官庁街の関内、オフィス街のみなみとみらい、繁華街の伊勢佐木町。横浜の中心である中区は、徒歩圏内でありながら、エリアごとに街の表情は大きく異なります。巨大な飲み屋街『野毛』も、そんな横浜中区を代表する地区のひとつです。
昼間の野毛は、「オフ」モード。納品業者や出勤する人々が足早に歩くだけの静かな街です。多くの居酒屋は17時に開店するため、昼飲みはそれほど期待できません。ですが、そこは横浜随一の飲み屋街!日中から営業している素晴らしい店も存在します。
今回は野毛で「昼飲み」が楽しめる飲食店の中から、特に個人店や地元のチェーン店など、街の個性を形作るローカルなお店を厳選してご紹介します。野毛らしい酒場で乾杯しましょう!
目次
1,『酒蔵 石松』
ぴおシティ開業時から続く老舗の立ち飲み酒場です。看板料理は横浜中央卸売市場から仕入れる新鮮な魚介類の刺身。ぴおシティの中に位置していますが、家族経営であるため、魚河岸内の食堂を思わせる人情と活気が店の魅力となっています。
特に人気なのは、鮮度がわかるイワシやいつも美味しいマグロ中とろなど、ほとんどが500円未満で提供されています。最近は、20代向けの華やかな店が次々と出店しているぴおシティですが、この老舗酒場はベテラン層に根強い人気を誇っています。
住所 | 神奈川県横浜市中区桜木町1-1 ぴおシティ B2F |
営業時間 | 12:00~21:30(土は10:00~21:00・日は10:00~20:00・祝は11:00~20:00・月定休) |
開業年 | 1968年創業、1977年から立ち飲み |
2,『はなみち』
ぴおシティ完成当時から続く数少ない一軒。2011年までは「キンパイ」という店名で営業していました。レトロな駅前ビル「ぴおシティ」と同い年で、今年で55年になります。常連のお客さんが多く、日中でも多くのお客さんで賑わっています。
飲食店関係者の常連さんも多く、桜木町のゼロ軒目や仕事前の一杯として長年にわたり親しまれてきました。この店の人気の秘密は、新鮮な刺身や揚げたてのフライなど料理の美味しさにあります。なお、酎ハイ類は非常に濃いので、ゼロ軒目だからといって飲みすぎにはご注意を。
住所 | 神奈川県横浜市中区桜木町1-1 ぴおシティ B2F |
営業時間 | 営業時間 [月〜金] 12:00~21:00 ※揚げ物ラストオーダー20:15 ※飲み物、揚げ物以外のラストオーダー 20:30 [土] 12:00~19:30 定休日 日・祝日 |
開業時期 | 1968年 |
3,『国民酒場 じぃえんとるまん 桜木町店』
横浜市内、大田区などに9店舗を展開する横浜のローカル立ち飲みチェーン『じぃえんとるまん』。その旗艦店がぴおシティ内にある桜木町店。「石松」や「はなみち」と比べればまだ新しい立ち飲み店ですが、その存在はすっかり横浜の飲み歩き好きの間では定着しています。
ぴおシティ最安値の430円という驚きの安さでサッポロラガービール大瓶が楽しめます。また、平日の開店から16時までは最大10杯飲める(9杯+じゃんけんで勝てば1杯サービス)せんべろセットも大変お得です。
ですが、じぃえんとるまんの魅力は料理の美味しさ。特に鉄板でその都度焼かれるピザや肉料理は、この店ならではの味わい。
明るく元気な店員さんがほどよい距離感で接してくれるので、立ち飲み・昼飲みがまだ不慣れという方にもオススメ。同じぴおシティ内にある中華料理の酒場「風来坊」も『じぃえんとるまん』(さか萬)の系列です。こちらも中華をつまみに一人飲みが楽しめます。
住所 | 神奈川県横浜市中区桜木町1-1 ぴおシティ B2F |
営業時間 | 営業時間 [月~土] 11:30~21:30(L.O.21:00) [日・祝] 11:00~21:00(L.O.20:30) 日曜営業 定休日 無休(※施設に準ずる) |
開業時期 | 2017年 |
4,『ゴールデンもつ』
ここからは座って飲めるお店をご紹介します。同じくぴおシティ内にある『ゴールデンもつ』は、11時30分から中休みなく営業するもつ焼きをメインにした酒場です。開業は2010年。店内にはテレビが4台もあり、公営競技開催中はテレビ画面越しに応援する人の姿も。
ゴールデンもつのもつ焼きは安定した美味しさ。特長は辛味噌がついてくるところ。タレでも辛味噌というのは珍しいですね。
