大正時代創業の老舗乾物店「大東水産」が2020年からはじめた立ち飲み店「大東」。昼は乾物店、夜は立ち飲み、ふたつの姿で営業中。乾物をはじめとした魚介類を豊富に揃えた築地らしい一軒です。
最初に訪ねたのは、2020年2月のはじめ。乾物店の大東水産で買い物をしたことがありましたが、まさかそのままの店舗が飲食店に変身するとは、雰囲気の変わりようにびっくりしたものです。
記事にしようと思っていたら、昨今の厳しい状況となり中断。ただ、実は界隈で用事がある度に、プライベートでお邪魔していました。こっそりリピートしてきた、そんな一軒です。
目次
夜の築地を盛り上げよう!
築地は朝からお昼にかけては飲食店がとても賑やかなエリアですが、夜になると結構暗いのです。
そこで、夜の築地もお酒を楽しむ街に盛り上げようと様々な企画も立ち上がっています。近年は築地の老舗である海苔店や玉子焼き専門店、蕎麦店が中心となって、「築地はしご酒」という夜の回遊型イベントが開かれていました。
長く続く飲食店も夜に力を入れていましたし、魚河岸食堂(区営生鮮市場「築地魚河岸」の飲食フロア)も夜営業を開始するなど、築地の夜はこれから本格始動というころでした。そんな矢先での時節柄の状況だったわけです。
飲食を取り巻く環境が改善すれば、きっと夜の築地はいままで以上に楽しい街になるものと思っています。さて、話は「大東」に戻りまして…
お昼は乾物店、夜は海鮮立ち飲み
まだまだ夜空いているお店は多くない築地ですが「大東」は、この街の賑わいづくりにかかせない一軒になっているように感じます。銀座プレイスや百貨店がある銀座4丁目交差点から徒歩7分ほどですし、立ち飲みを求めて築地に流れてみるのもおすすめです。
店内のコの字カウンターは、日中の小売時間帯は利尻の昆布や枕崎の鰹節などが並ぶ商品棚なんです。小売りは15時で閉店。1時間で模様替えというのを営業日で毎日行われています。
店内には秤(はかり)が吊るされています。ずいぶんと年季のはいったもので、店の歴史を感じます。
乾物店版の角打ちといったところですが、このとおりしっかりとビールディスペンサー(セパレサーバー)も用意されており、樽生ビールを楽しむことができます。
ここのビールは洗浄、鮮度管理もばっちり。状態抜群のサッポロ生ビール黒ラベル(450円)で乾杯!
ちなみに、16時の開店から18時まではハッピーアワーで、生ビールとハイボール(デュワーズ)がどちらも350円ととってもオトク。
品書きは乾物類も要チェック
樽生ビールはサッポロ生ビール黒ラベル。瓶はサッポロラガー(中びん600円)、アサヒスーパードライも選べます。価格の指標になるチューハイ(サッポロ焼酎ベース)は350円、抹茶ハイ(450円)など、種類が豊富。
そしてなにより、ここならば日本酒もいろいろ試してみたい。料理とあわせるぴったりのお酒を提案してくれますので、お店の方に相談してみるのもよいです。
つづいて料理のメニュー。まずは黒板(2021年3月23日撮影)から。まぐろの脳天刺(500円)やいか刺(480円)など、ワンコイン以下でお刺身まで食べられるのは嬉しいところ。
焼き物、揚げ物はもちろん注文を受けてから調理。二毛作だからといって料理に手抜きはまったくありません。ただ、せっかく100年近く続く老舗乾物店なのですから、鰹節スライスやいわしの丸干しなどを摘んでみませんか。
気軽にいろいろ楽しもう!明るく入りやすいお店
お店がオープンしてすぐの頃、サッポロビールの担当営業さんと飲みにいったときの一枚。スフレ泡で完璧な注ぎ方。私ももっと精進しないと。
なめろう
さてさて、何度も飲みにいっているので、いろんな料理を頂いていますので、その一部をご紹介。あったら嬉しい、ずっと摘んでいたいあじのなめろう。
あじの南蛮漬け
こちらはあじの南蛮漬け(390円)。どの料理も立ち飲みとしてはしっかりとした量があり、いろいろ食べるならば二人でシェアするくらいが丁度いいです。
季節の食材も。ベーコン牡蠣バター
冬は牡蠣料理も黒板メニューとして当時要しました。牡蠣とベーコンのバター蒸し。
まぐろの珍味がいつでも食べられる
まぐろホホ肉炙り(480円)。脳天やほほ肉といったまぐろの珍味がいつでも食べられるのが魅力的。ホロホロと口の中で溶け、じんわりと旨味が広がります。
あわせるお酒。お燗酒用の定番日本酒は小西酒造(兵庫県伊丹市)の白雪です。普通酒ですがバランスが良く飲み飽きない美味しさ。
大東ならではの梅干し入酎ハイ
大東ならではの酎ハイもあります。梅酎ハイ(450円)。お昼の小売で取り扱っている人気の高級梅干しを使用しています。大きくても皮は柔らかく、味も濃厚です。
乾物の世界を楽しむ
伝承いわしのみりん干し(280円)。あまりお腹にたまらないので、ずっと摘んでいたい一品。
みりん干しには日本酒は合うのは間違いありませんが、ほかに何が良いかと色々試したところ、意外にもハイボールが名コンビ。
乾物のプロの店員さんがいるお店で、奥深い食材の世界を楽しみながら、これまでにない築地の夜を楽しまれてみてはいかがでしょうか。
ごちそうさま。
(取材・文・撮影/塩見 なゆ 取材協力/サッポロビール株式会社)
店名 | 干しもの立ち呑み 大東(大東水産) |
住所 | 東京都中央区築地4-7-3 築地ファーストビル1F |
営業時間 | 営業時間 15時までは物産として営業 16:00~23:00(LO 22:30) 定休日 日、祝 |
開業年 | 2020年(大東水産としては1924年) |