大正2年創業の精肉店が経営するとんかつとステーキの店「サンオリーブ」。評判の店ですが、立地も店はとてもレトロで落ち着いた雰囲気。熟練したコックさんがつくる正統派のとんかつをおつまみに、お燗をつけた秩父錦お昼酒を楽しみます。
レトロな雰囲気の店内
京急電鉄神奈川駅から徒歩3分ほど。宮前商店街という小さな商店街があります。ここはかつて東海道筋だった由緒ある通りで、「青木本陣」、「神奈川本陣」があった神奈川宿の名残です。いまでこそお店の数は少なくなっていますが、道幅などに残る風景から、当時の姿を想像することができます。
この界隈は老舗が多く、精肉店では「川窪牛豚肉店」が大正時代から続いています。街情報番組でも度々紹介される有名なお肉屋さんですが、その直営店が宮前商店街の「サンオリーブ」。
1階はとんかつ店、2階ではすき焼きやステーキを食べさせてくれます。
店構え同様、店内も昭和60年前後くらいの懐かしい雰囲気です。長く勤めてるいらっしゃるであろうベテランのスタッフが、ほどよい距離感で迎えてくれます。
ビールは横浜のキリン
外食にお酒はつきものです。とんかつにビールを添えないなんてヒロインが不在のようなもの。サンオリーブは樽生、瓶ともに横浜でうまれたキリンビールです。瓶ビール(キリンラガー大びん700円)をもらって、喉を落ち着かせます。乾杯。
本日のサービス品がオトク
メニューは、ロースカツ定食150g(1,300円・取材時はすべて税別表記)、同350g(3,500円)、ヒレカツ定食(1,300円)、豚しょうが焼き定食(1,100円)、串カツ定食(1,200円)などが並びます。
壁に掲げられた本日のサービス品はロースカツ定食が1,000円など、少しリーズナブル。牛舌塩(200g 1,500円)や肉野菜炒め(600円)など、定食以外でつまみになる料理も選択可能。メンチかつは人気で取材時は売り切れていしまた。
正統派のとんかつに舌鼓を打つ
ロースカツ定食(1,000円)
店の奥から規則正しい油のパチパチとした音が聞こえてきて数分。これぞ正しいロースカツという感じの一皿が運ばれてきました。150gのロースとはいえ、大皿に載った姿は堂々としています。たっぷりのキャベツもいいですね。
きめ細かなパン粉が、20mmほどの均等な厚さの肉を包みサクサクに揚がっています。肉は最初僅かに桃色がかっていましたが、予熱ですっと白くなり、絶妙な揚げ具合だということがわかります。
肉は噛む力がなくても食べられるもので、しっとりとしています。脂の甘さがしっかりとあり、衣の塩気と辛さを抑えた薄めのソースが引き立てています。
美味しいとんかつに出会うと、ビールのつぎに日本酒が飲みたくなるものです。お酒の甘さがとんかつの旨味と抜群に相性がいいです。
サンオリーブの日本酒は、埼玉県秩父市の造り酒屋・矢尾本店がつくる「秩父錦」です。飲み飽きない辛口のお酒が、とんかつの脂をすっと流していきます。
ランチのピークを過ぎて15時まで営業しているので、遅めの昼食を兼ねたお昼酒にちょうどいい一軒。喧騒の横浜駅周辺とは対照的な、旧東海道の老舗肉料理専門店で、落ち着いたお昼はいかがですか。
ごちそうさま。
近くの酒場
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | サンオリーブ |
住所 | 神奈川県横浜市神奈川区青木町3-1 |
営業時間 | 営業時間 11:00~15:00 17:00~21:00 ※夜は早仕舞いすることがありますので要確認 (日定休) |
開業年 | 1913年(母体の精肉店の創業年) |