70年近く続く阿波池田の「味の老舗 八千代」。中華そば、オムライス、郷土料理の祖谷(いや)そばなどが人気。おでんをつまみに、地酒やビールで食堂飲みも楽しめます。
土佐と讃岐をつなぐ交通の要衝である三好市池田。琴平・丸亀方面、高知方面、徳島方面と、3方向へ伸びる鉄道の結節点である阿波池田駅は、なにかと利用することが多い駅です。列車の乗り換え時間をつかって、どこか飲みに行きたくなったら、駅前の老舗食堂がおすすめです。
それがこちら「味の老舗 八千代」。朝10時から夜8時まで通しで営業しており、四国巡拝や鉄道旅で利用しやすい一軒です。
70年近く続く食堂
地域に息づいた食事処で、ランチタイムは地元の人たちで満席近い賑わいになります。
1954年(昭和29年)の創業ですが、いぶし銀というムードではなく、天井が高く奥行きもあります。それでも、子供の頃に食べにいったような雑多な食堂のムードそのもので、ふらっと立ち寄り飲むのにはぴったりです。
さて、ビールを1本。四国の西条市で製造されたアサヒスーパードライです。それでは乾杯。
ビールは大瓶580円、小瓶400円。地元の日本酒もあり、1合380円。
昔懐かしい食堂メニュー
地元の名物、三好市祖谷地方の郷土料理「祖谷そば」を食べさせてくれるお店。甘く煮たバラ肉がトッピングされていて、ビールとの相性が良いと聞き、それが今回の目的です。
食堂メニューは懐かしい顔ぶれ揃い。このほかにやきめし(580円)、チキンライス(580円)、オムライス(650円)、しょうが焼き定食(880円)など。店内の案内などをみると、ここの中華そばはそのジャンルのファンの間で評判らしいです。
ここは、ぜひ「食堂飲み」ジャンルでも、八千代の魅力をお伝えしなくては。
食堂飲みと祖谷そば
祖谷そばやラーメンなどを食べる前に、軽くビールやお燗酒で一杯やりながら、おでん(90円)を楽しむのが常連飲兵衛さんのスタイル。昆布だしでみりんたっぷりの甘い味付けで、関西風ともことなる独特な美味しさ。
山間部で暮らす人々の祖谷そば
店名いりの土鍋でやってきた、祖谷そば(なべそば)。剣山(つるぎさん)麓、険しい四国山地の中にある日本三大秘境に数えられる祖谷地方。この地を切り開いた人たちが食べてきた土地の味です。
徳島ラーメンでもそうでしたが、徳島の郷土料理はバラ肉が入ることが多いように思います。ナルトとかまぼこ、ねぎというトッピングも徳島らしい。
汁はさきほどのおでんとは真逆に、薄い色合いの関西風に近い見た目です。ただ、味付けは想像とことなり、とても独特。甘さがしっかり感じられ、出汁は昆布のほかにはっきりと椎茸の味があります。
ふとくざらっとした食感。つなぎは使用していないようです。コシはなく、ぼそっとしています。これがなんともくせになる美味しさです。甘いつゆ、バラ肉の脂ともベストバランス。これでお燗酒を飲んでいれば、旅先の食堂飲みは完璧です。
旅情感じる街の食堂。地方の町にある元気なお店で、昔から食べられてきた料理を楽しむ…、そういうシーンって最近は数を減らしつつあります。阿波池田の貴重な一軒へ、ぜひ列車を途中下車して訪ねてみてはいかがでしょう。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | 味の老舗 八千代(八千代食堂) |
住所 | 徳島県三好市池田町サラダ1798 |
営業時間 | 営業時間10時~15時 日曜定休 |
開業年 | 1954年 |
公式サイト |