徳島といえば焼鳥!と言われるほど、焼鳥店が多い。新旧様々なお店がありますが、こじんまりとした空間で飲みたいときは「びんずる」がおすすめ。2014年、酒場好きが高じてはじめたというご夫婦が丁寧に迎えてくれます。
8席だけの素敵なカウンター
趣味を仕事にしてはいけない、なんて話もありますが、”好きだからこだわれる”ということもありますよね。特に、酒場好きが本気ではじめた飲食店は新しい店舗でも魅力的なお店が非常に多い印象です。
徳島の「びんずる」もそうした素晴らしい酒場のひとつ。
徳島は「阿波尾鳥」というブランド鶏も存在するように養鶏が盛んで、食文化としても鶏が浸透しています。徳島の中心街・栄町周辺には数多の焼鳥店が暖簾を掲げています。びんずるはまだ新しいお店ではあるものの、すでに地元の人々を中心に高い評判を得ています。
小さなL字カウンターだけのつくり。席はわずか8席しかありません。だからこそ、お店の方との距離が近く、お客さん同士の一期一会の一体感も味わえます。
開業時、酒販店に相談した際、偶然その場にサッポロビールの社員が営業に来ていたそうで、それ以来、歴代担当者が通い続けているとのこと。店内にはこの通り、年初に配布される恵比寿様祈願の御札が多数貼られています。
もともとサッポロファンだったそうで、やはり樽生の品質・継ぎ方にはこだわりあり。大きめのワイドジョッキに、温度、ガス圧、泡のきめ細かさ、ともに完璧な一杯がでてきました。
それでは乾杯!
焼鳥も魅力、サイドメニューも個性的
樽生ビールがサッポロ黒ラベル(中ジョッキ500円・※取材時は税別表記・以下同様)。瓶ビールは赤星ことサッポロラガー(中びん500円)。日本酒は三芳菊酒造(徳島県三好市・阿波池田)の三芳菊というのが土地柄があり素敵です。冷酒は米子の稲田本店のトップ水雷。
酎ハイは一部で熱狂的なファンがいる、サッポロの樽詰氷彩サワーです。
それでは、まずは黒板メニューから見ていきましょう。
焼鳥店ながら、ズリ(砂肝)のアヒージョやスパイスカレーなど、特長ある一品料理が充実しています。お二人が食べ歩いてきた美味しいものを「びんずる」風にして提供されています。食材は淡路の玉ねぎや、鳴門の豆腐店の厚揚げなど、地元や近隣のものにこだわっているそうです。
串は2本で220円。焼けた順に少しずつ提供してくれるスタイルながら、1本110円と嬉しい値段設定です。部位は、やきとり(ひな)、おやどり、せせり、ずり、かわ、なんこつ、レバー、ハツ、つくね、ぼんじり、とりねぎ(ねぎま)、しそ巻。
小エビやイカゲソなど、港町らしい串もあります。
炭火でじっくりと焼き上げる
焼鳥は炭火でじっくり余分な脂を落としつつ焼き上げるため、少々時間がかかります。それまで、新たまセロリのマリネなどをつまみながら、のんびりとした時間を過ごします。
夕暮れの徳島、川と山に挟まれた小さな平地。優しい風が街を包み込んでいます。そうした風情も含めて、いま、とてもいい気分です。
タレはスタンダードながら非常に濃厚で、ぷりっとした鶏の脂とよくあっています。打ち立てのフレッシュな串にこだわっているものの、鶏はあえて阿波尾鳥を使わず、お二人が好きな仕上がりになるように選ばれています。
味付けはおまかせ。セセリは塩で用意されました。肉そのものの脂で表面は軽く揚げたかのようなパリっとした仕上がりに。そして中はぎゅっと濃縮された旨味たっぷりの肉汁がたぷたぷに詰まっています。
しそ巻(2本で260円)。あっさりと梅肉をつけていただきます。
つくね(2本で200円)。それぞれことなる味付けが用意されていておもしろいです。
氷彩サワーというこだわり
あわせるお酒は、ここは店先に立て看板も設置されている「氷彩サワー」。常連さんにもファンがいるそうです。なによりお二人が気に入っているもので、あえて味をかえずに、ホワイトブランデーベースの味をいかした「プレーン」も用意されています。
炭火で焼き上げる油揚げ。鳴門の豆腐店がつくるもので、味が濃くお酒を誘います。
もう何十年も営業されているような店構え。味わい深く、酒場好きならばきっと気に入ること間違いなし。
徳島を訪れた際はまたぜひ伺いたいお店です。ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)
店名 | びんずる |
住所 | 徳島県徳島市南新町2丁目17 |
営業時間 | 営業時間 17:30~22:00 [土] 17:30~21:30 定休日 日曜・第3土曜 |
開業年 | 2014年 |