本日は名古屋を散策。東京で始めた飲み歩きも、いまや立派にお仕事になり、ついにはこうして日本中を飲みまわるようになりました。東京の酒場との違いに日々驚くばかりですが、逆に、ときどきみかける東京っぽいお店に出会うと、なんだか故郷の味のような気がして嬉しくなります。
たとえば、名古屋の酒場でおもしろいところといえば、ここ「呑星」なんてどうでしょう。大須観音の周辺で賑やかな場所といえばそうなのですが、この界隈をはじめ名古屋は全域で「昼酒」のお店がすくなく、さらに立ち飲みともなると、それこそ数えるほどしかありません。東京や大阪、札幌などの大都市の酒場が、明るい時間からわいわい盛り上がっているのと比べると、名古屋は独特な雰囲気です。
でも、探せばあるものです。それがこちらの「呑星」で、昼酒特化型といいますか、明るい時間しか営業していません。週の3日は休みのお店なので、結構飲みにいけるのはレアかも?
大須観音周辺、昼酒・立ち飲みの希望の星を覗いてみましょう。
カウンターとちょっとした立ち飲みスペースだけの大変コンパクトなお店。明るくおしゃべり好きのご主人と奥様で切り盛りされています。お子さんがまだ乳児で、奥様は赤ちゃんをあやしながら営業しています。この子が天使のようで、ケラケラと笑う笑顔に癒やされつつ、お酒を楽しみます。
名物はこの呑ミ星レモン。甲類にソーダを注ぎ、削ったレモンピールをどっさりと載せた個性的なもの。ご主人曰く「レモンサワー」や「レモンハイ」ではなく、あくまで「呑ミ星レモン」とのこと。これが実に美味。仕事柄たくさんのレモンサワーを飲んでいますが、果実ではなくピールを削るとこんなにもフレッシュでキリリとした味わいになるのかと驚かされます。お店の雰囲気、赤ちゃんの笑い声、そして気分がしゃきっとする呑ミ星レモンの絶妙なバランスで、今日もスタートです。
名物はローストビーフ。飲み屋ですが、ひとり一品は頼むのが礼儀というもの。見た目はドサっと盛られただけで美しさとは無縁ですが、味付けはなかなかのもの。濃い味で酎ハイが進みます。
ご主人と名古屋の酒場について情報交換をしながら、各地の酒場事情を肴に飲みが進みます。ご主人も飲み屋が大好きな方で、つい先日も大阪の立ち飲み屋を研究と称して飲み歩いていたのだそう。そんなこともあって、店内には酒場好きが好きそうなものがあちこちにあります。トーク上手なご主人なので、お初の方もきっと楽しめるはず。
呑星だからやっぱりビールはサッポロ!ということで、レモンを二杯飲んだあとは小びんへシフト。立ち飲みでざっくばらんな飲みを楽しんで欲しいので生ビールは設置しないとのこと。瓶ごと飲む小びんは美味しいもんね。
ゴールデン街と書かれたTシャツを着たご主人、そして壁には天羽の梅やぶどう液の文字が。うむむ、ここは新宿ですかい?(笑)
みんな大好き、ピンク色の梅紫蘇っぽい味でお馴染みのバイスだってあるよ!
おつまみをもう一品。たこ焼きと書いてあったので、丸っこいあれが出て来るものかとおもいきや、まさかの素焼きでした。火の通りが絶妙でジューシーさが残るたこにたっぷりワサビ醤油でいただきます。
天羽の梅をなぜ置いているの?と聞けば、どうやら以前「タモリ倶楽部」(テレビ朝日系)で見かけたのがきっかけで、すぐに天羽飲料製造有限会社に電話をしたのだそう。当時はまだ今ほど天羽の梅とか、下町ハイボールなどが一般的でなかった時代、無理を言って取引をするなんて、バイタリティありますね。台東区龍泉3丁目、三ノ輪からほど近いあの場所と、名古屋の大須観音の酒場が結ばれているなんておもしろい。
バイスはやっぱり大田区羽田の株式会社コダマ飲料のそれか!?と頼んでみたら、これは自家製で味を真似ているの、とのこと。以前は通販で購入してリターナブルで仕入れていたそうですが、さすがに大変だったそうで、いまではオリジナルバイスを開発。
本家と同じ味、とは私の立場上言えませんが(笑)
名古屋の人だけでなく、全国各地から飲みに来るファンの多いお店。もしも名古屋で立ち飲みに悩んだら、ぜひ訪れてみては?
ごちそうさま。
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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
呑星
愛知県名古屋市中区大須2-13-34
13:00~20:00(月火水定休)
予算1,500円