ぴおシティには、2010年代以降に開業した店はいくつもありますが、ここであえてご紹介した理由は、『ゴールデンもつ』には提供店が限られている貴重な「樽詰ホッピー(いわゆる生ホッピー)」があるから。氷なし、冷やしたジョッキとキンミヤに注ぐキンキンのホッピーが評判です。
住所 | 神奈川県横浜市中区桜木町1-1 ぴおシティ B2F |
営業時間 | 営業時間 [月~日] 11:30~22:00(21:30 LO) 日曜営業 定休日 無休(年末年始、8月第3水曜日) |
開業時期 | 2010年 |
5,『大黒屋』
15時30分になれば、野毛の路面店『大黒屋』が営業をはじめます。創業から約60年になる家族経営の酒場。チェーン店以外で100席以上ある大箱酒場はこの界隈では貴重な存在です。
いつでも、大人数でも利用しやすい安心感だけでなく、看板料理の天ぷらをはじめ、大衆割烹的な料理も勢ぞろい。どれも手頃な価格でしっかりとした美味しさです。BS放送の人気酒場放浪番組でも紹介されたことがある界隈ではおなじみの一軒。
住所 | 神奈川県横浜市中区野毛町2-71-4 |
営業時間 | 営業時間 [月~土] 15:30~23:00(L.O 22:00 ) [日] 15:30~21:00(L.O 20:00) 日曜営業 定休日 不定休 |
開業時期 | 1963年頃 |
6,『かつ半』
大衆酒場ではありませんが、お酒メインのお客さんも歓迎のとんかつ店『かつ半』も野毛エリアの昼飲み処としてオススメしたい選択肢のひとつ。営業時間は11時から夜22時まで。途中休憩もなく、通しで営業しています。
70年以上続く店らしいどっしりとした雰囲気の店内ですが、価格は良心的で飲み屋使いは十分楽しめます。かつ綴じのようにとんかつ店らしいおつまみはもちろん、鯵タタキや焼売などサイドメニューも魅力的。
住所 | 神奈川県横浜市中区野毛町2-83 |
営業時間 | 営業時間 [木~火] 11:00~22:00(L.O.21:30) ランチタイムは11:00~14:30 日曜営業 定休日 水曜 |
開業時期 | 1947年 |
7,『北京料理 萬里 本店』
ここは横浜ですから当然、「町中華」でもお酒が楽しめます。桜木町・野毛エリアには5軒ほど老舗の町中華(大衆中華)がありますが、今回の特集では『萬里(ばんり)』をご紹介したいと思います。
昭和24年、中国新京から引き揚げてきた初代が、新京で食べた餃子風の料理を提供したことが同店のはじまり。野毛の歴史を見続けてきた老舗の一軒です。カウンターの一人飲みから宴会まで幅広く利用できます。
餃子以外にも珍しい料理があり、最近は豚モツうま煮が評判。
住所 | 神奈川県横浜市中区野毛町2-71 |
営業時間 | 営業時間 [火〜土・祝日] 12:00~20:30(20:00L.O) < 休憩 > 平日 14:30〜16:30(14:00L.O) [日] 12:00~17:00(16:30L.O) 日曜営業 定休日 月曜日 (月曜祝日含む) |
開業年 | 1949年 |
8,桜木町『キリンシティ CIAL桜木町店』
最後にご紹介する店は、キリンビール系列のビアレストラン『キリンシティ』。11時開店、23時までロングラン営業。
チェーン店ではありますが、街の歴史に関係が深いキリン系の店舗ですので本稿でご紹介します。
キリンビール発祥の地「ビール醸造所 スプリング・バレー・ブルワリー(現:キリン園公園)」は横浜・山手にありますが、同店が発祥の地に最も近いキリン系ビアホール(席数約100席)で、横浜とビールの歴史に思いを馳せるのにはぴったりな一軒です。定番の一番搾りからキリンブラウマイスター、スプリングバレーシリーズまで、公式店らしいこだわりの一杯がお昼から味わえます。
ほかにもこんなお店があります
今回は街の個性をつくる個人店等を中心にご紹介しましたが、全国チェーンや新しい店を含めると下記も選択肢に入ります。
- ほていちゃん 野毛店(15:00~)
- 五の五 ぴおシティ桜木町店(磯丸水産を展開するSFP HDの酒場業態。11:00~)
- ホームベース ぴおシティ桜木町店(磯丸水産を展開するSFP HDの煮込み業態。11:00~)
- 餃子ノ酒場 太陽ホエール 野毛本店(14:00~)
- 大衆酒場2.0とぽす(15:00~)
- 横浜飯店(ぴおシティ内の老舗大衆中華。11:00~)
- 立ち呑み処 ふくふく(12:30~)
- 野毛ホルモンセンター(15:00~)
- 八郎酒場 桜木町店(13:00~)
(取材・文・撮影/塩見 なゆ)