菊川『七福』実用洋食で飲む人、食べる人。平坦という価値と美味しさ

菊川『七福』実用洋食で飲む人、食べる人。平坦という価値と美味しさ

2021年3月11日

実用洋食という、普段耳にしない言葉。これを冠した「七福」は、昭和の日本に広まった洋食食堂の姿を残す貴重な一軒です。意外なほどに飲む人が多く、お酒飲みにとってもここは楽園のようです。

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小名木川近く、駅はないけど

実用洋食」という名前に誘われる人は、きっと昭和の食堂や洋食店が好きな人に違いありません。

世代交代や社会状況によって個人経営の老舗洋食店が暖簾をたたむことが多い昨今、実用洋食七福は今も元気に暖簾を掲げ、大勢の常連さんに愛されています。

江東区、小名木川にほど近い場所にお店はあります。親水公園や遊歩道が整備されており、散策が楽しい深川エリア。東京都現代美術館にもほど近い場所です。

そんな散策の合間に「七福」で喉を潤そうというわけです。

外観

白河三丁目交差点の角に立つお店。けして派手ではないのですが、それが逆に目立っています。

地下鉄半蔵門線が真下を駆け抜けているもののここに駅はなく、鉄道でのアクセスはやや不便です。それでも七福はランチタイムには数回転するほどの人気店です。

創業は1974年。2016年に建て替えられましたが、暖簾や食品サンプルの入るショーケースに当時の面影が残ります。

デパートの食堂を思い出す

飲みに行くのはランチタイムを過ぎた午後1時頃から、もしくは夜営業の夕食時を越えた頃がちょうどいい。食堂はピークを過ぎて安堵感が漂う中で飲むのが最高なんです。

ひと仕事終えリラックスされているお店の方々の雰囲気。それがお酒を飲むこちらにも伝わってきて、日頃の緊張が溶けていく気分になれるからです。

昔、デパートの食堂で座ったようなパイプ椅子と重たいどっしりとしたテーブルが列ぶ店内。飾り気のなさがむしろ心地よいものです。

ビールは長年サッポロ

ビールと食事をお願いし、バッグを整理しているところで、「はい、ビールねー」とキンキンに冷えた一本が運ばれてきました。

ビールの銘柄は長年サッポロ。樽生はありませんが、大瓶の黒ラベルが各テーブルに灯台のごとく立ち並ぶ光景がなんだか楽しいです。

それでは乾杯。芯までよく冷えています。

ビールはサッポロ黒ラベルで大瓶(610円)と中瓶(540円)から選べます。

お燗酒生酒レモンサワーウーロンハイと並びます。洋食店はひとまわり値段を割高に設定することが多い中、サワーは390円と、一般的な居酒屋価格です。

3つの気になるランチ

店名を冠した七福ランチ(860円)はお子様ランチ風、エビフライやハムエッグが載ったサービスランチ(960円)、そして今回注文した「スペシャルランチ」(820円)。

名前だけではどんな内容か想像がつかないランチが三種類、値段も同じくらい。なんだろうと悩む時間もまた楽しいです。

スペシャルランチ

さてさて、スペシャルランチは、豚しょうが焼き、アジフライ、イカフリッターの3つを主役に、マカロニサラダと生野菜という内容です。

お味噌汁がつくのは、いかにも日本式にアレンジした洋食という印象です。まさしく日常向きの実用洋食。

揚げたてのアジフライは肉厚でふっくら。油も新しいようで、クセがありません。ソースと辛子を気持ちたっぷりつけて頬張り、すかさず黒ラベルを追いかける――。日中から贅沢気分に浸れます。

豚しょうが焼きは甘めの味付け。全体的にどれも昔ながらの平坦な味なのですが、それがいいのです。しっかり美味しく、どこか懐かしい味に大満足。

ごちそうさま

家族連れがちょっとした外食を食べている横で、お父さんはテレビを眺めてビールを傾けている。奥のお姉さんは時折スマホを眺めつつ、レモンサワーを飲み切るところ…。いろんなスタイルで、思い思いに過ごしている皆さん。心地いい雰囲気の洋食店です。

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(取材・文・撮影/塩見 なゆ)

店名七福
住所東京都江東区白河3-9-13
営業時間営業時間
11:00~14:00(L.O.13:45)
17:00~21:00(L.O.20:30)
日曜営業
定休日
水曜・第1日曜
開業年1974年