鳴門『うずしお食堂』海峡で楽しむ魅惑の朝酒。公共交通で行く理由。

鳴門『うずしお食堂』海峡で楽しむ魅惑の朝酒。公共交通で行く理由。

2021年5月11日

小鳴門橋のたもとで50年続く大衆食堂「うずしお」。二代目夫婦が切り盛りする店で、朝6時から営業。市場で仕入れた地元産の新鮮な魚介類を、地酒やビールを添えて楽しませてくれます。

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バスで飲みに行こう!潮風ふきつける食堂へ

都市部の飲食店街を除けば、地方の食堂へは自家用車でのアクセスが圧倒的に便利。だから旅先で車を利用する人が多いことはよくわかりますが、それでは店の楽しみの半分を失ってしまいます。

地元の人たちが利用するローカル列車や路線バスに揺られ、ゆったりと大きな窓から土地の風景を眺め、目的の店に向かうというのは、実はとっても楽しいことです。そうして着いた先で、地元の酒の肴で一杯やれれば、より一層地域の魅力に触れられます。

目指すは、鳴門市の小鳴門橋のたもと、ボートレース(鳴門競艇場)の近くにあるロードサイドの店「うずしお食堂」です。

徳島駅からJR鳴門線、鳴門駅から路線バスに乗り継いで「小鳴門橋バスストップ」にやってきました。ここはかつて地方都市によく見られた、街から離れたバスの転回場兼営業所があり、各方面から路線バスが集まる発着場の役割が残されています。そうしたことから、モータリゼーションが進むエリアでありながらも、まだまだバスでのアクセスは良好です。

そんな大型バス停の向かい側にあるのがうずしお食堂。創業は1970年、きっと昔はバス利用者や乗務員で賑わったのでしょう。

バス停の先は海。潮風がふきつけるような場所。黄色いテントとアルミサッシがいい雰囲気をだしています。店頭に積まれたP箱や清酒通函が飲める証です。

二代目ご夫婦が切り盛りする家庭的な店

会議机にパイプ椅子。板張りの小上がりは座布団が敷かれています。絵に描いたような海辺の食堂の雰囲気ではないでしょうか。

二代目のご夫婦が切り盛りされていて、まだ小さなお子さんたちが店内にも顔をだしています。

朝の瓶ビールは最高です

朝6時から営業開始。早朝の取材です。うどんを目的にしたライダーや、手頃な朝定食を食べに来た学生の姿がみられました。私は魅惑の朝酒タイム。

ビールはアサヒとサッポロから選べるそうで、今日の気分でサッポロ黒ラベルを選びました。それでは乾杯。

ショーケースに並ぶ地魚・地酒

19時までしか営業しないため、一般的な「夜の飲み屋時間」はないはずですが、冷蔵庫には鳴門鯛(鳴門市)や御殿桜(徳島市)などの地酒がはいっています。女将さんによると、ご主人が日本酒好きで揃えているとのこと。もちろん家庭消費用ではなく、売り物の様子。これは、鯛の塩焼きと地酒で一献やらなくてはいけませんね。

鳴門の漁師さんや、地域の市場から仕入れた地元の食材を中心にした献立。皿料理から好きなものを選べます。魚介類は季節で当然かわっていきますが、取材時はメバルカレイコチかつおアカニシなどが刺身用で準備されていました。刺身は天候の影響もあり、海がシケると提供できなくなってしまうこともあるそうです。

穴子カワハギ舌平目(ゲタ)、ホウボウスズキイワシなど、焼き魚・煮魚・天ぷらも魅力的な顔ぶれです。

じゃこは徳島名物、釜揚げしらす丼(800円)も気になってしまいます。

ベイカアカニシ貝。小皿は200円程度でお手頃価格。

副菜も美味しい、地元食材を中心にした料理

鳴門のわかめと淡路島の玉ねぎ

地物で煮魚が食べたいと相談し、ご主人のおすすめからメイタガレイの煮付け定食(1,400円・取材時税別表記)をお願いしました。軽くつまみながらまっていてね、と小皿2つ。さすがにホタルイカは日本海産ですが、淡路の玉ねぎ鳴門のわかめ、なんてことない海藻サラダが印象に残る味でした。

カレイの煮付け

潮の音、かもめの鳴き声、朝の陽が降り注ぐ食堂でビールと煮魚。

徳島や鳴門の味付けは、同じ四国内でも他の地域と異なり、ほとんど関西風といっていいでしょう。この店以外でもそう感じました。

ほんのりと甘く、脂の旨味をよく引き出した味。隅々まで身を残さずに食べてしまいたい美味しさです。これは、地酒を1合もらわないと、せっかく飲める公共交通でやってきたのですから。

定食のお味噌汁のわかめもしっかり美味しい。品書きにある「わかめうどん」は、うどん好きの間で「うずしお食堂」の名物とされているようです。

うどんの店、定食の店、どんな利用をするかで感想は様々でしょう。酒場好きにとっては、朝酒の店としてここは最高の一軒です。

ごちそうさま。

(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名うずしお食堂
住所徳島県鳴門市撫養町大桑島字濘岩浜48-34
営業時間営業時間
6:00~19:00
日曜営業
定休日
不定休
開業年1970年