円からと注文しやすい価格。これはじっくり腰を据えて飲まなくてはいけないお店に出会えました。
店舗詳細
品書き
- 瓶ビール アサヒスーパードライ・サッポロ黒ラベル・サッポロラガー:700円
- 生ビール:500円~
- 酒:500円~
- チューハイ:550円
- 特製ホルモン:640円
- 志もふり海苔巻き:700円
- きも焼き:520円
- チキンハム:640円
- 即席水炊き:470円
- 若鶏砂ずり・血肝レバー:180円
- 心臓ハツ・ささ身またはむね肉・せせり・つくね:200円
- 名古屋コーチンもも・ねぎま・切り出し:350円
店名 | 鳥のちから |
住所 | 愛知県名古屋市千種区今池5-2-1 |
営業時間 | 月・火・水・木・金 14:00 – 20:00 土 14:00 – 18:00 日・祝日定休 |
創業 | 1934年 |